土地の査定方法「取引事例比較法」についてわかりやすく説明する

土地の査定方法「取引事例比較法」についてわかりやすく説明する

不動産を売却する際は、査定してもらいますよね。

査定金額を出す方法として大きく3つの方法があります。

ここでは、その中でも土地の査定価格を出すときに使われる「取引事例比較法」についてわかりやすく説明します。

 

取引事例比較法

取引事例比較法とは、売却する不動産と条件が近い不動産の過去の成約事例(最終契約価格)を適切に選択し、平均㎡(坪)単価をベースに、比較物件と方角・前面道路・高低差などを考慮の上、査定価格を出す方法です。ただし、不動産買取のように相場より大幅に価格が下回る場合は、事情補正といって含めません。また、景気や物価などの時点修正も考慮します。取引事例比較法は、土地や中古マンションの査定方法として多く利用されます。

土地机上査定の求め方

例えば上記の場合、過去の成約事例の内容が土地面積100㎡(30.25坪)・成約価格3000万円のため、3000万円÷100㎡で1㎡あたり30万円です。査定の土地は90㎡なので、単純に90㎡×30万円で2700万円が査定価格ということになります。これが机上査定と言われる査定方法です。

過去の成約事例については、不動産会社だけが利用できるレインズで調べることができます(2017年6月1日現在、不動産会社以外の人が見ることができるのはイクラちゃんねるのみです)。レインズに掲載している成約事例については、不動産会社であればどの不動産会社でも見ることができます。つまり、取引事例比較法を使った査定価格は、どの不動産会社が査定してもだいたい同じ価格が出てくるということになります。これが、いわゆる相場価格というものです。

不動産の相場価格とは成約価格であって売出価格ではない

不動産の相場価格とは成約価格であって売出価格ではない

2017.05.27

マンションも取引事例比較法で査定価格を出します。

マンションの査定方法「取引事例比較法」についてわかりやすく説明する

2017.06.16

取引事例比較法以外、他にも以下のような査定価格を出す方法があります。

収益還元法

収益還元法とは、物件自体が将来どれぐらいの稼ぎ出せるのか、収益力に基づいて不動産の価格を求める方法です。当然ですが、その物件の収益力が高ければ物件価格も高くなり、収益力が低ければ物件価格も安くなります。住むための不動産、居住用不動産は稼ぐ力は求められませんので、この方法はアパートや賃貸マンションなど投資用不動産(収益物件)を査定方法として多く利用されます。

投資用不動産(収益物件)の査定方法「収益還元法」についてわかりやすく説明する

2017.03.12

原価法

原価法とは、今ある不動産と同じ建物をもう一度建てたときにいくら掛かるのかを計算(=再調達原価)し、建物が老朽化していたり設備が劣化している場合にはその分だけ評価額から差し引く(=減価修正)ことで、査定価格を出す方法です。土地付き建物の評価額を出す際には有効な計算方法と言われています。

一戸建て(建物)の査定方法「原価法」についてわかりやすく説明する

2017.05.28

では、不動産の実務ではどのように査定しているのか、もう少し具体的に詳しくみてみましょう。

 

土地の査定方法

不動産会社に査定を依頼すると「査定書」がもらえます。査定書の中身は「住宅地価格査定マニュアル」に則り作成されています。住宅地価格査定マニュアルは、取引事例比較法に基いて査定価格を出します。

マンション価格査定マニュアルとは、1980(昭和55)年の宅地建物取引業法改正により、媒介契約の制度が施行されたことに共に開発されたものです。

どの媒介契約が一番多いの?なぜ、その不動産会社にお願いしたの?

宅地建物取引業者(不動産会社)が媒介契約において、媒介価額(査定価格)についての意見を述べる際には、根拠を明らかにしなければならないことが宅地建物取引業法により義務付けられました。

宅地建物取引業者は、前項第二号(当該宅地または建物を売買すべき価額またはその評価額)の価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

(宅地建物取引業法第34条の2第2項)

この根拠を明らかにする方法の一つとして、建設省(現:国土交通省)委託調査による価格査定マニュアルが発表され、これを実現化したものが不動産流通推進センターの策定した価格査定マニュアルです。この「住宅地価格査定マニュアル」は、不動産市場に出回っている一般的な住宅地を対象とし、その査定価格を出すために利用されています。

価格査定マニュアルの査定の対象となる土地は「一般的な戸建住宅用地(住宅地)」で、以下の土地は査定対象としていません。

・規模のまとまった戸建住宅用の開発用地
・中高層共同住宅用地(マンション開発用地)
・別荘地
・工業用地
・事業用・業務用地(店舗・事務所ビル用地)
・田・畑などの農地
・山林
・農家集落地域に存する用地
・行政法令に照らして、建物が建築できないまたは再建築できない土地
・査定の対象となる土地だけでは現実的には建物の建築に不向きな土地
(建物の建築を想定する場合、隣接する土地の買収を必要とする土地)
・特に著名な優良住宅地域にあって総額が大きくなる土地

査定の対象としない理由

規模のまとまった、戸建住宅またはマンション開発用地

造成費、分譲可能な土地面積や専有面積など、分譲業者の立場から見た投資にウエイトがおかれた価格で取引されることが多く、一般の売主・買主によって個々に取引される一般的な戸建住宅用地とは価格の捉え方が大きく異なるため、価格査定マニュアルでは査定の対象外です。

事業用地

収益性などをふまえた取引が多く、一般的な(標準的な)住宅地と評価方法が異なるため、価格査定マニュアルでは査定の対象外です。

農業集落地域に存する土地や別荘地

一般的な(標準的な)住宅地と価値形成要因が異なるため、価格査定マニュアルでは査定の対象外です。

隣接する用地の買収を必要とする土地

単独では建物を建築できないが、隣接する用地を買収することにより建築できる画地についても、コンサルタント的な分析を要するため、価格査定マニュアルでは査定の対象外です。隣接する用地を買収することにより建物を建築できる画地には、行政法令に照らし建物を建設できる要件を満たすものであっても、建物の建築が事実上不可能な土地も含むものとします。

以下の手順で査定価格を出します。

①実際に売買された土地(成約事例)を選びます。

②査定を行う土地(査定地)と成約事例の土地(事例地)のそれぞれについて「交通・近隣状況」「環境・供給施設」「街路状況」「画地状況」の各条件について判定、評価を行います。この判定、評価の結果は評点(評価得点)で表されます。

③2つの土地の評点の比較結果と事例地の成約価格(売買価格)を基に、査定を行う土地の査定価格を出します。

◯◯万円で成約した事例の土地は、判定・評価の結果、評点は◯◯点、これを査定を行う土地と比較すると、査定地の評点は◎◎点なので、査定価格は◎◎万円という計算になるという考え方

査定時に最低限必要な項目は以下の通りです。

項目 内容
年月日(査定/成約) 査定地の査定年月日
事例地の成約年月日
面積 査定地・事例地の㎡数
価格(成約) 事例地の成約価格
(建物付き土地の場合は事例価格から建物価格を除いた価格)

土地(住宅地)査定条件記入用紙はこちらから

 

成約事例の土地の選び方

住宅地価格査定マニュアルは取引事例比較法を使った査定方法であり、できる限り複数の事例を比較した上で、選定した1件の成約した事例の土地と比較して査定価格を出すため、選んだ取引事例によって査定結果は変化します。選んだ事例が適切であれば、精度が高く信頼できる査定価格となります。

買い進み、売り急ぎ(買取)などの特殊な事情により、地域の価格水準と大きくかけ離れていないことを前提とし、以下の条件から選びます。

事例地の選定条件

・取引時点が過去半年以内の物件(成約年月日が査定時点から半年以内の物件)
・同品等、同規模の事例地
・査定地と同一圏内の事例地
・査定地と都市計画区域が同じ取引事例

同品等、同規模の事例地

品等とは住宅地としてのグレード(地位[じぐらい])のことを指します。

・鉄道の最寄駅もしくは中心街が同一かつ同一方向
・バスまたは電車などの路線が同一方向
・分譲住宅の場合はなるべく同一分譲地内
・前面道路の幅員、周辺の街並み、街路の状況が類似
・地域の分類(優良住宅地、標準住宅地、混在地域)が同一
用途地域が同一または類似
・価格水準(いわゆる相場)に大きな格差がない

査定地と同一圏内の事例地

鉄道の最寄駅もしくは中心街から徒歩20分(道路距離1600m)までの圏域を「徒歩圏」、これを超える圏域を「バス圏」と区分し、査定地と同じ圏内の事例地を選びます。なお、通勤、通学、買物などの「主たる移動手段」が鉄道やバスではなく、自家用車であるエリアの場合は、地域の事情に応じて同一圏内を判断します。

査定地と都市計画区域が同じ取引事例

都市計画法では、まず区域として、都市計画を定める対象となる都市計画区域とそれ以外である都市計画区域外に分けています。その上でさらに都市計画区域は、市街化区域市街化調整区域非線引区域に分けられます。

「都市計画法に基づく制限」とはなにか

2016.07.03

用語の定義

・徒歩圏:徒歩圏は、徒歩20分以内に最寄駅、または中心街へ行ける圏内を指します。普段は徒歩ではなく、自転車・自動車・バスを利用することが多い場合でも、この条件に合う場合は徒歩圏として評価します。

・バス圏:徒歩圏以外の地域はすべてバス圏となります。徒歩圏と同じく、普段はバスに乗らないで、徒歩・自転車・自動車などを利用する場合でも徒歩圏以外はバス圏として評価します。

・最寄駅:最寄駅とは、その地域の住民が日常利用する鉄道の駅です。

・中心街:中心街とは、その地域の代表的ば商業施設、公共施設、企業などが集まっている地域をさします。最寄駅が距離的・時間的な理由で、その地域の住民の通勤や日常生活で利用されることが少ない場合は、中心街まで何分で行けるかその時間距離を評価します。

・徒歩◯分:徒歩1分は距離80mに相当します。単位は分単位とし、1分未満の時間は切り上げとします。例えば、距離120mは1分30秒ですが、表記は徒歩2分となります。

以下のようなケースは事例地として選ぶべきではありません。

・画地の形状が不整形な土地
・路地状敷地(ただし、査定地が路地状敷地の場合、事例地も路地状敷地を選べば査定可能です。)
道路予定地などを含む土地
・地積(土地の面積)過小、または地積過大な土地(該当地域の標準的な地積より過小、または過大である事例地は、標準的な単価水準となり得ないため、できるだけ事例地として選ぶべきではありません)
高圧線下地(ただし、高圧線下地の場合、事例地も高圧線下地を選べば査定可能です。)
・地役権が設定されている土地、借地権及び底地
・貸家建付地(かしやたてつけち…アパート、貸家などの収益物件の敷地)
・区分所有建物(マンション)の敷地

つまり、事例地はできるだけ成約年月日が新しくできるだけ査定地と近くて似たような事例を選ぶということになります。

 

交通・近隣状況について

査定地・事例地双方について、「交通の便」「立地条件」の項目を選び評点を求めます。

交通の便については以下を見て選びます。

・徒歩圏/バス圏の選択
・徒歩圏の場合、徒歩分数
・バス圏の場合、バス分数
・バス圏の場合、バス停までの徒歩分数
・バス圏の場合、バスの運行便数

近隣の状況については以下を見て選びます

・店舗への徒歩距離(徒歩10分以内にあるかどうか)
・公共施設への利便性
・街並み
・近隣の利用の状況

 

環境・供給施設について

査定地・事例地双方について、「環境」「供給処理施設」の項目を選び評点を求めます。

環境については以下を見て選びます。

・騒音や振動の有無
・日照、採光、通風、乾湿の状況
・眺望や景観の状況

供給処理施設については以下を見て選びます。

下水処理の状況(排水施設)
ガスの引き込み状況(ガス施設)

「飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況」とはなにか

2016.08.03

 

街路状況について

査定地・事例地双方について、以下の項目を選び評点を求めます。

・方位:前面道路の接道面(角地かどうか)、方位

・幅員:前面道路の幅員(6m以上・5m以上6m未満・4m以上5m未満・3m以上4m未満[車両進入可能]・3m未満[車両進入不可])

・路面の状況:路面の状態(良い・悪い・未舗装)

・周辺街路の整備・配置状況(計画的で整然・ほぼ整然・計画性なく無秩序、行き止まり)

・公道・私道の区別(公道に面する住宅地・私道に面する住宅地)

 

画地状況について

査定地・事例地双方について、以下の項目を選び評点を求めます。

・間口:間口のm数。私道行き止まり画地に該当する場合はそちらを選びます。

・形状:土地の形状(整形・やや不整形・不整形・相当に不整形・極端に不整形)

以下は該当する場合において選びます。

・路地状敷地(奥行のm数・路地状部分の㎡数)

・崖地・法地(崖地及び法地の㎡数・利用できるかどうか・方位)

・都市計画道路予定地

・高圧線下地(高圧線下地部分の㎡数・減価率)

・前面道路との高低差

 

流動性比率について

最後に流通性比率によって査定価格を調整します。

流通性比率とは、土地査定価格に対して、最後にその物件が売りやすいか売りにくいか、という市場流通性(売りたい人に対して買いたい人の数が多い場合は売りやすいため流通性は高い)の度合いをいいます。流通性比率を判断して、必要に応じた調整を行います。

対象となる調整項目と調整比率は以下の通りです。1.00(100%)を基準とし、マイナス15%からプラス10%の範囲内で、売りやすければプラス、売りにくければマイナスとして評価します。

①価格(1.10〜0.85)
・査定価格が市場における売れ筋物件の価格帯を大きく逸脱していないか

②物件の需給状況(1.10〜0.85)
・地域における物件量が極端に多い、またはめったに物件が出ない地域か

③地域の特性(1.03〜0.97)
・地域的に知名度が高く売り物が出るとすぐに売れる地域か、逆に安くても敬遠される地域か

④その他(1.05〜0.95)
・上記以外に、特に加点・減点を考慮すべき市場性の要素がある(例:駐車スペースの有無など)
・居住者に不快感・不安感を与えるような施設の影響の有無

(査定価格◯◯万円 × 流動性比率) = 調整後の査定価格◯◯万円

これで完成です。これらの査定評価をもって不動産会社は売出価格の提案をします。

 

まとめ

これまでの情報を住宅地価格査定マニュアルのシステムに入力すると、以下のような査定価格結果が出ます。

不動産流通推進センター価格査定マニュアルより抜粋)

不動産査定を依頼するとき、「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。机上査定は、「①過去の成約価格」「周辺の類似物件」「③不動産市場の動向」などのデータを元に、おおよその不動産査定金額を算出する方法です。つまり、不動産会社が不動産を見ずに査定する方法です。

机上査定でおおよその価格は出すことができます。しかし、おわかりのように、価格査定マニュアルを元に訪問査定をしなければ正確な査定価格を算出することはできません。特に土地は、正確な調査が必要になります。

もし、本気で売却を考えていて、土地の査定価格を知りたい方は、不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。査定はどの会社であっても無料ですのでご安心ください。

訪問査定で売却をお任せすべき不動産会社かを簡単に見極める方法

訪問査定で売却をお任せすべき不動産会社かを簡単に見極める方法

2016.10.10

土地・一戸建て・マンションの売却を扱っている不動産会社の調べ方

土地・一戸建て・マンションの売却を扱っている不動産会社の調べ方

2016.10.16
土地の査定方法「取引事例比較法」についてわかりやすく説明する

あなたの不動産はいくら?

iQra-channel(イクラちゃんねる)では、気になるマンションや、ご自宅のマンションの売却価格がその場でわかる!また、どこの不動産会社が売却したのかもわかる!最新の相場価格を公開中!