瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)についてわかりやすくまとめた

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)についてわかりやすくまとめた

具体的に不動産売買契約書における瑕疵担保責任は次の通りです。

建物の瑕疵担保責任

建物の4種の瑕疵については、原則、修復の請求以外認められていません

瑕疵の修復工事は、瑕疵の状況によって個別に対応して行いますが、修復工事の程度として合理的な範囲は、次の表の「建物の修復範囲等」の通りです。

瑕疵の種類・箇所 修復等の対象範囲 修復等の内容
①雨漏り (1)屋根の雨漏り箇所 現に雨漏りが発生している場所に限り修復の対象とします。 (1)当該雨漏り箇所の下地材からの葺き直しによる補修。
(2)外壁開口部の取合部 (2)シーリング剤(またはコーキング剤)充填または板金入れ直しによる補修。
(3)外壁部分の雨漏り箇所 (3)クラック部分または隙間部分へのシーリング剤(またはコーキング剤)充填による補修
②シロアリの害 シロアリによる被害箇所 建物本体について、シロアリによる被害箇所が現に発生している場合に限り、修復の対象とします。
建物周辺部の植木、切り株または近隣にシロアリが発生していても、建物本体に被害箇所が現に発生していない場合は、修復の対象とはなりません。
当該被害箇所等への薬剤散布。程度により、補強または部分的取替えによる補修。
③建物構造上主要な部位の木部の腐蝕 建物構造上主要な部位の木部 建築基準法施行令第1条第3号に規定される建物の構造耐力上主要な部分のうち、「壁、柱、小屋組み、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版、または横架材(はり、けたその他これらに類するもの)」の木部の腐蝕で、構造耐力上危険であると判断される箇所を修復の対象とします。
上記以外の部位、外部バルコニー、軒裏、垂木等外部木部は修復の対象とはなりません。
当該部分の補強(添柱等による)。程度により、部分的取替えによる補修。
④給排水管の故障 給排水管(敷地内埋設給排水管を含む)の故障箇所 給排水管の亀裂、漏水。
浴室整備機器、洗面設備機器、トイレ設備機器等の給排水設備機器、蛇口、これら設備機器と給排水管のジョイント部分は対象となりません。
配管継手部分の補修、または亀裂管の取替えによる補修。
留意点
・本表は、不動産売買契約書(瑕疵の責任)の条項における「瑕疵の修復範囲等」を示したものです。
・買主が、引渡完了日から3カ月以内に瑕疵の修復を請求した場合、売主は、上記記載の(修復の範囲等)に基づき修復を行います。

修復の範囲は限定されていますが、実際に建物の4種の瑕疵の問題が発生したときに、売主が定められた範囲を超えた修復や損害賠償を行っても良いとされています。

例えば、雨漏りの瑕疵によって、壁や天井のクロスが汚れた場合などの2次災害の処理についてなど、ケースによっては、この定めを超えて解決することが必要なときもあります。

また、建物が老朽化しているため、買主において引渡し後これを取り壊し再建築等を行う予定であるが、売主・買主の合意により、とりあえず建物を売買対象に含めておくというような事情がある場合、当該建物について売主に瑕疵担保を負担させることは妥当ではないので、瑕疵担保責任免責の特約を利用するのが一般的です。

土地の瑕疵担保責任

土地も建物の瑕疵担保期間と同じ3カ月です。

土地の瑕疵を理由とする契約解除は、そうそうあるケースではありませんが、万一、契約が解除となった場合は、登記を売主名義に戻す等、原状回復の対応が必要になります。そして、買主が解除に伴い損害を被っている場合は、民法の原則に基づき、買主は売主に対し損害賠償を請求することも認められます。

売主は土地について瑕疵担保責任を負っているとはいえ、トラブル防止のためには、売主が認識している土地の状況及び通常の注意をもってすれば認識しうる土地の状況については、物件状況等報告書に記載のうえ買主に正直に申告してもらうことが必要です。

土地の不具合で特に注意が必要なのが、地盤、擁壁、地中埋設物、土壌汚染です。

地盤(じばん)

基礎の外周部を見て、基礎に亀裂が入っていないかチェックすることが望ましいです。万一、基礎の亀裂などが発見された場合は、亀裂の原因が地盤に起因するものなのか、基礎の施工に起因するものなのかを、専門家に調査してもらうことになる可能性もあります。

敷地の沈下が敷地の一部で生じたり、敷地の一部が他の部分に比べて沈下速度が速い場合、その上の建物が地盤に追随して傾くことがあります。このような現象を不同沈下(ふどうちんか)といいます。建物や基礎にひび割れが生じる等の現象が生じた場合は、不同沈下が発生していると疑ってみるべきでしょう。不同沈下が進むと、建物が傾きその構造に大きなダメージを生じさせることになり、将来的には建物の倒壊をまねく場合さえあります。

周辺の自然の地形から、過去の土地の利用状況や災害発生の履歴の有無を調査することが必要になってくる場合もあります。物件が谷地や低地、中小河川の流域低地等は地盤が緩いケースが見受けられます。

また、崖地は自然災害の発生の可能性があり、大雨の後に地すべりを起こす危険のある位置に存する物件もあります。崖地に位置する物件は、当該所在が「急傾斜地崩壊危険区域」や「地すべり防止区域」に指定されている場合が多いので、役所の都市計画課などで前記の区域に含まれているかを確認するとともに、建築制限の有無を確認するようにしてください。また、傾斜地を造成した分譲地についても、「盛地」の部分は、造成の実施状況によっては「軟弱地盤」となることがあるので注意が必要です。

買主において物件購入後すぐには建築を行うことが予定されていないときにも、売買物件が土地の場合や、売買物件は戸建ではあるものの、近い将来買主において建替え等の計画が予定されている場合は、将来買主が建築をする際に発注するハウスメーカーから、地盤調査や地盤補強工事等を求められる場合があることについて、重要事項説明書において説明することが必要です。以下の記載例を参考にしてください。

本件土地について、建物を建築する際、建築を依頼する住宅メーカーから地盤・地耐力調査を要請されることがあり、その結果によっては地盤補強工事等が必要となる場合があります。地盤補強工事等については、建築する建物の構造・規模・重量および依頼する住宅メーカーにより異なります。また、地盤補強工事等については費用が発生いたしますので、あらかじめご承知おきください。

地盤調査の実施について

戸建住宅で採用されている地盤調査では、スウェーデン式サウンディング試験がもっともポピュラーなものです。価格が手ごろである点(普通は10万円以内)、および既存家屋が建っている狭い場所でも試験が可能であることなどが、広く採用されている理由です。

スウェーデン式サウンディング試験からは地盤の硬さの指標となる換算N値がわかります。換算N値の数字は、その数値が大きいほど調査地点の地盤は硬いことになります。逆に、換算N値の数値が一定数値以下の場合は、軟弱地盤と判断する指標となります。粘性土の場合においては換算N値が3以下の場合、砂質土の場合においては換算N値が5以下の場合には、通常軟弱地盤といわれています。しかし、換算N値の低い軟弱層の部分が地表からどの位置にどの程度の厚みで存するか、調査地点によって換算N値にばらつきがあるとかを考慮せずに、換算N値の数値のみを問題にして、直ちに建築の可否を判断することは、間違った判断となる場合があるので注意が必要です。

地盤調査の方法については、前記スウェーデン式サウンディング試験以外に、「ボーリング調査」や「平板載荷試験」等があります。「ボーリング調査」は、主にマンションやビル建築を行う場合に、硬い支持基盤を探す目的で行われるものです。一方、「平板載荷試験」は、地耐力を正式に導き出すための調査方法です。

地耐力について

地盤調査の指標としては、前記換算N値とあわせて地耐力を知ることも重要なのですが、通常は「平板載荷試験」を行うことにかえて、スウェーデン式サウンディング試験において判明した換算N値と推定される土質(粘土層、砂層、ローム層、砂レキ層、岩盤)から地耐力を推定する方法がとられています。地耐力とは、土の重量を支える地盤の強さのことをいいます。そこで、地盤1㎡で何トンの重さまで耐えられるかを示す数値を参考に、建築する建物の構造および基礎の仕様を決定することが必要となる場合があります。一般には、地耐力が5t/㎡以上が良い地盤、3t/㎡〜5t/㎡が弱い地盤、それ以下が軟弱な地盤とされているようです。戸建の場合でも、鉄骨造やRC造の場合は、木造の場合に比べて地耐力に見合う基礎工事を相応の費用をかけて行う必要がありますので、買主の希望を踏まえて地耐力と基礎工事の様式・概算工事費について、留意することが必要でしょう。

擁壁(ようへき)

既存擁壁のある物件を仲介する場合、買主が既存擁壁を利用して建物の建築が可能であるか否かは、必ず確認してください。既存の擁壁の中には、建築基準法の確認手続きを経ていない、昭和初期に大谷石を積んだものや、表面はモルタルが塗られているものの、中はブロック塀を簡単に積んだものなどが見られます。

擁壁の外観からわかることとして、水抜き穴は相応の数があるか否か、大雨の日において水抜き穴から濁った水が出たことはなかったか、擁壁自体に亀裂や膨らみ等の異常はないか、また可能であればコンクリート擁壁の場合、その立上りまで鉄筋が入っているか否かなどをチェックすることが必要です。

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2016.04.08

地中埋設物(ちちゅうまいせつぶつ)

地中埋設物が後日発見されるトラブルもあります。地下埋設物とも呼ばれます。

最近問題となっているケースとしては(A)従前そこにあった建物の基礎が残っているケース(B)従前の土地の造成にあたり、建築廃材等の産業廃棄物が埋設されていたケースがあります。

前者のケースに関しては、過去にその土地に何が建っていたかを、建物の閉鎖謄本を取得することにより、以前あった建物の構造や規模がわかるため、基礎の可能性等も推測が可能と思われます。

また、後者のケースに関しては、従前の土地が田や沼地等であった場合に、時として産業廃棄物の埋設を伴う造成がなされている場合があります。この場合の有効な確認の手だてはないのが現実ではありますが、地中埋設物の存在について可能な限りその確認に努めるとともに、売主をはじめとする物件の近隣に以前から住んでいる方から従前の土地の状況が聴取できるのであれば、それらの方からの話も参考にすることも必要かもしれません。

なお、調査の結果、物件地中に産業廃棄物等の埋蔵がなされた経緯等が確認できた場合は、重要事項説明書において、その事実を説明することが必要となります。

地中埋設物には次のようなものがあります。

  • 上下水道、都市ガスの配管
  • 解体された都市の残された基礎・地中杭・地下室、浄化槽、井戸
  • ブロック塀や擁壁の基礎部分
  • 産業廃棄物・廃材・コンクリート片・ゴミなど

土壌汚染(どじょうおせん)

平成15年2月に土壌汚染対策法が施行されました。土壌汚染対策法は、土壌の特定有害物質による汚染(土壌汚染)の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施することにより、国民の健康の保護を図る法律です。

土壌汚染対策法施行令第1条に定める特定有害物質と主な用途

特定物質名 主な用途(現在使用禁止されているものも含む)
1 カドミウム及びその化合物 合金、電子工業、電池、めっき、写真乳剤、塩化ビニル樹脂安定剤
2 六価クロム化合物 酸化剤、めっき、触媒、写真、漁網染色、皮なめし、石版印刷
3 エチルアミノ、シマジン(CAT) 農薬
4 シアン化合物 めっき、試薬、触媒、有機合成、蛍光染料。冶金、鉱業、金属焼入れ、写真薬、医薬
5 チオベンカルプ又はベンチオカーブ 農薬
6 四塩化炭素 フロンガス原料、消火剤、溶剤、脱脂洗浄剤、ドライクリーニング
7 1,2-ジクロロエタン 塗料溶剤、洗浄、抽出、殺虫、塩化ビニル中間体
8 1,1-ジクロロエタン(塩化ビニリデン) 溶剤(油脂、樹脂、ゴムなど)、医薬(麻酔)
9 シス-1,2-ジクロロエチレン 同上
10 1,3-ジクロロプロペン(D−D) 農薬
11 ジクロロメタン(塩化メチレン) 溶剤、冷媒、脱脂剤、抽出剤、消化剤、局所麻酔剤、不燃性フィルム溶剤
12 水銀及びその化合物 電解電極、金銀の抽出、水銀灯、計器、医薬、顔料、農薬、整流器、触媒、農薬、有機合成
13 セレン及びその化合物 半導体、光電池、鋼材の防食被覆、特殊ガラス、乾式複写機感光体、芳香族化合物の脱水素材、浮遊選鉱の気泡剤、頭髪化粧水
14 テトラクロロエチレン ドライクリーニング溶剤、原毛洗浄、石けん溶剤、その他の溶剤
15 チラウム又はチラム 農薬
16 1,1,1-トリクロロエタン 溶剤、金属の常温洗浄、塩化ビリニデン原料
17 1,1,2-トリクロロエタン 同上
18 トリクロロエチレン 金属表面の脱脂洗浄、羊毛の脱脂洗浄、香料抽出、冷媒、殺虫剤
19 鉛及びその化合物 合金、はんだ、活字、水道管、鉛ガラス、ゴム加硫、電池、防錆ペイント、顔料、殺虫剤、染料、塩化ビニル樹脂安定剤
20 砒素及びその化合物 半導体製造、殺虫剤、農薬
21 ふっ素及びその化合物 めっき、ガラス加工、電子鉱業、樹脂
22 ベンゼン 各種有機合成原料、抽出、溶剤、燃料(混入)
23 ほう素及びその化合物 ガラス原料、ほうろう、陶磁器のうわ薬、医薬品、めっき、防腐剤、殺虫剤
24 PCB 熱媒、電気絶縁体、変圧器、コンデンサ、複写機、インキ溶剤、顔料、塗料、合成樹脂製造
25 有機りん化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン、EPNに限る。) 農薬

売買契約締結前に土壌汚染のおそれがあることが判明しているときには、指定区域の指定の可能性を検討しながら、状況に応じ、売買契約の解除に関する特約や土壌汚染調査の手法(いつ、誰が行い、調査費の分担など)に関する特約を定めておかなければなりません。

土壌汚染のおそれがあるかどうかの調査には、物件調査と資料調査があります。

①物件調査

当該土地が指定区域に指定されているか否かを台帳で確認するとともに、土壌・地下水汚染の可能性がある場合には現地調査を行います。この現地調査では、現在の所有者、占有者、近隣住民等から、現在・過去の土地利用の状況に関するヒアリングを行います。

②資料調査

土壌・地下水汚染の可能性がある場合、地図、登記簿、郷土史、航空地図、自治体の環境資料等による資料調査を実施します。土壌・地下水汚染のおそれがある場合は、事前に調査機関に土壌調査を依頼すべきです。

土壌汚染対策法

(イ)土壌汚染の状況の調査

次の①および②の土地の所有者等は、当該土地の土壌汚染の状況について、環境大臣の指定を受けた機関(指定調査機関)に調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければなりません。

①使用が廃止された「特定有害物質の製造、使用又は処理をする水質汚濁防止法の特定施設」に係る工場・事業所の敷地であった土地
②都道府県知事が土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがあると認める土地

(ロ)指定区域の指定

都道府県知事は、(イ)の土壌汚染状況調査の結果、当該土地の特定有害物質による土壌汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認める場合には、当該土地の区域を指定区域として指定し、これを公示します。また、都道府県知事は、指定区域の台帳を調整し、閲覧に供することとしています。

(ハ)土地の形質の変更の制限

指定区域において、土壌の採取その他土地の形質の変更をしようとする者は、次のとおり都道府県知事に届け出なければなりません。

①既に指定された指定区域において土地の形質変更を行う場合は、着手の日の14日前までに届け出る。
②指定区域に指定された際に既に土地の形質変更に着手していた場合は、指定の日から14日以内に届け出る。
③指定区域内における土地の形質の変更が非常災害のために必要な応急措置としてのもである場合は、変更の日から14日以内に事後的に届け出る。

不動産の重要事項説明書における「土壌汚染対策法」とはなにか

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2016.05.03
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