マンション買取業者の決算を見てみよう③〜イーグランド〜

イーグランドの2016年3月期の決算が出た。

イーグランド決算1

イーグランドは、主に競売で中古住宅を仕入れて、リフォームした後に再販売する不動産買取業者だ。再販売を省略して再販というが、買取して再販した戸数で、2014年度の全国5位だった会社だ。ここ数年は競売以外の物件も仕入れを強化しているが、このことについては後ほど説明する。

会社名 年間販売戸数 マンション比率 再販価格平均(万円) 再販売上高(億円)
1 カチタス 3001 1% 1300 384.0
2 フジ住宅 1361 70% 1660 226.0
3 大京 1056 100% 2223 234.8
4 インテリックス 1037 100% 2180 225.9
5 イーグランド 817 70% 1850 154.0

(リフォーム産業新聞「中古住宅再販戸数ランキング」より抜粋)

イーグランドは、東京都千代田区に本社を置く不動産会社だ。設立は1989年で、東証二部(3294)に上場している。東京本社の他に大阪に関西支店、宇都宮支店・札幌支店がある。主な事業は、仕入れた中古住宅をリフォームして再販売する中古住宅再生事業で、仕入の方法によって2つに分けられる。

  • 競売…債務返済できなくなり、裁判所の管理下で強制的に売却された不動産を仕入れる方法。
  • 任売…不動産仲介会社からの情報により、一般消費者等から不動産を買取って仕入れる方法。(一般的なの任意売却の意味ではない。)
イーグランド決算2

中古住宅再生事業

事業エリアは、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県の首都圏エリアを中核エリアとしております。首都圏以外におきましては、関西エリア等、継続的に事業を見込める地方都市で事業を展開しております。
当社の取り扱い物件は、主として一時取得者層(若年のファミリー等、初めて住宅を購入する層)をメインターゲットとしたマンションや戸建等の居住用物件を中心としており、販売価格2,000万円以下の物件が約6割を占めております。[…] 物件の仕入れは、裁判所が実施する不動産競売による仕入れを主としておりますが、一般の中古住宅流通市場からの仕入も強化し、仕入の安定化を図っております。

一般の中古住宅流通市場からの仕入

当社は、不動産競売による仕入のほかに、市中の不動産仲介会社等からの情報に基づき、一般の中古住宅流通市場における個人や法人からの一般買取りによる仕入も行っております。このような仕入形態を当社では任売による仕入としております。
当社では、不動産競売のほかに複数の仕入ルートを確保することによって仕入の安定化を図るため、任売による仕入を強化しております。
任売による仕入においては、市中の不動産仲介会社等との情報交換を蜜にし、仕入物件にかかる情報収集を図り、情報取得後は現地調査等を実施のうえ、迅速かる適確に仕入可否や仕入価格を決定しております。

(平成28年3月期『決算短信』より一部抜粋)

イーグランド決算3

平成28年3月期の決算は売上高170億円(昨年度154億円)、営業利益11億円(昨年度8.9億円)と増収増益だった。

イーグランド決算4

買取して再販した戸数が、前期の817戸から当期は850へ33戸増えている。

月70戸のペースで再販している計算

2015年度の1戸あたりの平均再販価格は1889万円

このようにイーグランドは2000万円以下の低価格帯の居住用物件を中心に買取再販している。

中古再生事業(売買)の構成比を見ると首都圏競売の割合が減少し、首都圏任売地方支店の割合が増加している。一般的に競売は、好景気になると破産件数が減るため、仕入が難しくなる。また、好景気になると割安な物件を求めて、今まで競売に手を出していなかった業者や個人まで参入してくるというマイナス要因もある。

イーグランド決算5

地方支店といっても、関西支店(大阪)での売上貢献が大きかった。イーグランドの関西支店は2014年5月に開設したばかりだが、大阪マンションバブルにのったといえるだろう。

大阪市70㎡価格201604

参照:東京カンテイ

イーグランド決算6

ここでの1Qは4〜6月、2Qは7〜9月、3Qは10月〜12月、4Qは1月〜3月のことだ。また仕入件数物件販売件数も買取業者には参考になるだろう。

イーグランド決算7

売上高(=再販価格)から仕入れ価格(=買取価格・諸費用)を引いたものが売上総利益(=粗利)だが、そこから人件費・広告費を差し引いた額が営業利益で、「物件を買取って再販する」という本業でいくら稼いだかがわかる。

粗利ベースで3億9400万円増加している。

前期に比べて1物件あたりの粗利が平均46万3529円の増加

イーグランド決算8

価格帯別販売実績、地域別販売実績は以上の通りだ。

再販価格2000万円以下の物件が全体の65%

イーグランド決算9

物件の平均保有期間は6.6ヶ月

このリスクについて以下の通り開示している。

仕入れについて

当社は、物件を仕入れる際には、近傍類似の取引事例等を参考にして販売価格を想定しておりますが、物件の仕入から売却までの間は平均6.8か月(平成28年3月期販売実績)の期間を要するため、その間に不動産市況が悪化し、販売価格の見直しが必要になった場合は、物件仕入時に期待したとおりの利益を得られず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の仕入の約6割を占める不動産競売について、競売物件数は、中小企業金融円滑化法が施行された平成21年より減少する等、制度や景気動向によって変動する可能性があります。競売の落札価格は入札者の増減により変動する可能性があり、競合激化により落札価格が上昇した場合には、販売価格の上昇が伴わければ利益を確保することが困難となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(平成28年3月期『決算短信』より一部抜粋)

イーグランドが描いている今期の予想を見てみよう。

イーグランド決算10

今期(2017年3月期)も増収増益を予想している。

イーグランド決算11

販売物件数の予想は850戸(前期比+15戸)

物件1戸あたりの粗利予想は359万円(前期は323万円)

イーグランド決算13

イーグランドは今期も関西支店(大阪)の不動産市況を強気でみている

大阪に対して首都圏の伸びはそれほど期待していない。(価格の高止まり予想)

競売については引き続き弱気(価格の高止まり予想)

今期の1戸あたりの平均再販価格は1940万円

競売については引き続き弱気(価格の高止まり予想)

イーグランド決算12

関西(大阪)エリアでの事業拡大に加えて、次は名古屋の進出へ

まとめ

  • 競売の仕入状況は厳しい(不動産市況は強く、高値で推移する予想)
  • 昨年から東京より大阪の不動産市況の方が良くなっている
  • 大阪の不動産市況は今期も強気予想
  • 次は名古屋進出へ(マネーも大阪から名古屋へ?)

販売方法やリフォームについての開示情報を載せておく。

販売

物件の販売は、自社に直販部門を設けず、かつ特定の販売会社に依存することなく、各物件の地元の不動産仲介会社へ幅広く、物件販売の仲介を依頼する方法により行っております。これによって、少人数による広域事業展開を可能にしております。
直接の販売活動は、地元の不動産仲介会社を介して行っておりますが、当社の物件担当者は担当物件の管理状態や販売動向等を確認し、必要に応じて販売価格の見直しを行う等、販売期間の長期化を抑止するための施策を講じております。
また、当社がリフォームを施した全ての物件には、その工事箇所及び部位別に1年から最長10年のアフターサービス保証を実施しており、品質に対する安心を提供することによって顧客満足度の向上を図っております。

リフォーム工事について

当社では、取得した中古住宅のリフォーム工事を全てリフォーム工事業者に外注しており、これによって人件費等の増加を抑制して、経費の軽減効果を見込んでおります。しかしながら、リフォーム工事の全てを外注先に依存しているため、今後、仕入件数の増加に伴い、それに見合う外注先を充分に確保できなかった場合、また、外注先の経営状態の悪化等により工事の遅延が発生して早期の販売活動ができなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

有利子負債への依存と資金調達について

当社では、物件の仕入資金を主として金融機関からの借入によって調達しているため、有利子負債への依存度は比較的高い水準にあります。今後は自己資本の充実に注力する方針でありますが、経済情勢の変化等によって市場金利が上昇した場合には、支払利息が増加する等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、物件の仕入資金を調達する際には、特定の金融機関に依存することなく、個別の物件毎に金融機関に融資を打診しており、現時点では安定的に調達ができております。しかしながら、当社の財務状態が著しく悪化する等により当社の信用力が低下し、安定的な融資が受けられない等、資金調達に制約を受けた場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、物件の仕入資金は、借入期間が概ね1年の短期借入金で調達しているため、不動産市況の低迷等によ り、想定した期間内で売却できない物件が多発し、リファイナンスができない場合には、当社の資金繰りに影響を 及ぼす可能性があります。また、一部の金融機関との間の当座貸越契約については、一定の財務維持要件が付され ているものがあり、当該要件に抵触した場合には期限の利益を喪失することにより、当社の財務状況に影響を及ぼ す可能性があります。

(平成28年3月期『決算短信』より一部抜粋)

最後にイーグランドの強みである不動産競売市場についてどのようにみているか載せておく。

イーグランド決算15 イーグランド決算16 イーグランド決算17

(この記事で掲載されている情報は、株式会社イーグランド『決算短信』『決算説明資料』『決算ファクトシート』からの情報です。この記事を通じて得られる情報は、利用者の私的利用目的に限り提供されるものであって、特定の不動産等についての勧誘ではなく、また、当社は、利用者に対し何らかの投資・売買行動を勧誘するものではありません。)

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。