防火地域(ぼうかちいき)とはなにかについてわかりやすくまとめた

防火地域(ぼうかちいき)とはなにかについてわかりやすくまとめた

都市を火災から守ることは、都市計画における重要な役目の1つです。都市計画とは、都市の将来あるべき姿を想定し、そのために必要な規制や整備を行い、都市を適正に発展させようとする方法や手段のことです。火災が起きても燃え広がりにくい、火災を防ぐ(防火)都市を創ることは理想なのです。

都市計画について定めた都市計画法では、防火についてこのような項目があります。

防火地域または準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。

都市計画法第9条20項

このように火災の被害が起きやすい地域、そして火災を防ぐために予防しなければならない地域として、防火地域・準防火地域が定められます。

ここでは、防火地域がどのような地域なのかについてわかりやすく説明します。

防火地域はどこに指定されるのか

防火地域・準防火地域・法22条区域指定される場所はふたつに分かれます。ひとつは、建物の密集度が高い地域です。火災が起きたらひとたまりもありません。そのため、都市の中心部で、商業施設が立ち並び、人通りや交通量が多い市街地の一定範囲に面として指定されます。

もうひとつは、火災のときに消防車や救急車など緊急車両が通る幹線道路沿いに指定されます。火災が起きて建物が倒れ、道を塞いでしまうと消防車が駆けつけることができなくなります。そして、その間にさらに火災が広がってしまいます。そのため、道路沿いでラインのように指定されます。

まさに、火災の被害が起きやすい地域、そして火災を防ぐために予防しなければならない地域が防火地域に指定されます。

一番、制限が厳しい防火地域を囲むように指定されるのが準防火地域で、さらにその周りが法22条指定区域になることが多いです。

あなたの不動産が、防火地域内かどうか調べるにはGoogleYahoo!で「◯◯市(区・町・村) 防火地域」と検索すれば調べることができます。

防火地域内だったらどうしないといけないのか

防火地域内の建物は、延べ床面積(階ごとの面積を足した面積)が100㎡以下の小規模なものを除き、耐火建築物にしなければなりません。

1階・2階(地階※を含む) 3階以上(地階を含む)
延べ面積100㎡超 耐火建築物 耐火建築物
延べ面積100㎡以下 耐火建築物または準耐火建築物

※地階(ちかい)について、日本の建築基準法では、床面が地盤面より下(地下)にあり、その低さが天井高の1/3以上ある階のことと定義されています。

耐火建築物とは

火災が起きても周囲に燃え広がらず、倒壊してしまうほどの変形や損傷が起きないような建物です。つまり、鉄筋コンクリート造や耐火被覆(火災からの熱から守るために、耐火や断熱性の高い材料で覆うこと)した鉄骨造が耐火建築物にあたります。これら鉄筋コンクリート造など、規定の耐火性能を有するものを耐火構造といいます。また、火が燃え広がる部分(延焼のおそれがある部分)である外壁の開口部(玄関ドア・窓・換気扇など)に防火設備(防火戸となる網入りガラスなど)を設置します。

耐火建築物・準耐火建築物

開口部となる扉や窓は重要で、閉鎖することよって、燃え広がったり燃え移る火災を相当な時間止めておくことができます。このような延焼を遮断・防止できる鉄製の扉や網入りガラスの窓のことを防火戸といいます。

準耐火建築物とは

主要構造部(防火の観点から建物を建築する際に骨格となる、壁・柱・床・梁・屋根または階段のことを指し、構造的に建築物を支えている部分を指す「構造耐力上主要な部分」とは異なります)を耐火建築物の構造に準じた耐火性能にした建物です。耐火建築物ではダメだった木造でも、主要構造部を耐火被覆することにより準耐火建築物になります(もちろん、鉄筋コンクリート造や鉄骨造でも大丈夫です)。木造のように耐火構造以外の構造で、耐火構造に準ずる規定の耐火性能を有するものを準耐火構造といいます。

また、耐火建築物と同じように、火が燃え広がる部分(延焼のおそれがある部分)である外壁の開口部(玄関ドア・窓・換気扇など)に防火設備(防火戸など)を設置します。

耐火構造または準耐火構造でない屋根は不燃材料で造る、もしくは葺(ふ)かなければなりません。不燃材料とは、コンクリート・れんが・瓦・石綿スレート・鉄鋼・アルミニウム・ガラス・しっくい、その他これらに類する建築材料で規定の不燃性(燃えにくさ)を有するものをいいます。

ただし、次に該当するものは、耐火建築物または準耐火建築物としなくてもよいとされています(建築基準法第61条ただし書)。

  • 延べ面積が50㎡以内の平屋建ての付属建築物で、外壁および軒裏(のきうら)が防火構造のもの
  • 高さ2m以下の門または塀
  • 高さ2mを超える門または塀で、不燃材料で造り、または覆われたもの

防火地域の建物は、燃えにくい材料で建てなければならないため、一般的な建築費より高くなります。

その分、建物を建てる際、一般的に隣地境界線から50cm離さなければならない(民法234条)ところ、防火地域内で耐火建築物を建てる場合は、隣地境界線に接して建てることができます(建築基準法第65条)。加えて、第1種第2種住居地域準住居地域近隣商業地域商業地域準工業地域建ぺい率が80%の地域では建ぺい率の制限をなくし、それ以外の地域では法定の率より10%緩和されます。

建物が防火地域の内外をまたいでいる場合

建物が、防火地域と準防火地域やなにも指定がない区域をまたいでいる場合は、防火上の制限がもっとも厳しい地域の規制が適用されます。例えば、建物が防火地域と準防火地域をまたいでいる場合は、防火地域の制限を受けるということになります。

ただし、耐火構造で自立できる壁である防火壁を設けた場合、その外側において厳しい地域の規制は適用されず、本来の制限を受けます。

まとめ

防火地域は、都市の中心市街地や主要な駅前、主要な幹線道路沿いなど、多くの建物や商業施設が密集し、火災などが起これば大惨事になりかねない地域に指定され、建物の構造が厳しく制限しています。

具体的にいうと、飲食店などが多い商業地域では、多くの地域が防火地域に指定されています。そうなると、例えば駅近の商業地域内で、木造の家を建てるために土地を探していてもほとんど意味がないということになります。

近年、防火地域内においても、一定の耐火性能を有するもので国土交通大臣の認定を受けたものであれば、木造住宅でも建築することができるようになりましたが、それでも制限がかなり厳しいため、事前に確認が必要です。

防火地域の建物は、燃えにくい材料で建てなければならないため、一般的な建築費より高くなりますが、その分燃えにくくなるとして火災保険の金額が安くなることも知っておいた方が良いでしょう。

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防火地域は、都市計画法で定める「地域地区」の一つです。地域地区とは、都市計画区域内の土地を、どのような用途に利用すべきか、どの程度利用すべきかなどを定めて21種類に分類したものです。

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