ついに豊中・曽根の時代がやってきた!「阪急伊丹空港連絡線」とは?

阪急電鉄が伊丹空港(大阪国際空港)への鉄道新路線を検討していることがわかった。もし、これが実現すれば、豊中市の曽根駅周辺の地価が上昇しそうだ。

阪急、梅田とアクセス 新線検討 関空→伊丹 訪日客運ぶ

伊丹連絡線阪急阪神ホールディングスの中核子会社、阪急電鉄は大阪国際(伊丹)空港に乗り入れる新線を検討する。大阪中心部からのアクセスを改善し、利便性を高める。阪急は2031年開業予定のなにわ筋線を経由して、関西国際空港へ直接乗り入れる意向も明らかにした。関空から来日する外国人観光客を伊丹を通じて国内各地へと運ぶルートをつくる構想だ。

伊丹空港連絡線は宝塚線曽根駅(大阪府豊中市)と伊丹空港を結ぶ約3kmの地下を走る構想で、実現すれば大阪・梅田と伊丹が1本で結ばれる。現在、伊丹に乗り入れる鉄道は大阪モノレールのみで、梅田からは阪急蛍池駅で乗り換えが必要だった。直通バスの利用者も多く、直行する新線に一定の需要があると判断した。

事業費は1千億円規模になるとの見方もあり、今後事業化の是非について議論する。大阪府は「伊丹空港へのアクセスとして重要な路線になる可能性がある。府が関与すべきかどうかを今後判断する」(都市交通課)としている。

新線検討の背景にあるのが伊丹空港の利用増だ。関空に比べると伸びは目立たないが、16年度の旅客数は1510万人と5年間で2割弱増えた。関空は国際線中心のため、関空で入国したインバウンド(訪日外国人)が地方観光を目的に伊丹で国内線に乗り換えているのが一因だ

日本航空は4~6月の伊丹発着国内線で外国人客が前年同期と比べて1~2割も増えたという。阪急にとって観光客の利用も見込める京都線などに比べて、宝塚線は沿線住民の利用が大半を占めるとみられ、国内外の空港利用客を取り込む利点は大きい

阪急は大阪中心部を南北に貫く31年春開業予定の新線「なにわ筋線」に合わせ、関空への直接乗り入れも計画している。難波から関空は南海電気鉄道の路線での運行が有力だ。なにわ筋線向けにレール幅を狭めた新型車両を日立製作所と開発する。

開通を検討しているJR北梅田駅(仮称)―阪急十三駅や、十三駅―JR新大阪駅を結ぶ新線が実現すれば、新大阪―関空間が1時間程度で直通するさらにこれに伊丹空港連絡線が加われば、十三駅で乗り換えて伊丹へ向かうこともでき、関空―伊丹のルートが完成する

神戸空港の来年4月の民営化に合わせて、関西エアポート(大阪府泉佐野市)は関空、伊丹、神戸の3空港の一体運営に乗り出す予定。

伊丹でも利用増を見込み、20年まで大規模改装を進めている。中央ビルに入居するレストランや物販店を入れ替えるほか、待ち時間を3割短くした新しい保安検査装置を導入する。一体運営が進めば、空港間の交通需要がさらに膨らむ可能性がある。

空港へのアクセスは国内都市共通の課題だ。東洋大学国際地域学部の矢ケ崎紀子准教授は「日本の空港、特に地方空港はアクセスが良くない。海外では地方であっても地下に鉄道が通っていたりする。伊丹も地下鉄などがなく利用者には物足りない」と指摘する。

東京も同じ悩みを抱えており、羽田空港をめぐってはJR東日本が計画する羽田空港アクセス線や、東京急行電鉄蒲田駅と京急蒲田駅を結んで羽田空港に乗り入れる新空港線(蒲蒲線)など複数の構想が取り沙汰されている。

阪急の計画が実現すれば、大阪の都市力の向上にもつながりそうだ。

(2017年9月2日日本経済新聞朝刊関西経済35面抜粋)

まだ決定ではない

新線は、阪急宝塚線曽根駅(大阪府豊中市)からの約3kmを地下で結ぶコースを想定している。工事費用は1千億円規模となる見込みだ。阪急は、国土交通省が7月に開いた「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワーク検討会」で、伊丹空港への新線構想を提示した。今後同路線を使う乗客の需要を予測し、採算ベースに乗るか見極めてから今年度内にも事業化の可否を決めるとしている。

なぜつくるのか?

現在、伊丹空港に乗り入れる鉄道は大阪モノレールのみで、梅田から行くには蛍池駅で乗り換えが必要だ。大阪中心部からはリムジンバスの方が、直通かつ所要時間も短いため利用者も多く、実現すれば大阪・梅田と伊丹空港が1本で結ばれることから、阪急は直行する新線に一定の需要があると判断したようだ。

伊丹空港と関西空港のアクセス

この「阪急伊丹空港線」ができれば、阪急梅田駅から空港駅は直通列車(停車駅:十三駅・曽根駅)で約15分ぐらいで、十三駅からは12分、神戸三宮駅からは約40分、京都の河原町駅からは約55分程度になるとみられる。リムジンバスでは、梅田から30分、三宮から40分、京都駅から55分のため、伊丹空港連絡線ができれば鉄道に一定の需要があるというのもわかる。

しかし、なぜ今になって阪急はつくろうと思ったのか。

①伊丹空港はつぶれない

関西に住んでいる方ならよく知っていると思うが、その昔、騒音問題に悩む伊丹空港に代わって、関西国際空港を建設した後、伊丹空港は廃止するという話があった。

その後、大型機の乗り入れが禁止されつつも「伊丹空港はやはり都心から近くて便利だよね」ということで存続してきた背景があるが、2016年に関西空港とあわせて民営化(空港運営委託)されたことで、今後、廃止もしくは規模が縮小されるリスクがかなり小さくなったといえる。

この民営化された会社、関西エアポートはオリックスとフランスのヴァンシ・エアポートが主体の会社だが、それ以外にも関西を代表する企業も出資しており、もちろん阪急阪神ホールディングスも出資している。空港運営委託期間は2060年3月31日までとなっており、阪急は今後も廃止される可能性がかなり低いと判断したとみられる。実際、伊丹空港は現在、大規模なリニューアル工事を進めており、2020年度に完成する予定となっている。

②伊丹空港の利用者が増えている

とはいえ、空港の利用者が増えないのであれば、さらに利益が出る見込みがないため、今さらつくるメリットはあまりない。しかし、伊丹空港の利用者は増加している。

関空に比べると伸びは目立たないが、2016年度の旅客数は約1500万人と5年間で2割弱増えている。関空は国際線中心のため、関空で入国した訪日外国人が地方観光を目的に伊丹で国内線に乗り換えているのがその理由とされている。このように、伊丹空港もインバウンド需要の恩恵を受けているのだ。

伊丹空港・関西空港旅客数推移

阪急は、大阪中心部を南北に貫き、関西国際空港に接続する新線「なにわ筋線」(2031年春開業予定)の建設に合意している。JR大阪駅北側(グランフロント2期)に造る北梅田駅(仮称)から阪急十三駅までの区間だでなく、十三駅からJR新大阪駅間を結ぶ新線「新大阪連絡線」も検討している。併せて伊丹空港線が開通すれば、伊丹―関空間が鉄道でも最短1時間程度で移動できるようになる。これにより、これまでバスでのアクセスしかなかった新大阪駅〜十三駅〜伊丹空港駅もつながることになり、より便利になるだろう。

阪急十三駅は阪急電鉄主要3線(神戸線・宝塚線・京都線)のジャンクションとなっており、十三駅をハブ駅として、京阪神と伊丹空港・関西空港・新幹線のアクセスを向上させ、阪急沿線全体の価値を上げたいとみられる。

③阪急宝塚線の利用者減を防ぐため

今後、阪急宝塚線沿線の豊中市、池田市、箕面市、川西市、宝塚市では、合計100万人いた人口(2010年)が、2040年に86万人に減少すると見込まれている。

15〜64歳の生産年齢人口に限れば、63万人から2040年には45万人と約3割も減ると予測されており、急速な高齢化と人口減少が同時進行している。この生産年齢人口の減少は、通勤や通学を主体としている鉄道路線にとっては利用者減に直結する話だ。

東京においても三浦半島の人口減少を見込み、京浜急行が羽田空港線拡大に投資している。同じように「阪急伊丹空港線」の建設は、空港への鉄道利用という宝塚線に新たな需要により、人口減少による利用者減を防ぐ狙いがありそうだ。

ついに曽根駅の時代がきた!

確かに「阪急伊丹空港線」は曽根駅を通るが「時代がきた!」とまでいえるのだろうか。

①恐らく「地下」に曽根駅ができる

「なぜ、蛍池駅から、豊中駅から、岡町駅から伊丹空港に鉄道をひいてくれないのか、なぜ曽根駅なのか」と各駅周辺に住んでいる豊中市民はそう思っているだろう。

「曽根駅からおよそ3kmを地下で結ぶ」ということ以外、阪急がどのようなルートを検討しているのかは現時点では不明のため、様々な憶測が飛び交っている。

しかし、前述した2031年春開業予定の新線「なにわ筋線」は、阪急で初めての狭軌路線(ナローゲージ)であり、今走行している軌道とはあわない。なにわ筋線は、南海電鉄に乗り入れて関西空港へ直通列車が運行される見込みとなっているため、曽根駅から十三駅、北梅田駅や新大阪駅までの路線は、全て地下でつながる可能性が高いとみられる。実際、阪急阪神HDの角和夫会長も、なにわ筋線の十三駅について「(新しい)十三は地下駅。阪急の既存路線とはつながらない」とした上で、「(幅の狭い)ナローゲージの車両を作り、相互直通の相手先にメンテナンスを頼む」と言っている。

つまり、既存の宝塚線の地下に新線を建設したとしても、曽根駅より以北の駅(岡町駅・豊中駅・蛍池駅)から空港につなぐとその分地下線も延伸することになり、費用が増えるためとみられる。また、北梅田駅から地下で考えたとき最短距離が曽根駅ということもある。

このことが何を意味するかというと、「阪急伊丹空港線」と十三駅をつなぐ新地下線路は、庄内駅や服部天神駅に停車せず、曽根駅と十三駅のみ停車し、しいては関空まで繋がるなにわ筋線の主要な駅(北梅田駅・西本町駅・なんば駅)につながるため、曽根駅は現状「準急」しか停車していないが、曽根駅はキタにつながる阪急宝塚線とミナミにつながるなにわ筋線の両線の「特急」停車駅に格上げされ、相当利便性が向上されることが予想されるのだ。

もし、本当にこのことが実現すれば、住宅地としての価値が相当上がるため、地価は上昇することになる。

曽根駅前にある不動産会社で働く坂本氏も「戦前の曽根駅は『東の芦屋・西の曽根』と言われていたほど、住宅地として評価が高かったエリアです。阪急伊丹空港線が実現し、なにわ筋線と直結するならば、曽根駅周辺の地価はガラリと変わります。(クレスセル住宅販売豊中店坂本氏)」とインタビューに答えている。

②地上権が設定される可能性が高い

「曽根駅からおよそ3kmを地下で結ぶ」ということはその区間の住宅地の地下に鉄道路線をつくることになるが、阪急も勝手に造ることはできない。地下40m以内の場合、そこに住んでいる所有者の所有権の範囲内であり、阪急は使用料(地代)を払うことになる。

このことが「地上権」を設定するということであり、地代である地上権設定料は一般的な借地権の賃借料と異なり、月払いや一年ごとの更新ではなく、地上権設定時に契約書を作成し一括で支払うのが一般的だ。地上権料は、その土地の売買相場の2~7割程度で、土地ごとによって大きく異なる。これは、その土地が自由に使えなくなる制約を受ける度合い(阻害率)はトンネルの深さや構造、その土地の建ぺい率・容積率などで個々に異なるため、地上権料の割合も土地ごとに大きく変わる。

地上権についてわかりやすくまとめた

地上権についてわかりやすくまとめた

2016.06.23

地上権の対象となるのは「曽根西町」「原田元町」「岡町南」「宝山町」の一部とみられる。

伊丹空港線地上権設定推定地

阪急伊丹空港線に大深度地下を利用するという意見もあるが、この可能性は低いと考えられる。

大深度とは?

地価の高い大都市圏で地下鉄などを建設しようとすると、莫大な地上権料が必要になるため、地下鉄や高速道路は原則公道の下しか通せず、様々な弊害を生み出していた。この問題を解決するため、2001(平成13)年に大深度法が施行された。大深度法は、地下40m以深の空間(大深度地下)には地上の所有権が及ばず、公共のために使用できるというものだ。これにより、土地所有者に地上権料を支払うことなく地下にトンネルを掘ることが可能になった。

大深度を利用すると地代はいらないが、阪急宝塚線の地下は阪急の土地であり、大深度で走らせる必要はない。実際、伊丹空港線の事業費は3kmで1,000億円規模になるといわれているが、これは現在建設中の北大阪急行の延伸事業(箕面船場駅・新箕面駅)が2.5kmで650億円と考えると高い。これは、地上権を設定する費用が含まれていると考えられるからだ。

このように、阪急伊丹空港線ができると「曽根の時代がきた!」と言っても過言ではないだろう。

ただし、ほぼ建設が決まった新大阪連絡線と違い、伊丹空港連絡線はまだ構想段階の話だ。今後、なにわ筋線・新大阪連絡線との採算性を踏まえた上で、具体化するとみられる。

今後の「阪急伊丹空港線」の動き、そして「曽根駅」に注目だ。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。