金沢市の立地適正化(コンパクトシティ)計画・居住誘導区域は?

金沢市の立地適正化(コンパクトシティ)計画・居住誘導区域は?

あなたは、コンパクトシティ計画をご存知でしょうか?

国は「コンパクトシティ」の概念を打ち出し、立地の良い場所に「集まって住む」ことを政策として押し進めようとしています。コンパクトシティ計画のことを正式に「立地適正化計画」といいます。

結論から言うと、立地適正化計画区域内にある居住誘導区域内の不動産価格は維持されますが、居住誘導区域外の不動産価値は下落するのです。

コンパクトシティ・立地適正化計画・居住誘導区域

「コンパクトシティ」「立地適正化計画」「居住誘導区域」という言葉を知らないという方は、こちらを読む前に必ず「コンパクトシティ(居住誘導区域)とはなにか」という記事をご覧ください。

こちらでは、石川県金沢市の立地適正化(コンパクトシティ)計画・居住誘導区域について最新情報を掲載しています。

これから金沢市で不動産を購入を検討されている方は、その物件が居住誘導区域内であることを確認すべきですし、金沢市で不動産を売却する方で、居住誘導区域外の場合は、できるだけ早く売却した方が良いということになります。

金沢市で、不動産(土地・戸建・マンション)の売却や購入を考えている方にとって、必ず参考になるでしょう。

 

金沢市の居住誘導区域は?

居住誘導区域とは?

居住誘導区域とは、人の集まる立地の良い住むべき地域として指定され、自治体が人口減少社会の中「人口密度を維持する(人口を減らさない)と宣言する地域」です。これから人口減少が進む中で、インフラや生活サービスを確保し、居住を誘導することで、人口密度を維持または増加させます。人口が維持できると不動産価格も維持できるため、固定資産税収入も確保することが見込めます。

集約都市形成計画とは?

金沢市は、高度成長期に急激に人口急増し、住宅需要の受け皿として郊外開発を推し進め、市街地の範囲を急速に拡大してきました。現在、金沢市の人口は46万6千人あまりですが、今後は人口減少が予測されており、2009(平成21)年改訂の「金沢市都市計画マスタープラン」では原則市街地の拡大は行わないことになりました。その後、2014(平成26)年に都市再生特別措置法の改正により立地適正化計画が定められたことにより、「金沢市都市計画マスタープラン」に都市機能や居住機能の誘導を図る「立地適正化計画」を含めて、金沢市の個性や事情などを反映させた独自の計画として、「金沢市集約都市形成計画」 を策定しています。

つまり、金沢市集約都市形成計画≒金沢市立地適正化計画ということになります。

こちらが金沢市の居住誘導区域です。

金沢市の居住誘導区域の特徴(平成29年3月現在)

・居住誘導区域は、現状の市街化区域をベースに設定されている

・ただし、市街化区域内であっても、急傾斜地崩壊危険区域土砂災害特別警戒区域土砂災害警戒区域3m以上の浸水想定区域工業専用地域については居住誘導区域にふくまれない

※詳細の居住誘導区域を調べるためには「金沢市HP」または市役所の「都市計画課」で確認してください。【問い合わせ先:金沢市役所都市整備局都市計画課(TEL:076-220-2351)】

金沢市は次の4つのポイントにより、居住誘導区域が設定されています。

金沢市居住誘導区域

1 市街化区域をベースに居住誘導区域

金沢市では、家を建てても良い地域とされている市街化区域を居住誘導区域のベースとしています。そこには「金沢市定住の促進に関する条例」で定めるまちなか区域や、「伝統的建造物群保存地区」「こまちなみ保存区域」「文化的景観区域(景観計画)」などの金沢らしい歴史的なまちなみを保存・活用する歴史文化居住区域が含まれています。

一方、市街化調整区域は農林漁業を優先する区域であり、居住誘導区域に含まれません。

2 工業専用地域は居住誘導区域に含まれない

大規模な工場は経済活力の点から重要なのは言うまでもなく、税収面からも大きな貢献があります。そのため、工業専用地域については、主に工場が立地する地域であることから、居住誘導区域に含めません。

金沢市誘導区域に含めない区域

また、特別用途地区地区計画の規制において住宅の建築が見込まれない区域も居住誘導区域に含めません。

3 市街化区域でも大規模災害リスクのある場所は居住誘導区域に含まれない

近年の台風の大型化や集中豪雨の増加などにより災害が頻発している中、より安全・安心な居住環境が求められています。

そこで、法令の考えに基いて、急傾斜地崩壊危険区域土砂災害特別警戒区域土砂災害警戒区域地すべり防止区域については、区域の指定があった場合居住誘導区域から除外されます。

金沢市災害ハザード

土砂災害に関連する危険区域として金沢市全域で約1,700haが指定されており、そのうち、市街化区域内に約300haが指定されています。市街化区域内で土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている範囲は約30ha、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されている範囲は約290haとなっています。

また、水防法に定められる浸水想定区域において浸水深が3m以上の区域についても居住誘導区域に含まれません。

金沢市浸水想定区域

一定規模以上の降雨が生じた際に浸水が想定される区域として、金沢市全体で約5,700haが該当し、市街化区域内では約3,000haとなっています。家屋水没のおそれがある3m以上の浸水は市街化区域内で約2haとなっています。

4 鉄道駅もしくはバス停の徒歩圏であることが重要

金沢市民が、駅周辺の日常生活サービス施設を利用するためには、居住地から公共交通ネットワークにより拠点に接続できることが重要です。居住誘導区域は鉄道駅(500m)及びバス停(300m)の徒歩圏であることが望まれます。

具体的には第2次金沢交通戦略で位置づけた「公共交通重要路線」および「ふらっとバス」の徒歩圏内の区域となっています。

(「金沢市集約都市形成計画の公表と届出制度の開始について」参照)

 

金沢市の居住誘導区域に関する不動産重要事項説明

「居住誘導区域」の区域外において、一定の開発行為などを行うときには、市町村長への届出が義務づけられています。届出をしない場合には罰則が課せられるなど、知らないで区域外の土地・建物を購入した人が不測の損害を被るおそれがあるため、こちらの届出義務に関する規定について、不動産売買契約の前に、重要事項説明書に記し、事前に購入者に対して説明する必要があるからです。そもそも、居住誘導区域外と知らず購入することは後々、揉める原因になる可能性もあります。

居住誘導区域外における開発行為等の事前届出義務

立地適正化計画に記載された居住誘導区域外において、一定規模以上の住宅等の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければならない。またその届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

都市再生特別措置法第88条第1・2項

不動産の重要事項説明書における「都市再生特別措置法」とはなにか

不動産の重要事項説明書における「都市再生特別措置法」とはなにか

2016.05.09
居住誘導区域内における制限行為

①開発行為の場合

・3戸以上の住宅の建築を目的とする開発行為
・1戸または2戸の住宅の建築を目的とする開発行為で、その規模が1,000㎡以上のもの

②建築等行為の場合

・3戸以上の住宅を新築しようとする場合
・建築物を改築し、または建築物の用途を変更して3戸以上の住宅とする場合

詳しくは金沢市HP「誘導区域外に係る届出の手引き」をご参照ください。

 

金沢市の現状

金沢市は、高度成長期にかけて人口急増を経験し、その後も順調に人口が増加していきましたが、近年は横ばい傾向にあります。2015(平成27)年の人口は465,699人でしたが、2060年には34.7万人に減少すると予測されています。また年齢構成は、15歳未満の年少人口、15〜64歳の生産年齢人口が減少し、65歳以上の老年人口が増加する少子高齢化が進展しています。

金沢市人口推計

そのため、市民税の減少や社会保障費の増加、人口急増期に整備した多くの公共施設等の老朽化対策など、本市の行財政運営を取り巻く環境は極めて厳しくなることが予想されています。

金沢市は、人口増加の受け皿として、土地区画整理事業により市街地(DID[人口集中区]:人口密度が4,000人/k㎡以上となる地区)が拡大してきましたが、人口の増加に対して面積が大幅に拡大したため、DIDの人口密度は低密度化しています。

金沢市DID

交通をみると、自動車利用が大幅に増加する一方、公共交通や徒歩、二輪は大きく減少し、自動車に依存した生活スタイルが定着しています。

都心部には商業・業務施設や公共施設、各種文化施設など、多様な都市機能が集積していますが、近年は郊外への商業や公共施設の流出が進み、まちなかの求心力が低下してきています。

金沢市集約都市形成計画の公表と届出制度の開始について」参照)

 

金沢市の立地適正化計画の方向性

金沢市は立地適正化(コンパクトシティ)計画の方向性として次のようなことを掲げています。

①中心市街地への都市機能の集積

ヒト・モノ・コトの求心力を増強し、中心市街地の魅力を高めていくため、歴史的な街並みや建造物を保全しつつ、商業、業務、居住、医療、福祉、教育、歴史・文化、観光等のあらゆる都市機能を中心市街地に集積します。

②都心軸の機能強化

中心市街地の中でも、犀川大橋~金沢港に至る都心軸と金沢駅エリア、武蔵エリア、片町・香林坊・広坂エリアについては、都市の中軸・中心商業拠点としての機能強化を図ります。

③公共交通重要路線沿線への居住誘導

子どもからお年寄りまでのすべての市民や来街者が気軽に移動でき、ライフステージに応じた暮らし方を選択できるよう、公共交通の利便性向上等を積極的に進める公共交通重要路線沿線に居住をはじめとする様々な都市機能を誘導します。

④地域の賑わいと交流を支える拠点の創造

主要な交通結節点をはじめ、公共交通重要路線沿線の人口密度や都市機能の集積度が高いエリアを地域の賑わいと交流を支える拠点に位置づけ、生活に必要な機能等の充実により、歩いて暮らせるまちづくりを推進します。

⑤地域コミュニティや暮らしの維持・充実

これまで培ってきた地域コミュニティや地域での暮らしの維持・充実を図るとともに、地域主体のまちづくりを推進します。

・多様な移動手段を選択できるタウンライフへの転換

自動車(マイカー)での移動を主体とした現在の生活スタイルから、徒歩や自転車、公共交通での移動を目的に応じて選択できるタウンライフへの転換を図ります。

金沢市集約都市形成計画の公表と届出制度の開始について」参照)

 

金沢市の都市機能誘導区域は?

都市機能誘導区域とは?

都市機能誘導区域とは、生活サービスの効率的な提供が図られるよう、居住誘導区域の中に、役所、学校、商業施設、医療・福祉施設、保育施設などの生活利便施設を集約させたエリアです。

居住誘導区域内において、生活利便施設の誘導を図る区域として、「都心拠点」、「地域拠点」、「特定機能地区」の3種類の都市機能誘導区域を設定しています。

都市機能誘導区域は、様々な機能を有する都心拠点(中心商業拠点、都心軸沿道、中心市街地)や主要な交通結節点(地域拠点)のほか、子育て、教育、医療、福祉、健康、スポーツなどの都市機能を新たに集積する地区(特定機能地区)を基本に設定します。

金沢市都市機能誘導区域

①都心拠点

・中心商業拠点(金沢市中心市街地都市機能向上計画で定める「武蔵エリア」「片町・香林坊・広坂エリア」)
・都心軸沿道(都心軸の沿道で、高さ制限が45m以上の区域および都心軸の沿道で、 広域的な都市機能を有する区域(県庁、中央病院、中央市場、駅西広場周辺地域高度利用プランで定める区域))
・中心市街地(中心市街地活性化基本計画で定める区域)

②地域拠点

・IRいしかわ鉄道「森本駅」「東金沢駅」、JR北陸本線「西金沢駅」から500m圏内(なお、「森本駅」「東金沢駅」の西側については、市街化調整区域と近接し、現状では一体的な都市機能の誘導が困難なことから地域拠点から除外する)
・公共交通網の再編等で位置づけられる交通結節点(公設P&R駐車場を含む)および一体となって都市機能の誘導を図る区域(現時点での指定はない)

③特定機能地区

・子育て、教育、医療、福祉、健康、スポーツ等の都市機能を新たに集積する地区

金沢市集約都市形成計画の公表と届出制度の開始について」参照)

金沢市の都市機能誘導区域に関する不動産重要事項説明

誘導施設について、設定されている都市機能誘導区域外で開発または建築を行う場合は、届出が必要です。

設定されている誘導施設一覧は次のとおりです。

金沢市誘導施設

都市機能誘導区域外における開発行為等の事前届出義務

立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域外において、誘導施設を有する建築物の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければならない。 またその届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

都市再生特別措置法第108条第1・2項

①開発行為の場合

・誘導施設を有する建築物の建築を目的とする開発行為

②建築等行為の場合

・誘導施設を有する建築物を新築しようとする場合
・建築物を改築し、誘導施設を有する建築物とする場合
・建築物の用途を変更し、誘導施設を有する建築物とする場合

詳しくは金沢市HP「誘導区域外に係る届出の手引き」をご参照ください。

なお、金沢市の立地適正化計画(金沢市集約都市形成計画)は2040年を目標計画期間とし、概ね5年ごとに評価や見直しを実施するとしています。

 

金沢市の立地適正化(コンパクトシティ)計画・居住誘導区域は?

ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。