ごみ屋敷条例(ゴミ屋敷条例)とはなにかわかりやすくまとめた

ごみ屋敷条例(ゴミ屋敷条例)とはなにかわかりやすくまとめた

あなたも、お家に大量のゴミをためるごみ屋敷を見かけたことがあるかもしれません。

ごみ屋敷(ゴミ屋敷)とは、ゴミ集積場でもない家(建物)や土地に、自ら出すゴミを放置したり、他のところからゴミを集め込んだりして、ゴミが散乱状態に積み上げられて放置された家のことをいいます。

ごみ屋敷

(ごみ屋敷)

ごみが放置されているといっても居住者が住んでいることがほとんどです。

リサイクル業を営んでいると主張される方もいます。また、居住者自身の病気や体の衰えなどによりごみを捨てられずに放置されているケースなどもあります。

居住者がいないケースとしては、空き家になっている不動産に、近隣住民などがごみの不法投棄を繰り返して放置されているごみ屋敷もあります。

ごみ屋敷は、社会問題の1つであり、悪臭やネズミ、害虫の発生などにより近隣の住民に被害が及ぶほか、ボヤや放火などの犯罪に遭いやすいことから問題視されています。

ごみ屋敷に住んでいる住民と、ごみ屋敷に困っている周辺の住民が、お互いに話し合って解決するのが一番良い解決方法ですが、それができていたらごみ屋敷は解決されているでしょう。

ややこしいことに、一般的に「ごみ」とされる物についても、法的には所有権があります。第三者から見て、明らかにごみが堆積していても、所有者が「ごみではない」と主張した場合、近隣住民や行政(役所)が強制的に排除することは難しいのです。加えて、私有地でもあるため、正当な理由なく立ち入れば住居侵入罪に該当します。

このような問題を解決するために定められたのが、ごみ屋敷条例です。

ごみ屋敷条例とは

困っている周辺住民の方は自治体(役所)に相談したり苦情を訴えますが、その後の手続きの流れは、ごみ屋敷条例の沿って大まかに次のようになります。

  1. 住民からの申し出(苦情・相談)
  2. 調査
  3. 助言・指導
  4. 勧告
  5. 命令
  6. (行政)代執行

役所は周辺住民などからの申し出を受けて、立ち入り調査を行うなどして現場の状態を確認し、不良な状態であれば改善するよう助言・指導勧告を行います。

ごみ屋敷の住人がそれに従わない場合は、命令を行います。住人が命令にも従わない場合は、最終的に行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)を行うという流れになります。

行政代執行(代執行)とは、国や地方公共団体などの行政機関(役所)が、命令や義務を果たさない人たちの代わりに行政機関が強制的に撤去・排除などを行うことです。代執行の費用は居住者が負担します。

京都市は13日、「ごみ屋敷」対策条例に基づく行政代執行で、同市右京区の住宅ベランダや周辺の私道上のごみの撤去を開始した。市によると、同様の条例に基づく代執行は全国初という。

市によると、住宅は50代の男性が所有し、現在は空き家。玄関に面した幅約1.3メートルの私道にごみが堆積。老朽化したベランダにも物があふれていた。

市はこの住宅より奥にも数軒の家があり、車いすで生活している住民もいることから、災害時などの避難に支障が出ることや、ベランダが崩落した場合の危険性などを考慮し、代執行が必要と判断した。

市は2009年に周辺住民から相談を受け、撤去指導や福祉制度の情報提供などを行ってきた。ごみ屋敷条例が昨年11月に施行された後も約60回本人に会い、働き掛けたが、ごみ処理に応じなかったという。

2015年11月13日日本経済新聞抜粋)

一連の流れの間には、学識経験者の意見を求めて、審議会が設置されて審議されることもありますし、調査に応じなかったり、指導や勧告に従わなかった場合に氏名等が公表されることもあります。

兵庫県神戸市を例にあげてみてみましょう。

不良な状態にある建物等の分類 悪影響の程度と危険の切迫性
著しく衛生上有害となるおそれのある状態(※1) 地域住民等の健康に悪影響を及ぼすおそれがある 地域住民等の健康に著しい悪影響を及ぼすおそれがある 地域住民等の健康だけでなく、生命、身体または財産の危険が切迫している 地域住民等の健康だけでなく、生命、身体または財産の危険がさらに切迫し放置できない
周辺の生活環境(※1) 地域住民等の健康に悪影響を及ぼしている 地域住民等の生活環境に著しい悪影響を及ぼしている ー(※2) ー(※2)
措置の範囲 ③助言または指導 ④勧告 ⑤命令 ⑥代執行

(※1)不良な状態にある建物等の分類は次の通りです。

著しく衛生上有害となるおそれのある状態

  1. 有害危険物質が放置
  2. 大量の廃棄物その他の物の保管が不良
  3. 衛生害虫が発生している(感染症を媒介するねずみ、はえ、ゴキブリ等)

周辺の生活環境保全のため放置することが不適切な状態

  1. 悪臭が発生している
  2. 火災発生のおそれがある
  3. 通路等に大量の廃棄物その他の物が堆積していることによる通行等の障害

(※2)また、通常は実施(命令や代執行)しませんが、例えば、著しく大量の可燃物が堆積していて、出火の可能性及び火元となる可能性、周辺への延焼の可能性から火災発生のおそれが極めて高い場合や、通路に著しく堆積し、日常の通行のほか災害時における緊急避難経路として市長がある場合は、市長が必要と認める場合は実施することができます。

「神戸市住居等における廃棄物その他の物の堆積による地域の不良な生活環境の改善に関する条例」に基づく措置の判断基準参照)

基本的な流れは同じですが、自治体によって条例の内容が異なります。例えば、撤去費用の補助金が出る自治体(東京都足立区・神戸市など)もあります。各自治体が定めたごみ屋敷条例は次の通りです。

【秋田県】

秋田市

【福島県】

郡山市

【埼玉県】

八潮市

【東京都】

新宿区

杉並区

世田谷区

品川区

大田区

荒川区

足立区

【神奈川県】

横浜市

【栃木県】

宇都宮市

【愛知県】

名古屋市

豊田市

【京都府】

京都市

【大阪府】

大阪市

【兵庫県】

神戸市

【福岡県】

北九州市

各自治体、ごみ屋敷条例の制定を検討しているため今後も増えるものと思われます。

なお、「ごみ屋敷条例」は通称であり、各自治体によって条例の名称は異なります。例えば、神戸市は「神戸市住居等における廃棄物その他の物の堆積による地域の不良な生活環境の改善に関する条例」となっています。