IT重説の解禁を見越し、不動産賃貸契約もネットで完結する動きが広がる

この秋に、不動産賃貸においてITを活用した重要事項説明、いわゆるIT重説が解禁されるのを見越して、不動産各社は不動産賃貸契約をネットで完結できるよう取り組んでいます。

賃貸契約 ネットで完結 東急不・アパマン まず書類電子化

賃貸住宅の契約をネット上で完結させることを目指した取り組みが広がっている。東急不動産ホールディングス(HD)などはまず契約書類をネット上で作成できるようにする。今秋にも賃貸住宅を契約する際の有資格者による入居者への説明が、対面だけではなくネット上でも解禁される見通し。規制緩和後はネット上で契約に関する一連の手続きが済むようにして利便性を高める。

東急不動産HDの不動産管理子会社、東急住宅リース(東京・新宿)は、ソフトバンクコマース&サービス(東京・港)と共同で電子契約システム「IMAoS(イマオス)」を開発した。近くネット上で契約書を作成可能にする。

※ソフトバンクC&S「IMAoS(イマオス)」

IMAoS

これまで物件の賃貸契約は入居者、不動産仲介会社、管理会社、貸主の間で書面の契約書を郵送などでやりとりし、直接記入、押印していた。新システムではサーバー上にある契約書に、インターネット閲覧ソフトを通じて書き込める。押印も電子署名で代替する。

書類完成まで従来は平均で3~4日かかっていたが、1~2日と半分以下に短縮できる。入居者にとっても書類を保管する手間などが省ける。

アパマンショップホールディングスも電子署名サービスを展開するドキュサイン・ジャパン(東京・港)と組み、賃貸契約書の作成の電子化を実現した。アパマンの管理物件の情報を登録したデータベースとドキュサインの電子署名システムを連携した。印刷代や郵送費などを削減する。

※ドキュサイン・ジャパン

ドキュサインジャパン

各社がネット上での契約書類作成に取り組むのは、今秋にも賃貸住宅を契約する際のIT(情報技術)を活用した「重要事項説明」が解禁される見通しのためだ。

宅地建物取引業法では宅地建物取引士が入居者に対し、契約期間や物件の設備などについて説明することを義務付けている。これまでは事実上、対面で説明を受ける必要があったが、法解釈の変更によりテレビ電話などでも可能にする。ネットでの契約書作成と組み合わせれば、ネット上で一連の契約手続きが完了する。遠隔地の物件を借りる際などの利便性が向上する。

三井不動産や住友不動産は「契約書作成の電子化の取り組みはこれから」としている。他の業界に比べて不動産業界はIT活用が遅れがちとされるが、積極活用を図る動きが広がりそうだ。

(2017年8月23日日本経済新聞朝刊14面抜粋)

ITを活用した重要事項説明(IT重説)とは、今まで原則対面だった不動産の売買契約や賃貸借契約の重要事項説明を、テレビ電話やテレビ会議システムなどを利用し、非対面で行う方法です。

2015年8月~17年1月末に、国土交通省が実施したITを活用した重要事項説明に係る社会実験では、IT重説が1071件行われ、うち賃貸取引は1069件、売買取引は2件でした。賃貸仲介に関しては、目立ったトラブルが発生しなかったことから、10月をめどに賃貸仲介で、IT重説が解禁される見込みとなっています。

売買仲介については充分な検証ができていないため、1年間の社会実験を行って検討するとしています。

上記の記事は、IT重説に伴い、契約も電子化する流れになってきているという話です。

契約書が電子化できることは想像できると思うのですが、不動産賃貸契約自体が電子化できるのかという点については、新規契約(仲介)は宅建業法37条に定める書面を別途、書面にて交付すれば、契約自体は電子化が可能と解釈されています。また、貸主の直接契約や更新契約は法的な制限がありません。

※新規契約(仲介)での宅建業法37条書面…契約書に記載されている情報(≒契約書)

交付時期 契約締結後、遅滞なく
作成者 宅建業者
交付対象者 賃借の場合は貸主と借主
交付方法 宅建取引士である必要はなし。説明義務なし
記名捺印 取引士の記名押印
交付場所 制限なし
必須記載内容 ・当事者の氏名、住所
・宅地建物を特定するために必要な表示
・借賃の額
・支払時期と支払方法
・宅地建物の引渡し時期

そもそも、契約自体は口頭でも紙でも電子データでも成立するのであって、後で契約成立を立証できるなら、口頭・書面・電子ファイルを問わず法的に有効と解釈できるからです。そのため、電子契約ファイルで作成・印刷し、取引士が記名・押印を行えば37条書面を作成することができます。

不動産会社のメリットとして次のようなものがあげられます。

・郵送費用や収入印紙を削減できる
・業者間の書類の回収手間を改善できる
・急ぎの案件でも当日中に契約ができる

また、借主・貸主のメリットとして次のようなものがあげられます。

・印鑑がなくても契約ができる
・スマートフォンで契約ができる
・店舗に行けなくても効率的・短時間で契約ができる
・紙の契約書の保管・管理は不要で、PDFファイルを契約書の原本として保管できる

これらは、これまでの対面の契約の概念を大幅に変える可能性が高く、IT活用が遅れている不動産業界でも積極的に導入を図る動きが広がりそうです。

 

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