イギリスのEU離脱で不動産屋がしておいた方が良いこととは?

2016年6月23日にイギリスで行われた国民投票により、EUに残留するより離脱する方をイギリス国民は選んだ。

拮抗していたとはいえ、大方の予想が「残留」であったことから、金融市場は大きく荒れた。安全資産である円に資金が流れたことで、一時1ドル100円を切る99円をつけるなど大きく円高に振れ、日経平均株価は大幅に下落し、日本国債は大いに買われた。

英EU離脱日経平均株価

(参照:Bloomberg

さて、日本の不動産に関わって仕事している人にとっては、イギリスがEUから離脱しようがしまいが、日本の不動産にはそれほど関わりがないと思ってはいないだろうか?

そんなことはない。大きく関わりがある。

そして、このタイミングで不動産屋としてしておいた方がよいことがある。

EU離脱ポンド円為替チャート

(参照:Bloomberg

これは直近1年間の英ポンド・円の為替チャートだ。本日英ポンドが急落した。イギリスがEUから離脱することは経済的にはマイナスと考えられているので、英ポンドを売って、代わりに相対的に安定している日本円を買うこと(英ポンド安・円高)は理解できる。

EU離脱ユーロ円為替チャート

(参照:Bloomberg

こちらはユーロ・円のチャートだ。EU圏でドイツに続く第2位の経済大国が離脱するダメージは大きく、またイギリスが離脱することにより、「次は俺の国も離脱だ!」と叫ぶ国へドミノ倒しのように広がる可能性もある。そうなってくると通貨ユーロの信用性がなくなってくる。そのため、ユーロが売って、日本円が買われること(ユーロ安・円高)も理解できる。

EU離脱ドル円為替チャート

(参照:Bloomberg

そしてこちらは米ドル・円チャートだ。同じく本日99円つけて大きく円高に触れた。しかし、英ポンドやユーロが売られる理由はわかるが、米ドルと比べてなぜ日本円が買われる(米ドル安・円高)のだろうか?

これは日本円が安全資産とされているからだ。日本人からすると「こんなに借金があるのに安全資産?」と思うだろう。確かに日本の借金は1000兆円あるが、個人資産は1700兆円ある。また、日本の会社や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高は約367兆円と世界一だ。つまり、世界の中で日本は余裕のあるお金持ちと見られているのだ。これが日本円が安全資産とされている理由で、今回のように世界経済に動揺が走ると決まって、安全資産と言われる金や日本円・スイスフランが買われる。不安であればあるほど、株を売って、日本円へと流れる。これが強烈な円高をもたらしている理由だ。

この1年間を相対的に見ると、日本の円は、英ポンド・ユーロ・米ドルのどの通貨に対しても買われて円高になっている。去年の夏のチャイナ・ショックもあって、それ以降世界の経済の見通しが悪くなり、世界経済が不安定になっているからだ。ちなみに、本日の各国のチャートを見ればよく理解できるが、不安定な新興国の通貨は売られて、安全な米ドルが買われている。しかし、その米ドルよりも日本円の方が安全とされているのだ。

つまり、世界が不安になれば不安になるほど、日本の円は最強の通貨になるということだ。

このことを前提に話を進めるが、アベノミクスの間に、中国人・台湾人を中心に多くの外国人が日本の不動産を購入した。

為替手数料にもよるが、約1年前ぐらいに購入した不動産には、為替による含み益が出ているはずだ。

EU離脱中国元円為替チャート

(参照:Bloomberg

これは中国元・円チャートだ。昨年の夏に比べて、円(の価値が)33%上昇している。つまり、不動産価格は変わっていないものとして、去年の夏1000万円で購入した物件であれば1330万円、2000万円なら2660万円、3000万円なら3990万円と約1000万円の為替益が出ていることになるのだ。

EU離脱台湾ドル円為替チャート

(参照:Bloomberg

こちらは台湾ドル・円チャートだ。台湾ドルに対しても円が30%上昇している。

購入してもらった外国人に対して、このタイミングで「売却を考えてはいないか?」と一言声を掛けたほうが良い

外国人がわざわざ日本の不動産を購入するぐらいなので、もしかしたらこれほど短期的にではなく、中長期的に投資を考えているのかもしれない。しかし、ここで以下のことを考えて欲しい。

日本の不動産価格はまだまだ上昇し続けるだろうか?と。

日本の不動産価格が上昇し続けるならここで売却してもらう必要はない。しかし、それこそ世界経済の悪化もあり、日本の不動産の価格上昇圧力も日増しに弱くなってきている。

重要なのはこのタイミングで一言かけれるかどうかだ

このEU離脱の話は、世界共通のバッド・サプライズな話題であり、それは中国人であれ台湾人であれ理解しているし、これから世界経済がどうなるのかと不安になっているはずだ。それもわざわざ日本に不動産投資している外国人なら日本が大丈夫かどうかも不安になっているし、為替のことも気にしているはずだ。

加えて中国人であれば、中国国内での不動産投機が盛んなため、短期的な不動産投資(キャピタルゲイン)も多いため、利益が出ているのであれば短期的な転売にも応じる可能性がある。

世界経済は不透明、いや悪化の方へ進み始めている。いくらアベノミクスといえど、日本だけが悪化する世界経済を避けるということはできない。そうなると日本の不動産も良好な状態が続くとは考えにくい。それは同時に、外国の経済も悪化しているということだ。中国や台湾も株バブルが崩壊し、不動産バブルも怪しいところにきている。

仮に、このタイミングで一言「売却を考えていないか?」と声をかけて、もし売却につながらなくても、今後さらに日本の不動産が悪化したり、外国人の自国の経済が悪化すれば、「ああ、あのときにアドバイスしてくれていたときに売っておけばよかった」と必ず思い出してくれる。そして、未来の売却につながる可能性が高い。

イギリスのEU離脱という一見、不動産屋に関係なさそうな話だが、世界共通の悪い話題として顧客と話すきっかけにしてみてはどうだろうか。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産仲介を行う。ITを駆使して資産として不動産を高く売却するために、2015年12月に日本で初めて、実際に不動産(マンション)を売却した不動産会社名と売却価格がわかる「iQra-channel(イクラちゃんねる)」をリリースし、売却実績の情報開示を行いつつ、不動産売却に関わる情報も発信している。宅地建物取引士。