関西は築年数の古いマンションの建て替えラッシュへ

宮前グリーンハイツ・プレミスト六甲道

関西では、築40年以上のマンションが今後10年で3倍強に増え、建て替えが大きく増えそうです。

マンション建て替え商機 関西の築40年以上、10年後3倍

マンション大手が関西で老朽化物件の建て替え事業に商機を見いだそうとしている。長谷工コーポレーションなどに続き、大和ハウス工業が参入した。関西2府4県の築40年以上の物件は今後10年で3倍強に増える。政府がマンション建て替え円滑化法の改正などで建て替えを後押しするなか、各社は首都圏に続き、大型市場である関西の掘り起こしに動く。

JR神戸線の六甲道駅から徒歩3分。神戸市にある建て替え分譲マンション「プレミスト六甲道」がこのほど完成、住民に引き渡された。旧耐震基準で1981年に完成した前身「宮前グリーンハイツ」は同市が分譲したマンションだが、老朽化が進み、約4年前に建て替え推進を決議した。

これを支援したのが大和ハウス工業だ。円滑化法に基づき住民がつくる事業主体、建て替え組合の三浦祥一理事長は「無事に終えられたのは総合的なサポートがあったから」と語る。

相談を受けた同社は建て替え案と修繕案を用意。長期の資産価値を重視して建て替えに決まった。住民負担も発生したが、戸数を従来の36戸から69戸に増やして分譲。「収益で費用負担を抑えた」(同社の西本誠氏)

大手は住民の合意形成や様々な手続きのノウハウが豊富なのが強み。建て替え中は仮住まいの世話などもする。大和ハウスにとっては関西で初、同社全体でも2件目の案件。同社は全国で2020年に関連売上高100億円、年間200戸を目標に掲げており、関西ではほかに3件の相談を抱えるという。

先行するのが長谷工コーポレーションだ。関西15件を含む国内31件で建て替え済みで、今後首都圏と関西でそれぞれ年1件を手掛ける体制構築を目指す。旭化成不動産レジデンス(東京・新宿)も関西で建て替え実績がある。

不動産情報の東京カンテイによると、関西2府4県で築40年以上のマンションは足元で2000件強。10年後は3.2倍の6500件にまで増え、増加率は首都圏にほぼ匹敵する。しかし国土交通省のまとめでは建て替えは全国で準備中含め252件(昨年4月時点)と極めて少ない。「費用負担でもめたり高齢者が引っ越しを嫌がったりして合意形成が難しい」(不動産関係者)

ただ新築マンションの用地は少なくなり、人口減で住宅需要の大幅な拡大も見込みにくい。政府が円滑化法改正などの規制緩和で後押ししていることも、各社の取り組み加速の背景にある。

(2017年7月20日日本経済新聞朝刊関西経済35面抜粋)

マンション建替え円滑化法とは、老朽化したマンションの建て替えを促進するために2002年に施行した法律で、住民が建て替え組合という組織をつくれば諸手続きをしやすくする仕組みを導入したものです。

2014年には改正され、土地と建物の権利をデベロッパーに一括売却できる仕組みや、耐震性不足の認定を受けたマンションの建て替えを容積率で緩和する特例も設けられました。

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記事にある宮前グリーンハイツ(→プレミスト六甲道)の建て替えは、神戸市初のマンション建替え円滑化法に基づく建て替え事業です。

宮前グリーンハイツ・プレミスト六甲道

マンション再生協議会のHPによると以下のような内容となっています。

従前マンション名(供給元) 宮前グリーンハイツ(神戸市)
所在地 神戸市灘区森後町
建替え前 建替え後
建物建築時期 昭和56年(1981年)竣工 平成29年(2017年)竣工予定
敷地面積 1,295.72㎡ 1,295.72㎡
延床面積 2,802.87㎡(容積対象) 4,662.15㎡
建物形状 階数・棟数 地上5階建 1棟 地上14階建 1棟
構造 鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造
住戸の状況 総戸数 住戸36戸 住戸69戸
間取り 2DK~4LDK 1LDK+F~3LDK
各戸専有面積 56.19㎡~98.14㎡ 43.50㎡~72.74㎡
建替え決議等 区分所有法第62条に基づく建替え決議を実施
事業手法 マンションの建替えの円滑化等に関する法律に基づくマンション建替事業(組合施行)
仮住居の確保方法 民間賃貸住宅等(参加組合員:大和ハウス工業関連会社による斡旋協力)
補助制度等の利用状況

なし

建替えを必要とした理由
マンションの経年化により、建物や設備面において老朽化が生じた。特に、エレベーターが設置されておらず、1階レベルでも段差があり、高齢者にとって厳しい住環境であった。
空室、賃貸の増加により、近い将来、管理組合活動が困難になることが予想された。
建物及び設備の老朽化対策、防火避難安全性の改善対策のため、今後の建物の維持、補修に多額の費用が発生することが予測された。
特徴等
神戸市でのマンション建替法に基づく初の建替事業。
再開発事業の受け皿住宅として建設されたマンションであったため、入居当初より区分所有者間のコミュニケーションが形成されていた。
高齢者や一人住まいの方に対して、負担なし又は少額負担で新マンションが取得できるように40㎡台、50㎡台の狭小住戸を設置した。
建替えの経緯
平成24年 1月 再生検討委員会設置
平成25年 6月 建替え推進決議
大和ハウス工業株式会社を事業協力者に選定
㈱ユーデーコンサルタンツをコンサルタントに選定
平成26年 5月 建替え決議
平成26年 10月 建替組合設立認可
平成27年 3月 権利変換計画認可
平成27年 5月 解体工事着工
平成27年 9月 本体工事着工
平成29年 3月 竣工(予定)
コンサルタント・事業協力者等
コンサルタント ㈱ユーデーコンサルタンツ
参加組合員 大和ハウス工業㈱
設計 ㈱ユーデーコンサルタンツ
施工 青木あすなろ建設㈱

公団が建てた団地は、そもそも高さが低い(4〜5階建て)ことや、機械式ではなく青空駐車場などで、敷地面積に対して、空中に建てられる容積率が余っているため、そこに目をつけた不動産デベロッパーが建て替えを推し進めています。

マンション建て替えスキーム

しかし、民間のマンションの場合、最初から容積率ギリギリまで建てられるマンションが多いため、そうなると住民(所有者)が全ての費用を工面してマンションを建て直す必要もあり、なかなか建て替えが進んでいませんでした。しかし、マンション建替え円滑化法により容積率が緩和する特例ができたことにより、今回のような例が出てきたといえます。

このように建て替えがよりしやすくなったものの、なお住民の合意形成は難しいのが現状です。建て替えが進んだ一部の事例は、駅前などの立地の良さなどで収益性が見込め、民間の不動産会社が事業に参加するケースなどに限られています。逆に立地が良くなく収益性が見込めない、資産価値の低いマンションの建て替えは進んでいません。

そこで、東京都では老朽化した分譲マンションの建て替え促進のため、容積率を緩和するという話も出ています。

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また、立地適正化計画の居住誘導区域外であれば、容積率緩和がない可能性もありますよね。

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建て替えラッシュとはいえ、駅前にある立地の良い、資産性の高い築年数の古いマンションからの建て替えになっていきそうです。

 

宮前グリーンハイツ・プレミスト六甲道

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。