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不動産の相続税の計算方法についてわかりやすく説明する

不動産の相続税の計算方法についてわかりやすく説明する

相続税の計算は正直面倒です。

相続がすべて現金であれば、現実に誰にいくらずつ分けていけば良いのか簡単にわかりますが、そこに価格がよくわからない不動産が入ることで一気に難しく感じます。

しかし、一つずつきっちりと理解していけばそれほど難しいものでもありません。

ここでは、不動産の相続税の計算方法についてわかりやすく説明します。

相続税の計算方法

もし、不動産の相続税がどういうものか知らないのであれば、まず先に「不動産の相続税とはなにかわかりやすくまとめた」をご覧ください。そうでなければ相続税の計算方法を理解することはできません。

不動産の相続税とはなにかわかりやすくまとめた

2016.01.19

① まずは各相続人(相続を受けた人)の「課税価格の合計額」(A)を計算する

(A)課税価格の合計額(正味遺産額) = 本来の相続財産 + みなし相続財産 − 非課税財産 − 債務・葬式費用 + 3年以内の贈与財産 + 相続時精算課税制度を選択した贈与財産

本来の相続財産 相続などにより取得した財産。土地、建物、現預金、有価証券など
みなし相続財産 被相続人の死亡に起因して得られる財産。死亡生命保険金、死亡退職金など
非課税財産
  • 墓地、仏壇、祭具などの祭祀用財産
  • 国・地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
  • 生命保険金のうち、法定相続人の数 × 500万円に相当する額
  • 死亡退職金のうち、法定相続人の数 × 500万円に相当する額など

② 次に「課税遺産額」(B)の計算をする

(B)課税遺産額 = 課税価格の合計額(A) − 遺産にかかる基礎控除

遺産にかかる基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で求めることができます。基礎控除の金額が「課税価格の合計額」より大きい場合は、相続税はかからず、申告も必要ありません。

③ 「相続税の総額」(C)の計算をする

(ア)「課税遺産額」(B)を法定相続分で按分(あんぶん)します。

法定相続人 法定相続分
配偶者直系卑属(子供・孫)の場合 配偶者1/2
子供(孫)1/2(複数の場合人数按分)
配偶者直系尊属(父母・祖父母)の場合 配偶者2/3
父母(祖父母)1/3(複数の場合人数按分)
配偶者兄弟姉妹の場合 配偶者3/4
兄弟姉妹1/4(複数の場合人数按分)

(イ)各法定相続人ごとに相続税を計算します。

各相続人の相続税 = 法定相続人の取得金額(「課税遺産額」(B) × 法定相続分) × 税率 − 控除額

法定相続人の取得金額・税率・控除額については次の通りです。

法定相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0万円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

(ウ)各法定相続人(イ)ごとの税額を合計して「相続税の総額」(C)を算出します。

④ 各相続人の税額を算出する

各相続人の税額 = 「相続税の総額」(C) × 各人の課税価格 ÷ 「課税価格の合計額」(A)

⑤ 各相続人の納付税額を算出する

各相続人の税額に次の各種税額控除等が該当する場合、加算・減算します。

加減算 税額控除等 内容
+ 2割加算 相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される。
贈与税額控除 贈与税額控除とは、贈与税と相続税の二重課税を排除するために作られた法律。相続財産を取得した方が、相続開始前の3年以内に被相続人(死亡した人)から贈与された財産は、相続税の対象となる。しかし財産の贈与を受けた際に、贈与税を支払っている場合には、その財産は贈与税も相続税も支払うこととなり、二重課税となる。二重課税を防ぐために、払った贈与税額を相続税から控除することが認められている。
未成年者控除 未成年者控除の額は、その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額。年数の計算に当たっては、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算する。例えば、未成年者の年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨て15歳で計算する。この場合、20歳までの年数は5年になり、未成年者控除額は、10万円×5年で50万円となる。なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合には、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができる。
相次相続控除 今回の相続開始前10年以内に被相続人(死亡した人)が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除する。(詳しくは国税庁のHP「相次相続控除」を参照)
配偶者の税額軽減 配偶者の税額軽減とは、被相続人(死亡した人)の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度。

・1億6千万円
・配偶者の法定相続分相当額

障害者控除 相続人が85歳未満の障害者のときは、相続税の額から一定の金額を差し引く。障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額になる。特別障害者の場合は1年につき20万円となる。また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合は、その引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができる。
外国税額控除 外国税額控除は、外国と日本の両方で相続税を払わなくてもよいという制度のこと。海外に財産を持っていた場合、外国で日本の相続税にあたる税金を払うことがある。そうした場合は二重課税になるので、外国で払った相続税金分を、日本の相続税から差し引くことができる。
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相続税を計算してみる

実際に計算してみましょう。

例題

平成30年1月に夫が死亡し、妻と成人の子供2人が1億円の財産を相続しました。夫には、住宅ローンの残額が2,000万円あり、葬式費用には500万円かかったとします。遺産は妻が5分の3を取得し、残りを子供に均等に配分した場合、相続税はいくらになるでしょうか。

遺産相続のルールに関しては次の優先順位があります。

  1. 遺言による指定
  2. 遺産分割協議
  3. 民法の法定相続分

まず、被相続人(死亡した人)が、遺言で遺産の分け方を書き残している場合には、それに従わなくてはなりません。民法では、遺留分に反しない限り、まず遺言による指定が優先すると定めているからです。

次に、遺言がない場合には、相続人(相続を受ける人)全員で、遺産をどう分けるかの話し合い(遺産分割協議)を行います。ここで、相続人全員の同意があれば「遺産は全て配偶者が相続する」というように、偏った配分でも問題ありません。しかし、この遺産分割協議がまとまらない場合は、最終的には家庭裁判所の調停や審判で相続分を定めることになります。そして、ここで「法定相続分」を使います。

つまり「法定相続分」というのは、必ずしも相続人が守らなければいけないルールではなく、裁判官がこの割合を目安に調停や審判をするというルールといえます。

さて、上記の相続税の計算方法をもとに計算しましょう。

① まずは各相続人(=相続を受けた人)の「課税価格の合計額」(A)を計算する

(A)課税価格の合計額 = 本来の相続財産 + みなし相続財産 − 非課税財産 − 債務・葬式費用 + 3年以内の贈与財産 + 相続時精算課税制度を選択した贈与財産

ここでの課税価格の合計額は「財産 − 負債 − 葬儀費用」になるので、1億円 − 2,000万円 − 500万円で7,500万円です。

② 次に「課税遺産額」(B)の計算をする

(B)課税遺産額 = 課税価格の合計額(A) − 遺産にかかる基礎控除

基礎控除は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」なので、3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円になります。

課税遺産額は「課税価格合計額 − 基礎控除」になるので、7,500万円 − 4,800万円で2,700万円です。

③ 「相続税の総額」(C)の計算をする

各相続人の相続税 = 法定相続人の取得金額(「課税遺産額」(B) × 法定相続分) × 税率 − 控除額

課税遺産額を法定相続分で按分します。

・妻→2,700万円 × 1/2 = 1,350万円
・子→2,700万円 × 1/4 = 675万円
・子→2,700万円 × 1/4 = 675万円

法定相続人ごとに算出した相続税を合計し総額を求めます。

・妻→1,350万円 × 15% − 50万円 = 152.5万円
・子→675万円 × 10% = 67.5万円
・子→675万円 × 10% = 67.5万円
合計287.5万円

④ 各相続人の税額を算出する

相続税の総額を各相続人の実際の取得割合により按分します。

・妻→287.5万円 × 3/5 = 172.5万円
・子→287.5万円 × 1/5 = 57.5万円
・子→287.5万円 × 1/5 = 57.5万円
合計=287.5万円

⑤ 各相続人の納付税額を算出する

配偶者には税額控除があり、1億6,000万円までは相続税がかかりません

配偶者の税額軽減

夫婦は助け合って生活し一緒に財産を形成しているにもかかわらず、夫婦は同世代であることが多いため短期間に相続が2回発生し、同じ財産に2度相続税がかかってしまうことがあります。

このような事情を考慮して、配偶者の老後の保障を目的とした「配偶者の税額軽減」という制度が設けられています。この制度を利用すると、配偶者であれば最低でも1億6,000万円までは相続税がかかりません。

「配偶者の課税価格」「課税価格の合計額 × 配偶者の法定相続分」のうち少ない金額が1億6,000万円以下の場合、相続税がかかりません。

(ア) 配偶者の課税価格(取得割合分)

・7,500万円 × 3/5 = 4,500万円

(イ) 配偶者の法定相続分

・7,500万円 × 1/2 = 3,750万円

(ア)と(イ)ともに課税価格が1億6,000万円以下なので、配偶者は相続税がかかりません。

結果、妻は相続税を支払う必要はなく、子は57.5万円ずつ相続税を支払います。つまり相続税の合計額は115万円ということになります。

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この記事の執筆者

福本 拓矢
福本 拓矢ふくもと たくや

グラビス税理士法人代表。1986年和歌山生まれ。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。
現職の前身である石川税理士事務所に入所後、多岐に渡る業種の税務に携わる。
2017年1月に税理士法人化、2018年4月に代表社員就任。
不動産オーナーに対する税務支援も多いが、宅地建物取引士の知識を活かして税務の視点だけに囚われない提案を行う。
主な資格は、税理士宅地建物取引士AFP相続診断士など。

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