ネットで注文したら商品がすぐ来るけど、これは倉庫業のおかげなんやで

築港赤レンガ倉庫

上記は2015年6月に大阪・天保山にオープンした「GLION MUSEUM(ジーライオンミュージアム)」の写真だ。この築港赤レンガ倉庫は、1923年住友倉庫によって建てられたものだ。

舞鶴赤レンガ倉庫

自動車が普及する前までは、船で港に大量の物資を運び、そこから貨物列車で各地に荷物を輸送するための保管場所として倉庫は大きな役割を果たしてきた。

しかし、自動車(トラック)が普及し、高速道路がつくられ自動車交通網ができあがり、宅配や配送が発展するに従って、倉庫でわざわざ保管しなくても工場から直接運べるようになった。それに伴い倉庫業は衰退した。

だが、今、この倉庫業が注目されている。ちなみに倉庫業は「不動産」のジャンルに含まれる。戸建・マンション・オフィスビルの建築・販売・仲介・管理だけが不動産業ではなく、倉庫業も不動産業だ。

注目されているのは、赤レンガ倉庫のような「海の倉庫」ではなく、「陸の倉庫」だ。

シンガポールの物流施設開発・運営大手、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)が世界市場で倉庫など物流施設の開発を急いでる。中国では38都市に約230の大型倉庫を持ち、近代的物流施設では圧倒的な首位を走る。日本や米国でも1、2位を争う大手に成長した。電子商取引(EC)の急拡大を背景に、世界で爆発的に増える商品の配送需要を取り込み、ECの物流では欠かせぬ存在になりつつある。

中国天津市にあるGLPの物流施設「GLPパーク武清」。東京ドーム3・5個分にあたる16万5000㎡の巨大倉庫は中国北部で大手EC企業の最大の配送センターだ。日用品や書籍など数百万点の商品を通常なら注文から6〜12時間で発送するGLPの倉庫を使えば、発想にかかる時間は1〜3日短縮することもあるという

倉庫業とは

GLPは前身のプロロジス時代を含めても中国に進出してわずか12年だが、いまや中国全土に延べ床面積で1490万㎡もの巨大な倉庫群を持つ。1万㎡以上の近代物流施設では2位の豪グッドマンに8倍近い差を付けた首位だ。米アマゾン・ドット・コムや京東集団(JDドットコム)などの国内外のEC大手を顧客に抱える

GLPが成長するきっかけとなったのがネット通販の普及だ。世界銀行によると進出時の2004年に8%弱だった中国のインターネット人口比率は14年に49%に増え、利用者は7億人以上にのぼる。中国当局は国内EC市場が年平均20%前後も伸び、20年に9兆6千億元(143兆円)と15年の日本の小売業販売額(140兆円)上回る規模になるとみる。

EC向け物流に商機を見いだしたGLPは製造業向けに輸出に便利な港湾部が中心だった倉庫業を転換。1万㎡以上の大型施設をEC利用者の多い大都市圏に相次いで建設した。中国の物流業界は中小企業が多く、「EC企業が扱う膨大な商品を保管・発送する大型倉庫はなかった」と梅志明・最高経営責任者(CEO)はいう。(続く)

(2016年9月21日日本経済新聞朝刊9面抜粋)

GLP(グローバル・ロジスティック・プロパティーズ)

2009年GIC(シンガポール政府系投資会社)が、米プロロジスの中国事業と共同出資していた日本の物流施設群を買収し、社名をGLPに変更した。10年にシンガポール取引所に上場、12年にGLP投資法人として東京証券取引所不動産投資信託市場(3281)に上場した。

電子商取引(EC)

インターネット上で商品やサービスを売買すること。eコマースともいう。いわゆる「ネットショッピング」のこと。

最近のネットショッピングは、注文から手元に届くまでの時間が恐ろしく早い。Amazonや楽天など各社、配送時間を競っている。

amazonプライムナウ倉庫

Amazonプライムナウは1時間以内に届く。当たり前だが、注文した商品を生産している工場から発送していたらこんなことはできない。

GLP三郷

そこで、拠点となる倉庫を(GLPなどの倉庫業者に)借りることになる。 GLPは倉庫を建設し、企業に貸して、賃料を取っている。これが倉庫業だ。

倉庫業の倉庫(amazon)

倉庫の中はこんな感じだ。

amazon倉庫内部

注文が来てから発送までを倉庫内で行う。

ネットショッピングの利用者は単純に人口の多い大都市に集中する。ネットショッピングがさらに広がるに連れて、大都市に「陸の倉庫」が必要となっているのだ。

(続き)

日本では6月に大阪府吹田市で着工した施設は延べ床面積が約16万5000㎡で国内最大規模になる大阪中心部から約9kmの好立地で、オフィス用品通販のアスクルが借り切ることが決まっている。日本で建設した物流施設は約100棟に上り、賃貸物流施設市場で約2割のシェアを占め、米プロロジスと並んで最大規模だ。

GLP吹田アスクル

(2016年9月21日日本経済新聞朝刊9面抜粋)

こちらも東京ドーム3・5個分にあたる巨大倉庫だが、大阪中心部から約9kmの好立地という理由だけで、吹田に日本最大規模の倉庫を造るわけではない。航空写真を見るとその理由がわかる。

健都・吹田貨物ターミナル駅・GLP吹田アスクル航空写真

近くには、最近話題の健都(北大阪健康医療都市)もあるが、重要なのは、吹田貨物ターミナル駅が近接していることだ。吹田貨物ターミナル駅は、現在再開発が進められている「梅田北ヤード」の貨物駅としての機能が移転されたターミナル駅だ。

トラック輸送を船舶や鉄道に切り替える「モーダルシフト」は人手不足対策の切り札になるとみられている。政府は10月に改正物流総合効率化法を施行し、モーダルシフトへの補助を手厚くする。現状ではトラックがスピードとコストの両面で勝っているが、船舶利用も広がりそうだ。

国内の物流はトラックが8割を占め、船舶は1割、鉄道は1%にすぎない。だが、トラック運転手の35%は50歳に達しており、今後、人手不足が一段と深刻になるとみられる。[…]改正物流総合効率化法の柱の一つはモーダルシフトだ。トラック輸送から船舶や鉄道に輸送を切り替えた企業に、経費の最大2分の1を補助。財源に限りがあるものの、トラック輸送とのコスト差を縮小し船舶と鉄道による貨物輸送を2020年度に12年度比1割増やすことを目標に掲げる。

人手不足の解消には輸送手段の切り替えだけでなく、トラック輸送の効率化も欠かせない。国土交通省によるとトラックの積載率は平均4割にとどまる。同法は複数の企業によるトラックの共同配送も認定対象とした。イオンと花王が首都圏と中京圏のトラック物流で提携するなど企業の取り組みも出てきた。

(2016年9月24日日本経済新聞朝刊11面抜粋)

上記の理由も踏まえて、GLPは倉庫の建設に、吹田のこの地を選んだのだ。

いかがだっただろうか。倉庫(業)と言われてピンとこなかった人も、こう考えると身近にある不動産(業)の一つなのだ。

「ネットで注文したら商品がすぐ来るけど、これは倉庫業のおかげなんやで」

 

築港赤レンガ倉庫

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産仲介を行う。ITを駆使して資産として不動産を高く売却するために、2015年12月に日本で初めて、実際に不動産(マンション)を売却した不動産会社名と売却価格がわかる「iQra-channel(イクラちゃんねる)」をリリースし、売却実績の情報開示を行いつつ、不動産売却に関わる情報も発信している。宅地建物取引士。