高槻市の立地適正化(コンパクトシティ)計画・居住誘導区域は?

あなたは、コンパクトシティ計画をご存知でしょうか?

国は「コンパクトシティ」の概念を打ち出し、立地の良い場所に「集まって住む」ことを政策として押し進めようとしています。コンパクトシティ計画のことを正式に「立地適正化計画」といいます。

結論から言うと、立地適正化計画区域内にある居住誘導区域内の不動産価格は維持されますが、居住誘導区域外の不動産価値は下落するのです。

コンパクトシティ・立地適正化計画・居住誘導区域

「コンパクトシティ」「立地適正化計画」「居住誘導区域」という言葉を知らないという方は、こちらを読む前に必ず「コンパクトシティ(居住誘導区域)とはなにか」という記事をご覧ください。

こちらでは、大阪府高槻市の立地適正化(コンパクトシティ)計画・居住誘導区域について最新情報を掲載しています。

これから高槻市で不動産を購入を検討されている方は、その物件が居住誘導区域内であることを確認すべきですし、高槻市で不動産を売却する方で、居住誘導区域外の場合は、できるだけ早く売却した方が良いということになります。

高槻市で、不動産(土地・戸建・マンション)の売却や購入を考えている方にとって、必ず参考になるでしょう。

 

高槻市の居住誘導区域は?

居住誘導区域とは?

居住誘導区域とは、人の集まる立地の良い住むべき地域として指定され、自治体が人口減少社会の中「人口密度を維持する(人口を減らさない)と宣言する地域」です。これから人口減少が進む中で、インフラや生活サービスを確保し、居住を誘導することで、人口密度を維持または増加させます。人口が維持できると不動産価格も維持できるため、固定資産税収入も確保することが見込めます。

こちらが高槻市の居住誘導区域です。

高槻市の居住誘導区域の特徴(平成29年3月現在)

・居住誘導区域は、現状の市街化区域をベースに設定されている

・ただし、市街化区域内であっても、生産緑地地区、災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域)、土砂災害特別警戒区域土砂災害警戒区域については居住誘導区域にふくまれない

※詳細の居住誘導区域を調べるためには「高槻市HP」または市役所の「都市づくり推進課」で確認してください。【問い合わせ先:高槻市都市創造部都市づくり推進課(TEL:072-674-7552)】

高槻市は次の5つのポイントにより、居住誘導区域が設定されています。

高槻市居住誘導区域

1 市街化区域であれば基本的に居住誘導区域

高槻市では、市街化区域(家を建てても良い地域)が市域の約3割とコンパクトであること、DID(人口集中地区:人口密度が4,000/k㎡以上となる地区のこと)が市街化区域とおおむね一致していること、またニュータウンなど住宅市街地を拡大する計画がないことから、現状の市街化区域を居住誘導区域のベースとしています。

ただし、市街化区域内であっても、まとまった大きなエリアでDIDから外れた地区については、居住誘導区域に含まれていません。

2 工業地域は居住誘導区域に含まれない

大規模な工場は経済活力の点から重要なのは言うまでもなく、税収面からも大きな貢献があります。そのため、工業地域については、主に工場が立地する地域であることから、居住誘導区域に含めません。準工業地域については、すでに工場と混在して住宅も多く立地していることから、居住誘導区域に含めます。ただし、準工業地域であっても、今後、土地の有効利用計画のない大規模な公共用地(高槻水みらいセンター)については、居住誘導区域に含めません。

高槻市用途地域

なお、JR高槻駅北東地区については、大規模工場の撤退後、現在は超高層住宅や病院・大学等の都市機能が立地しており、まちのにぎわいを創出する重要な拠点であることから、居住誘導区域に含まれています。

3 生産緑地は居住誘導区域に含まれない

生産緑地地区は、市街化区域内の貴重な緑の空間としての機能や防災面等、多様な機能を有しており、今後も保全すべき区域であることから、居住誘導区域に含まれていません。

高槻市生産緑地

(出典:2015年末時点「高槻市資料」)

なお、新たに生産緑地地区の指定があった場合は、居住誘導区域から除外されます。

4 市街化区域でも大規模災害リスクのある場所は居住誘導区域に含まれない

近年の台風の大型化や集中豪雨の増加などにより災害が頻発している中、より安全・安心な居住環境が求められています。

そこで、法令の考えに基いて、災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域)、土砂災害特別警戒区域土砂災害警戒区域地すべり防止区域については、区域の指定があった場合居住誘導区域から除外されます。

高槻市災害リスク

一方、浸水想定区域については、災害発生時の被害は大きいものの、河川の整備は計画的に進められており、降雨や河川水位の観測体制も一定程度整い、事前の避難が可能なことから居住誘導区域に含まれています。

5 鉄道駅もしくはバス停の徒歩圏であることが重要

高槻市民が、駅周辺の高度で多様な都市機能を利用するためには、居住地から公共交通ネットワークにより拠点に接続できることが重要です。居住誘導区域は鉄道駅及びバス停の徒歩圏であることが望まれますが、自転車等による駅へのアクセスが多いことも踏まえ、総合的に判断するものとしています。

(高槻市立地適正化計画「3 まちづくりの理念と基本的な考え方-1」参照)

 

高槻市の居住誘導区域に関する不動産重要事項説明

「居住誘導区域」の区域外において、一定の開発行為などを行うときには、市町村長への届出が義務づけられています。届出をしない場合には罰則が課せられるなど、知らないで区域外の土地・建物を購入した人が不測の損害を被るおそれがあるため、こちらの届出義務に関する規定について、不動産売買契約の前に、重要事項説明書に記し、事前に購入者に対して説明する必要があるからです。そもそも、居住誘導区域外と知らず購入することは後々、揉める原因になる可能性もあります。

居住誘導区域外における開発行為等の事前届出義務

立地適正化計画に記載された居住誘導区域外において、一定規模以上の住宅等の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければならない。またその届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

都市再生特別措置法第88条第1・2項

不動産の重要事項説明書における「都市再生特別措置法」とはなにか

不動産の重要事項説明書における「都市再生特別措置法」とはなにか

2016.05.09
居住誘導区域内における制限行為

①開発行為の場合

・3戸以上の住宅の建築を目的とする開発行為
・1戸または2戸の住宅の建築を目的とする開発行為で、その規模が1,000㎡以上のもの

②建築等行為の場合

・3戸以上の住宅を新築しようとする場合
・建築物を改築し、または建築物の用途を変更して3戸以上の住宅とする場合

詳しくは高槻市HP「高槻市立地適正化計画に基づく届出制度について」をご参照ください。

(高槻市立地適正化計画「4 施策」参照)

 

高槻市の立地適正化計画の方向性

高槻市は立地適正化(コンパクトシティ)計画の方向性として次のようなことを掲げています。

・都市の無秩序な拡散を抑制

引き続き集約型都市づくりの推進を図ることにより、居住誘導区域内の人口密度を維持します。

・都市機能が充実した魅力ある都市拠点の形成

都市機能の充実を図ることにより、都市拠点の維持・発展を図るとともに、適正な日常サービスが引き続き受けられる環境を形成します。

・徒歩生活圏の形成

安全で利便性の高い歩行環境や居住環境の形成により、歩いて暮らせるまちづくりを進めます。

・徒歩生活圏と都市拠点を結ぶ公共共通を主体としたネットワークの形成

駅を中心とした交通ネットワークの強化など、高槻市総合交通戦略の取組等により、コンパクトなまちづくりを支えます。

・拠点間の連携強化

広域交通ネットワークの充実を図ることにより、他都市とのヒト・モノ・情報の対流を促進し、にぎわいと活気あるまちづくりを推進します。

(高槻市立地適正化計画「1 高槻市立地適正化計画について」参照)

 

高槻市の現状

高槻市は、高度成長期の昭和30〜40年代にかけて全国でもまれにみる人口急増を経験していることから、今後急速な高齢化と中長期的には人口減少が予測されています。平成22(2010)年に約36万人であった人口は、40年後の平成62(2050)年に約8割の約29万人まで減少すると推計されています。

高槻市の人口少子高齢化問題

そのため、市民税の減少や社会保障費の増加、人口急増期に整備した多くの公共施設等の老朽化対策など、本市の行財政運営を取り巻く環境は極めて厳しくなることが予想されています。

高槻市の市街化区域(家を建てても良い地域)は、市域の約3割であり、人口集中地区(DID:人口密度が4,000/k㎡以上となる地区)とおおむね同範囲です。DID人口密度も10,000人/k㎡以上の高い値となっています。

高槻市DID

高槻市のDID面積は、1970〜2010年に1.84倍に増加していますが、DID人口密度は約10,000人/k㎡で維持されています。これは、高槻市が人口が増加する状況下にあっても、市街地の拡散を抑制できていたことがわかります。

市街化区域内では、医療・商業、公共施設等の生活利便施設の利用しさすさの目安となる人口カバー率(一般的な徒歩圏としている半径800m・徒歩10分の範囲)はいずれも高い数値を示しており、都市機能はおおむね充足しています。

高槻市医療・商業、公共施設人口カバー率

(高槻市立地適正化計画「2 現状と課題」参照)

 

高槻市の都市機能誘導区域は?

都市機能誘導区域とは?

都市機能誘導区域とは、生活サービスの効率的な提供が図られるよう、居住誘導区域の中に、役所、学校、商業施設、医療・福祉施設、保育施設などの生活利便施設を集約させたエリアです。

居住誘導区域内において、生活利便施設の誘導を図る区域として、「都市拠点」、「生活拠点」、「生活機能誘導区域」の3種類の都市機能誘導区域を設定しています。

高槻市都市機能誘導区域

①都市拠点(商業・医療・公共施設を集約するエリア)

・多様な都市機能が高度に集中する中心的な拠点です。
・高度で多様な都市機能やセンター機能を有する施設が集積する鉄道駅周辺に設定されています。
・都市計画マスタープランの重点地区を基本に高槻駅周辺と富田駅周辺の2ヶ所としています。

②生活拠点(スーパーマーケット)

・生鮮食品や日用品が購入でき、商店等の生活利便施設が小規模に集積する拠点です。
近隣商業地域12か所に設定されています。

③生活機能誘導区域(保育所、認定こども園、地域型保育事業所)

・子育て支援施設に重点を置いており、保育所などの日々利用する生活利便施設の誘導を図る区域です。
・居住誘導区域と同範囲とし、居住誘導区域に変更が生じた場合は、併せて生活機能誘導区域も変更を行います。

(高槻市立地適正化計画「3 まちづくりの理念と基本的な考え方-1」「3 まちづくりの理念と基本的な考え方-2」参照)

高槻市の都市機能誘導区域に関する不動産重要事項説明

誘導施設について、設定されている都市機能誘導区域外で開発または建築を行う場合は、届出が必要です。

設定されている誘導施設一覧は次のとおりです。

高槻市誘導施設一覧

都市機能誘導区域外における開発行為等の事前届出義務

立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域外において、誘導施設を有する建築物の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければならない。 またその届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

都市再生特別措置法第108条第1・2項

①開発行為の場合

・誘導施設を有する建築物の建築を目的とする開発行為

②建築等行為の場合

・誘導施設を有する建築物を新築しようとする場合
・建築物を改築し、誘導施設を有する建築物とする場合
・建築物の用途を変更し、誘導施設を有する建築物とする場合

詳しくは高槻市HP「高槻市立地適正化計画に基づく届出制度について」をご参照ください。

(高槻市立地適正化計画「4 施策」参照)

 

ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。