不動産の贈与の制度-相続時精算課税と住宅取得等資金の非課税

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あなたが両親から資金の援助(贈与)を受けて不動産を購入する場合、「相続時精算課税制度」「住宅取得等資金の非課税制度」という2つの贈与税の特例制度の適用を受けることができるかもしれません。

この2つの制度の内容は全く異なります。

もし、あなたが両親から資金の援助(贈与)を受けて不動産購入を考えている場合には、事前にこの2つの制度の内容と違いを必ず理解して知っておくべきです。

ここでは相続時精算課税制度住宅取得等資金の非課税制度についてわかりやすく説明します。

 

相続時精算課税制度と相続時精算課税選択の特例とは?

まず「相続時精算課税制度」「相続時精算課税選択の特例」を知りましょう。

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・「相続時精算課税制度」と「相続時精算課税選択の特例」の違い

「相続時精算課税制度」は、贈与をする者が1月1日時点で60歳以上の親・祖父母で、贈与をする財産は現金、借入金の免除など何でも良いのに対して、「相続時精算課税選択の特例」は、贈与をする者が同じく親・祖父母だが年齢制限はなく、贈与をする財産も住宅を取得するためもしくはリフォームをするための資金であることに限られます

・どのような制度なのか

これらの制度は贈与税と相続税を一体化させた制度であり、あなたが将来、相続を受ける時に精算することを前提に、生きている間つまり相続関係にある親から子への生前贈与を行いやすくするための制度です。

もう少しわかりやすく説明すると、あなたが将来親などから相続を受けるであろう分を、現在利用するために早めに前借りするようなものです。前借りなので、相続の時にこの前借りした分を加えて相続の計算しなければなりません。そのため、この制度自体に相続税などの節税メリットはありません

・非課税となる金額について

非課税となる金額は2,500万円です。贈与を受けた額が2,500万円を超えた場合、一律20%の贈与税がかかります。このかかった贈与税については相続税額から控除されます。

・メリットとデメリット

非課税枠分はメリットでしょう。住宅などの贈与された財産は贈与された時の価額とされます。例えば、親のマンションをこの制度を利用して贈与を受け、将来相続した時にこのマンションが値上がりしていたならば、相続時よりも払う税金が安くなるかもしれれません。ただ、いつ相続が発生するかわかりませんし、メリットとは言えないかもしれません。

ただ、一般的に贈与は現金よりも住宅のほうが節税になります。なぜなら、住宅取得資金(現金)で贈与するよりも、住宅を贈与するほうが財産評価が下がるため、相続税の節税になるからです。しかし「小規模宅地等の特例」を受けることができないため、相続の時にこの制度を適用した方が有利な場合は贈与を受けない方が良いでしょう。

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贈与は毎年110万円までであれば税金はかかりませんが、相続時精算課税制度を利用した場合、その贈与してくれた人からは、110万円の制度を利用することができなくなります。(違う人からの贈与であれば110万円の基礎控除を受けることができます。)

 

住宅取得等資金の非課税制度

「住宅取得等資金の非課税制度」は、直系尊属である両親・祖父母・曽祖父母から不動産を購入する資金として贈与を受けた場合、一定の金額が非課税となる制度のことです。「住宅取得等資金の非課税制度」は単独で利用することも、相続時精算課税制度と組み合わせて利用することもできます

住宅取得等資金の非課税制度

非課税枠 +(基礎控除額110万円 or 相続時精算課税2,500万円)

非課税の限度額一覧表
良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋
2015年12月 1,500万円 1,000万円
2016年1月〜2019年3月 1,200万円 700万円
2019年4月〜2020年3月 3,000万円 2,500万円
2020年4月〜2021年3月 1,500万円 1,000万円
2021年4月〜 1,200万円 700万円

※2019年4月〜の数字は2019年10月1日の消費税率10%で住宅を取得した場合を前提にしています。

・適用条件

1.住宅の取得のために金銭の贈与を受け、実際にその金銭を住宅の取得資金にあてていること

住宅そのものの贈与や住宅取得後に贈与を受けたお金は対象になりません。つまり、相続時精算課税制度とは異なり、マンションなど不動産を贈与する場合はこの制度を利用できません。

2.直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与であること

実の父母だけでなく祖父母からの贈与も適用できます。

3.贈与を受ける者がその年の1月1日において20歳以上であること

贈与を受ける者は、贈与があった年に成人していなければなりません。

4.贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡しを受け同日までに居住していること、または居住することが確実であると見込まれていること

贈与を受けた年の翌年の3月15日までに物件を引渡ししてもらう必要があります。また同日までに住み始めるか、同年の12月31日までに住み始めていなければなりません(住むことが確実であると見込まれる状況)。

5.建物の登記簿面積が50㎡以上240㎡以下であること

登記簿面積で50㎡以上240㎡以下の物件が対象です(50㎡以下や240㎡以上は居住用不動産として見られません)。

6.中古住宅の場合は、建物の築年数がマンション等耐火建築物なら25年、木造等耐火建築物以外なら20年以内であること

中古住宅の場合には築年数の制限があります。ただし、この年数を超える場合でも以下の要件を満たす住宅であれば適用を受けれます。

  • 新耐震基準に適合していることについて証明されたもの
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のもの
  • 新耐震基準に適合しない物件であっても、取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、居住の日までに耐震修正工事を完了しているもの

7.贈与の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行っていること

贈与税がかからない場合でも、上記の申告期限内に贈与税の申告をする必要があります。

8.贈与を受ける者は贈与を受けた年の所得金額が2,000万円以下であること

贈与を受ける者は、その年の所得が2,000万を超えるとこの制度は利用できません。

 

まとめ

まとめると以下のようになります。

  相続時精算課税制度 相続時精算課税選択の特例 住宅取得等資金の非課税制度
非課税枠 2,500万円 1,200万円700万円
適用を受ける贈与者からの贈与については、110万円基礎控除をあわせて受けることはできない

この制度を利用した贈与者以外からの贈与財産については110万円の基礎控除を受けることができる

相続時精算課税制度と併用可能
贈与者 贈与のあった年の1月1日時点で60歳以上の親、祖父母 親、祖父母(年齢制限なし) 直系尊属(親・祖父母等で年齢制限なし)
受贈者 贈与のあった年の1月1日時点で20歳以上の推定相続人(代理相続人を含む)である直系卑属、孫

受贈者である兄弟姉妹がそれぞれ、贈与者である父母・祖父母ごとに選択することができる

贈与のあった年の1月1日時点で20歳以上の直系卑属
税率  非課税枠を超える部分に対して一律20% 非課税枠+基礎控除額を超える部分に対して累進課税(10%〜55%)

相続時精算課税制度と併用する場合は非課税枠を超える部分に対して一律20%

贈与財産  不動産・有価証券・借入金の免除・金銭など、どのような財産でも可能で、贈与財産の価格、贈与回数にも制限なし 自己の住宅およびその敷地の購入資金、一定の増改築の対価として充てるために受ける金銭の贈与であること(平成31年6月30日までの贈与分)
物件の引渡し 贈与の翌年3月15日までに、住宅の引渡しを受け、同日までに自宅として居住しているか、同日以降に遅滞なく自宅として居住することが確実と見込まれること(平成31年6月30日までに締結している住宅用家屋の取得等に係る契約に限る)
物件の要件 対象となる新築住宅

  • 床面積(登記簿面積)50㎡以上
  • 店舗併用型住宅の場合1/2以上が住宅

対象となる中古住宅

  • 建築後、住宅として使用されたものであること。
  • 床面積(登記簿面積)50㎡ 以上
  • 店舗併用型住宅の場合1/2以上が住宅
  • マンション等耐火建築物は25年以内、木造等耐火建築物以外は20年以内に建築されたものであること。この年数を超えている場合はその住宅が(A)新耐震基準に適合していることについて証明されたものや、(B)既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のもの、(C)新耐震基準に適合しない物件であっても、取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、居住の日までに耐震修正工事を完了している等の要件を満たす住宅であること。

増改築

  • 床面積(登記簿面積)50㎡以上の家屋に対する増改築。
  • 工事費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工事費が、全体の工事費の1/2以上であること。
  • 店舗併用型住宅の場合1/2以上が住宅であること。
対象となる新築住宅

  • 床面積(登記簿面積)50㎡以上240㎡以下
  • 店舗併用型住宅の場合1/2以上が住宅

対象となる中古住宅

  • 建築後、住宅として使用されたものであること。
  • 床面積(登記簿面積)50㎡以上240㎡以下
  • 店舗併用型住宅の場合1/2以上が住宅
  • マンション等耐火建築物は25年以内、木造等耐火建築物以外は20年以内に建築されたものであること。この年数を超えている場合はその住宅が(A)新耐震基準に適合していることについて証明されたものや、(B)既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のもの、(C)新耐震基準に適合しない物件であっても、取得の日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、居住の日までに耐震修正工事を完了している等の要件を満たす住宅であること。

増改築

  • 床面積(登記簿面積)50㎡以上240㎡以下の家屋に対する増改築。
  • 工事費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工事費が、全体の工事費の1/2以上であること。
  • 店舗併用型住宅の場合1/2以上が住宅であること。

※床面積(登記簿面積)上限240㎡は震災被災者は除く

申告義務 税金が生じなくても贈与の翌年2月1日より3月15日までに最寄りの税務署に贈与税の申告を行わなければならない

相続時精算課税制度を選択した場合には、その選択をした贈与者からの贈与についてはその贈与者の相続時まで本制度の適用が継続され、撤回することができない

その他  受贈者の所得金額が2,000万円)給与の場合約2,245万円)を超える場合には非課税枠が0円となる
  • 住宅購入資金として贈与を検討する際には、まずは「住宅取得等資金の非課税」を検討します。
  • 住宅取得等資金の非課税枠は、時期や良質な住宅用家屋であるかによって大きく変わります。
  • それでも足りなくて贈与を受けたい場合には、「基礎控除110万円」か「相続時精算課税2,500万円」を利用します。
  • 「相続時精算課税」は将来の貰える相続分の前借りです。
  • マンションなど不動産の贈与は相続時精算課税制度を利用します。

 

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