既存住宅価格査定マニュアル(戸建の建物部分)についてまとめた

既存住宅価格査定マニュアル(戸建の建物部分)についてまとめた

一戸建ての建物部分を査定価格を出すときは、原価法で査定します。

一戸建て(建物)の査定方法「原価法」についてわかりやすく説明する

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2017.05.28

実際には、不動産会社は公益財団法人不動産流通推進センターの「既存住宅価格査定マニュアル」を使って、一戸建ての建物部分を査定します。

ここでは既存住宅価格査定マニュアル(戸建建物)についてわかりやすく説明します。

 

既存住宅価格査定マニュアルとは

既存住宅価格査定マニュアルは、1980(昭和55)年の宅地建物取引業法改正により、媒介契約の制度が施行されたことに共に開発されたものです。

どの媒介契約が一番多いの?なぜ、その不動産会社にお願いしたの?

宅地建物取引業者(不動産会社)が媒介契約において、媒介価額(査定価格)についての意見を述べる際には、根拠を明らかにしなければならないことが宅地建物取引業法により義務付けられました。

宅地建物取引業者は、前項第二号(当該宅地または建物を売買すべき価額またはその評価額)の価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

(宅地建物取引業法第34条の2第2項)

この根拠を明らかにする方法の一つとして、建設省(現:国土交通省)委託調査による価格査定マニュアルが発表され、これを実現化したものが不動産流通推進センターの策定した価格査定マニュアルです。既存住宅とは中古不動産のことであり、一般的な中古マンション、中古戸建ての建物部分と土地部分の査定価格を出すためにそれぞれ利用されます。

近年、改めてこの価格査定マニュアル、特に戸建ての建物部分が注目されています。今までは、木造・軽量鉄骨造で22年、重量鉄骨造で34年、鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリートで47年経てば、建物の価値はゼロとされていました。たとえ途中でリフォームをしたとしてもです。このような取引慣行はおかしいとして、平成26年3月に、不動産を所管している国土交通省が「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定し、中古戸建て住宅の流通市場における「築後20年から25年程度で一律に市場価値がゼロになる」とされる取引慣行を改善し、住宅の性能やリフォームの状況などを的確に反映した評価に変更する指針を示しました。

中古戸建て住宅に係る建物評価の改善

上記の内容で、査定価格に盛り込まれているのが既存住宅価格査定マニュアルなのです。

では、価格査定マニュアルの戸建ての建物部分の査定方法について詳しくみてみましょう。

 

査定の対象

査定対象となる建物の工法は以下の通りです。

・木造軸組工法(在来工法)
・2✕4(ツー・バイ・フォー)
・木質プレハブ工法
・軽量鉄骨造

以下のような住宅は既存住宅価格査定マニュアルの対象外です。

・新築住宅
・宅建業者による全面リフォームの住宅
・豪邸や由緒ある旧家
・投資用住宅
・欠陥住宅(アスベスト除去工事が必要な住宅、重大な建築基準法違反の住宅、耐震偽装住宅など)

既存住宅価格査定のマニュアルを利用するには、基本的に査定対象建物の屋根や外観等を確認するとともに、必要に応じて建物内部に立ち入って、内部建具、床、壁、天井、設備等に使用している建築材料やその状況などを調査します。また、各部位のリフォームや維持管理状態、住宅性能等を示す図書・資料の有無、住宅の付加価値として考えられる設備の状況などを調査します。つまり、机上査定では出すことができず、訪問査定(実査定)である必要があります。

なぜ机上査定で不動産査定してもらっても何の意味がないのか

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査定価格の算出方法

既存住宅価格査定マニュアルでは、「査定する建物と同等の建物を、査定時に新築した場合にいくらで新築でき、かつ、その価格が経年によりどの程度現存しているか」という原価法を基本とし、その価格に対して査定建物が持つ付加価値などを加味して、査定建物の価格を算出します。

建物査定価格の算出方法

①標準建築費(単価)(A) × 規模修正率(B) × 新耐震基準適合性(C) × 建物全体の品等格差率(D) = 再調達単価

②再調達単価 × 現価率(F) = 現在単価

③現在単価 × 総延床面積 × 付加価値率(G) = 建物価格

④建物価格 × 外観補正率(H) × 外構補正率(H) × 内装・設備補正率(H) − 補修費用 = 建物査定価格

難しい用語ばかりですね。自分で建物価格を出すことは難しく、不動産会社に依頼する必要がありますので、ここでは算出方法を覚えるより、これらの用語を理解し、どのような項目を経て査定価格が出てくるのかを理解しましょう。

A 標準建築費(単価) 標準的な建築材料を使用して新築する場合の建築請負単価で毎年、地域別・構造・工法別に設定されます。
B 規模修正率 建物規模の大小により、建築費を修正するための比率です。
C 新耐震基準適合性 1982年1月1以降の建物は新耐震基準を、2001年1月以降の木造住宅はより高い耐震性を満たすと判断し、建築費を修正するための比率です。
D 品等格差率 建物に使用されている建築材料の品等(グレート)に応じて、建築費を修正するための比率です。
E 基礎・躯体の状態 基礎などの維持管理状態や建物検査の結果に応じて、建築費を修正するための比率です。
F 現価率 建築後の経過年数に応じて減少する建物価格が、新築価格に対してどの程度現存しているかを示す比率です。なお、適切なリフォームや維持管理を行っている場合は、この比率が高くなり評価額が上昇します。
G 付加価値率 建物の性能を示す資料の保有状況や付加価値的な設備の有無を評価し、査定価格の割増を行うための比率です。
H 外観補正率/外構補正率/内装・設備補正率 建物の外観・外構・設備の良否に応じて、建物価格を加減するための比率です。

これでも難しいですよね。これらの項目は実際に査定するとき、査定条件表(建物)に項目があり、1つずつ点数を加えたり減らして修正していきます。

査定条件表(建物)
1.基本情報
標準建築費(単価)A
規模修正率 B
築年月
経過年数
新耐震基準の適合性 C
2.建物のグレート(品等格差率D)
基礎・躯体(基礎・躯体の状態E)
外部仕上げ 屋根材
外壁材
外部建具
内部仕上げ 内部建具(室内ドア)
内部建具(ふすま・障子戸)
内装仕上げ(床)
内装仕上げ(壁)
内装仕上げ(天井)
設備 台所
浴室
トイレ
給排水・給湯設備
照明器具・電気設備
3.部位別のリフォーム・維持管理状態(現価率F)
基礎・躯体の状態
外部仕上げリフォーム 屋根材
外壁材
外部建具
内部仕上げリフォーム 内部建具
内装仕上げ
設備リフォーム 台所
浴室・洗面・トイレ
給湯設備
4.その他の付加価値項目等(付加価値率G)
基礎的な資料の整備状況 新築時の設計図書等
建築基準法に基づく検査済証
情報開示等に関する評価 既存住宅売買瑕疵保険事前検査
建築士等の専門機関の実施したインスペクション結果報告書
白アリ検査に合格(保証の付いたもの)
瑕疵担保保険(新築住宅)の付保証明書(転売特約付に限る)
専門業者による住宅全体の点検・補修
新耐震基準に関する評価 1981年以前の建物だが耐震基準適合証明等がある
1982〜2000年築の建物だが耐震適合証明等がある
付加価値設備の評価 浴室設備(ミストサウナ・ジェットバス等)
給湯設備(エコジョーズ・エコキュート・エネファーム等)
発電設備(太陽光発電・蓄電池・HEMS等)
防犯設備(カードキー・生体認証等)
その他(床暖房・二重サッシ・全館空調等)
5.目視による物件の現況評価(外観補正率/外構補正率/内装・設備補正率H)
外観 屋根や外壁の状態
外構 門・塀の程度、植栽の手入れの状態
内装・設備 壁紙、床、建具、水周り設備の汚れ等

では、A〜Hの具体的な内容についてみてみましょう。

 

A.標準建築費(単価)

建物査定価格の算出方法

標準建築費(単価)(A) × 規模修正率(B) × 新耐震基準適合性(C) × 建物全体の品等格差率(D) = 再調達単価

②再調達単価 × 現価率(F) = 現在単価

③現在単価 × 総延床面積 × 付加価値率(G) = 建物価格

④建物価格 × 外観補正率(H) × 外構補正率(H) × 内装・設備補正率(H) − 補修費用 = 建物査定価格

1.基本情報
標準建築費(単価)A
規模修正率 B
築年月
経過年数
新耐震基準の適合性 C

標準建築費とは、標準的な建築材料を使用して新築する場合の建築請負単価で毎年、構造や工法別だけでなく、地域別に設定されます。そのため、最新の標準建築費は価格査定マニュアルのシステムに入っています。もし、標準建築費がわからない場合は以下を利用してください。

建物の消費税がわからない場合の標準建築価額による計算方法

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2016.01.18

 

B.規模修正率

建築単価は、住戸規模が大きくなれば安くなり、小さくなれば高くなります。標準建築費(単価)は標準的な住宅の建築費なので、建物の規模による建築単価の修正が必要になります。これを数値化したのが規模修正率です。建物の総延床面積が75㎡以上135㎡未満のものを規模修正率1.00とし、基準値とします。

総延床面積 75㎡未満 75㎡以上135㎡未満 135㎡以上
規模修正率 1.05 1.00 0.95

 

C.新耐震基準適合性

こちらは査定対象となる建物が新耐震基準に該当するかで補正率を変えます。旧耐震基準であれば評価は低くなります。

◯新耐震基準(2000年の建築基準法及び同施行令改正後)に適合する場合→補正率1.00

・登記簿上の建築日付が2001年1月1日以降の建物
・登記簿上の建築日付が2000年12月31日以前の建物だが、建築確認通知書の日付で改正後の新耐震基準適合が確認できる場合
・登記簿上の建築日付が2000年12月31日以前(1981年12月31日以前を含む)の建物だが、耐震診断などを行い、査定時点で改正後の新耐震基準に適合すると判断された場合

◯新耐震基準(1981年の建築基準法及び同施行令改正後)に適合する場合→補正率0.95

・登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降、2000年12月31日以前の建物
・登記簿上の建築日付が1981年12月31日以前の建物だが、建築確認通知書の日付で改正前の新耐震基準の適合が確認できる場合

◯新耐震基準に適合しない(旧耐震)場合→補正率0.90

あなたの建物は旧耐震基準?重要事項説明書の「建物の耐震診断の結果」とはなにか

 

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。