タワーマンション節税の「終わりのはじまり」

タワーマンション節税規制画像byイクラちゃんねる

先日、東京23区の2月の中古マンションの値上がりが19カ月連続で止まったという記事が出た。

同時にアベノミクスと共に全盛を迎えたタワーマンション節税にも終わりが近づいているようだ。

総務省と国税庁は2018年にも、価格の割に相続税が安くて済む高層マンションを節税目的で購入する動きに歯止めをかける検討に入った。現在は階層や購入価格にかかわらず一律となっている相続税の「評価額」を高層階に行くほど引き上げ、節税効果を薄める。高層階の物件は税負担が重くなる一方で、低層階を中心に負担が軽くなる人も出てきそうだ。

(2016年1月24日『日本経済新聞』朝刊1面)

そもそもタワーマンション節税とはなんだろうか。

タワーマンションは眺望が良い高層階に行くほど価格が高い。同じ面積でも、低層階の数倍になることもある。しかし、相続税の算定基準となる「評価額」は階層や日当たりの条件によって差がつかず一律となっている。なぜなら、現在はマンション1棟全体の評価額を各戸の所有者がそれぞれの床面積で均等に分割しているからだ。

タワーマンション節税規制画像byイクラちゃんねる国税庁は昨年11月から、2011~13年分確定申告のうち全国の20階以上のマンションの譲渡(=売却)があった住戸343物件を調べたところ、評価額は平均すると市場価格の3分の1にとどまっていた。言い換えると売却金額が評価額の約3.0倍で、最大で約6.9倍のケースもあった。つまり、超高層部の部屋を買えば現金で相続する場合よりも相続税を減らせることが多いということだ。

例えば現金1億円を相続すれば、(財産額から差し引ける非課税枠(基礎控除)などを考慮しない単純計算の場合で)税率30%相当、3000万円の税金がかかる。一方、1億円でタワーマンションを購入すれば課税上の評価額が数分の1ほどに小さくなる。評価額が3000万円なら相続税は15%相当の450万円で済む。

これがタワーマンション節税の仕組みだ。

タワーマンション減税規制画像byイクラちゃんねる

上記の写真のようにタワーマンションは夜になっても部屋の明かりがついていない部屋が多くみられる。これは居住しているわけではなく、節税目的で購入しているケースも多いからだ。

タワーマンション節税が人気になったのは、2015年1月に相続税が引き上げられたことと大きな関係がある

そのため相続税についても知っておかなければならない。

相続税とは、相続や遺言によって贈与する遺贈で得た現金や有価証券(≒株券)・土地・建物といった財産に課す税金のことだ。相続財産から税金がかからない非課税枠(基礎控除)を引いた額が対象となる。基礎控除は2014年まで「5,000万円+法定相続人1人あたり1,000万円」だったが、2015年1月からは「3,000万円+法定相続人1人あたり600万円」に縮小した。そのため地価の高い都心部などで課税の対象者が広がっているようだ。

課税財産額に応じた税率も2015年1月から上がった。2014年までは10〜50%の6段階だったが、8段階に変わり、最高税率は55%になった。過去30年間で見ると基礎控除は徐々に広がり、最高税率は下がってきていたが、15年1月の税制改正で、事実上の相続税増税の流れにかわった。

課税対象の遺産額 税率
1,000万円まで 10%
3,000万円まで 15%
5,000万円まで 20%
1億円まで 30%
2億円まで 40%
3億円まで 45%
6億円まで 50%
6億円超 55%

相続税について詳しく知りたい方は以下を参照して欲しい。

相続税がかかる?不動産の相続についてわかりやすく説明する

2016.01.19

タワーマンション節税規制画像byイクラちゃんねる加えて、タワーマンションの場合、限られた敷地(土地)に家の戸数が何百戸もあり、1戸あたりの土地の所有持分が小さくなる。そのため相続税評価額も小さくなるのだ。

上記のような流れもあり、タワーマンション節税人気に火がついた形だ。

では、タワーマンション節税は今後どうなってしまうのだろうか。

総務省と国税庁は実際の物件価格に合わせ、階によって評価額を増減するよう計算方法を見直す。具体的な増減幅は今後詰める。高層マンションの20階は1階の10%増し、30階は20%増しといったかたちで一定の補正を行う案が有力だ。市場価格1億円の高層マンションを相続すると、3000万円だった評価額が省令改正で4000万円に上がるケースも考えられる。これまで3000万に税率15%をかけた450万円の税負担で済んだものが4000万円に20%をかけた800万円に増える。

(2016年1月24日『日本経済新聞』朝刊1面)

タワーマンション節税規制画像byイクラちゃんねる財産評価の通達には「著しく不適当と認められる評価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という例外的な項目があり、現在でも実際に売買価格を用いて課税した例もある。

加えて、今回の見直しで評価額に対し毎年1.4%の税率がかかる固定資産税も、高層階の税負担が増える見込みだ

今後は今までのようにタワーマンション人気が続くかどうかは疑問がある。節税についてどうなるかわからないという不透明感はタワーマンション販売には逆風だろう。ただ、逆にタワーマンションの低層階は今までより人気が出ると思われる。上記の相続税評価が下がるという理由もあるが、タワーマンションは駅に近い、もしくは駅直結の物件が多く、今まで戸建に住んでいた年配層が老後に備え、駅に近い便利な場所のマンションを購入したいという需要が大きくなってきているからだ。タワーマンション節税の今後の動きに注目だ。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産仲介を行う。ITを駆使して資産として不動産を高く売却するために、2015年12月に日本で初めて、実際に不動産(マンション)を売却した不動産会社名と売却価格がわかる「iQra-channel(イクラちゃんねる)」をリリースし、売却実績の情報開示を行いつつ、不動産売却に関わる情報も発信している。宅地建物取引士。