なぜ机上査定で不動産査定してもらっても何の意味がないのか

机上査定1

机上(きじょう)査定とは、不動産会社にあなたのお住まいが「いくらで売れるか」をプロの目で判断してもらう不動産売却査定の一つです。

家を売ろうと思ったときに、最初に知りたいのが、「不動産の価値=査定額」ですよね。そのため、不動産会社に査定を依頼することが、不動産売却の第一歩ということになります。

不動産査定依頼

この不動産査定の方法には、机上査定と訪問査定(=実査定)の2種類があります。

ここでは、「机上査定とはどのような査定方法か」「なぜ机上査定してもらっても意味がないのか」について説明します。

 

机上査定とはどのような査定方法か

机上査定とは

机上査定とは、漢字の意味する通り机の上で「①過去の成約価格」「周辺の類似物件」「③不動産市場の動向」などのデータを元に、おおよその不動産査定金額を算出する方法です。つまり、不動産会社が不動産を見ずに査定する方法です。

訪問査定と机上査定

机上査定に対して、訪問し実物の不動産を見て査定する方法を訪問査定といいます。

 

①過去の成約価格

売主と買主との間で不動産売買契約が成り立ったことを成約といい、成約価格=実際に売れた金額になります。過去実際に売れた金額=相場(市場)価格になるため、あなたの不動産を査定する判断材料の中で、大きなウエイトを占めます。

特に以下の条件に該当すればするほど、より正確な査定価格が出せます。成約事例とは、過去に売れた不動産の実例のことです。

  • 過去の成約事例と売却不動産の条件が近ければ近いほどより良い
  • 過去の成約事例が多ければ多いほどより良い
  • 過去の成約事例ができるだけ新しければ新しいほどより良い

マンションほど、それも戸数の多い大規模マンションほど上記の条件に該当する可能性が多く、より正確な査定価格が出せます。

 

②周辺の類似物件

一方、土地や戸建は、全く同じ不動産の例がないため、どうしても過去に成約した近隣の似たような物件=類似物件を参考にするしかありません。マンションでも過去の成約事例がない場合には、新築価格や類似物件を判断材料として査定価格を出します。そのため、査定価格のブレが大きくなりがちです。

また、過去ではなく、現在販売されている物件も判断材料の一つになります。同じマンションの違う部屋が先に販売されていて、まだ売れていないということであれば、比較対象して査定価格を出しやすくなります。

 

③不動産市場の動向

不動産というのは、今日売り始めて今日売れることはほとんどあり得ません(不動産買取は除く)。一般的に、不動産売却をスタートして3ヶ月以内で成約できれば良い方です。そのため、成約価格が相場価格といっても、今の相場を全て反映しているわけではありません。いくら3ヶ月前にその金額で売れていたからといって、その後に天災地変が起きると大きく変化もします。そのため、現在の不動産市場の動向も査定価格の判断材料の一つになります。

 

売出価格と成約価格は全く違う

売出価格とは、不動産売却をスタートした時点での販売価格をいいます。確かに、「最初にいくらでスタートしたのか」ということも判断材料の一つにもなりますが、「結局最後はいくらで売れたのか」の方が相場価格を知る上で最も重要です。価格交渉や価格改定で、売出価格から値下げて成約価格に至ることが非常に多いからです。

最近、「不動産相場がわかります」や「マンション取引価格がわかります」というサイトの多くが、売出価格や販売価格を掲載しています。それは売出価格の方が成約価格より一般的に高いため、消費者に「これほど高く売れるのか」と引きつけるためです。それに対して成約価格を掲載しているサイトはほとんどありません。このことをよく理解しておいた方が良いでしょう。

 

なぜ机上査定してもらっても意味がないのか

ネットで査定依頼すると必ず以下の項目があります。

机上査定と訪問査定

依頼する人の80%は「机上査定」を選びます。だいたい、その隣に「机上査定はおおまかな数字で、訪問査定をお選びください。」などと書かれているのにも関わらず、机上査定を選びます。

なぜでしょうか?

まだ、どれぐらいで売れるのか価格を知りたいだけなのに、訪問査定を選んで不動産会社に家まで来てもらうと、強引に営業されるのではないかいう消費者心理が働くからです。それでなくても、普段取り立てて利用することもない不動産会社です。不安になるのは仕方ありません。

しかし、残念ながら、机上査定してもらっても全く意味はありません。理由は3つあります。

 

①どの不動産会社が査定してもだいたい同じ査定価格が出てくるから

実は、どの不動産会社が査定してもだいたい同じ査定価格が出てきます。なぜなら、査定価格の根拠となるデータは同じデータを使っているからです。そのデータは「レインズ」というサイトで公表されており、レインズは不動産会社しか利用することができないサイトです。(『不動産売却をスタートする前にレインズについて必ず知っておこう!』参照)

 

②机上査定価格ならいろいろなサイトで知ることができるから

GoogleYahoo!で「(マンション名や地名) 相場価格」と入れてみてください。世に溢れるサイトが机上査定価格を教えてくれます。同じデータを使用しているので、価格が大きく変化するわけではありません。これらの価格と机上査定の価格はほぼ同じと考えてもらっても大丈夫です。

「AI(人工知能)が相場を教えてくれます」というサイトもありますが、人工知能が相場価格を考えている訳ではありません。大量のデータを取捨選択したことをAIと称しているだけです。人工知能は過去の事例から価格を類推するだけで、未来の相場を形成できるわけではありません。

 

③机上査定を選んでも結局、不動産会社は訪問査定しようとするから

不動産会社というのは営業会社です。机上査定を選んで「そうですね。そちらの価格は◯◯◯万円です。」と教えても1円の利益にもなりません。不動産会社はタダ働きするのが大嫌いです。

そのため、電話がかかってきて必ずこのように言います。「いや〜、家の中を見ないと本当の価格はわかりません。」と。

その地域をよく知っている不動産会社であれば、別に実物の不動産を見なくても、住所さえわかれば「経験上この不動産は、この金額なら売れる」という相場観を持っています。そして、その相場観=相場価格でだいたい合っています。販売してきた経験と実績こそが不動産会社の価値にも関わらず、タダで教えてくれると思いますか?

 

まとめ:販売価格はあなたの状況によって変わるから意味がないのです

不動産会社は営業会社なのに、営業を受けたくないからといって、机上査定を選んでも意味はありません。

また、机上査定価格を知りたいだけなら、様々なサイトを参考にすれば良いということもわかりましたね。

机上査定価格でおおよその価格はわかりますが、机上査定価格=売出価格(販売価格)ではありません。あなたが不動産を売却する理由によって、売出価格は変わるからです。

不動産を売る理由は人によってそれぞれ違います。単純に資産売却で手放そうという方もいれば、住宅ローンの支払いが厳しいからという人もいます。他にも離婚や転勤、相続、買い替えなど様々な理由があります。その理由によって、「今すぐ売れなくてもいいので相場価格より高めに売り出して挑戦したい」という人もいれば、「住宅ローンが厳しいので相場価格でも良いので一刻も早く売って欲しい」という人もいます。

つまり、売主の希望や条件によって売出価格が変わるため、不動産会社の販売戦略も変わるのです。どれだけ嫌でも、最後は不動産営業マンに直接会って、売主の希望や条件を伝えなければならないのです。

特に、土地や中古戸建であれば机上査定なんて何の意味もありません。調べないといけないことがたくさんあります。例えば、家の目の前の道路によっては、家を建て直すことができないなんてことはよくあります。(『価値が大きく変わるあなたの不動産に接する道路を調べる方法』参照)この時点で不動産の価値は大きく下がり相場以下です。

マンションであれば、机上査定であっても事例が比較的多いため、土地や戸建ほど金額が大きく変わるということはほとんどないでしょう。また、売出価格を知ることではなく、過去実際に売れた金額=相場(市場)価格を知っておくことが、不動産を売る上では大事なことだと言えるでしょう。(「マンション名から検索する」)

訪問査定で売却をお任せすべき不動産会社かを簡単に見極める方法

2016.10.10

 

机上査定1

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。