建築年の古いマンションが建て替え費用なしに今後新しいマンションに建て替わるかも?

建築年の古いマンションに住んでる方にとって大きなメリットになる話が、本日の日本経済新聞の朝刊1面に掲載されました。タイトル通りなのですが、建築年の古いマンションが、建て替え費用なしに今後新しいマンションに建て替わるかもしれません。

旧耐震建築 建て替え促す マンション 都が容積率緩和

東京都は老朽化した分譲マンションの建て替え促進のため、容積率を緩和する。1981年5月までの「旧耐震基準」の建物が対象で、建て替え後の戸数を増やせるようにして民間デベロッパーが参画しやすくする。分譲マンションは区分所有者が多いため建て替えが難しい。都内には旧耐震の分譲マンションが約1万棟あり、建て替えが進めば全国への波及効果も期待される。

現在の建物の耐震基準は81年に施行されたが、それ以前の旧基準の建物も従来通り居住できる。ただ、東日本大震災などの大規模地震で老朽化した建物に大きな被害が出ていることから、国は旧基準の建物の建て替えを促進している。

2013年には百貨店やホテルなど不特定多数の人が集まる大規模施設に耐震診断を義務付ける改正耐震改修促進法を施行。自治体は耐震基準に満たない施設名を公表し始め、事業者に改修や建て替えを促している。

一方、分譲マンションは区分所有者の合意形成が難しい。建て替えが進んだ一部の事例は、立地の良さなどで収益性が見込め、民間の不動産会社が事業に参加するケースなどに限られていた。

こうした問題を解決するため、都は17年度、容積率の緩和で都市開発を誘導する「総合設計制度」の運用を見直す。具体的には土地ごとに定められた「基準容積率」に上乗せされる「割増容積率」の上限を、これまでの300%から400%に高める。

まず区市がまちづくり計画を定め、それに基づいて都が対象地区を指定指定地区内の旧耐震マンションは、周辺の住宅などとの共同建て替えを条件に容積率の上限の緩和を受けられる。集約する敷地数などに応じて、割増容積率を算定する。

例えば、敷地面積3000㎡の土地で容積率が100%高まれば、単純計算で広さ75㎡のマンションを40戸多く供給できる。建て替え事業の収益性が高まり、不動産会社などが再開発に加わりやすくなる。

都の調査では都内には約5万3千棟の分譲マンションがある。このうち旧耐震基準は2割の約1万2千棟に上る。調査会社によると、都内の旧耐震マンションの棟数は全国の3分の1弱を占める。

(2017年4月26日日本経済新聞朝刊1面抜粋)

耐震基準 震度6強〜7で倒壊しない水準

一定の強さの地震が起きても倒壊や損壊しない建築物を建てるように建築基準法で定めている基準。1981年5月までの旧耐震基準と、同年6月以降の新耐震基準がある。旧耐震基準は震度5強程度の地震でほとんど損傷しない水準。新耐震基準は震度6強~7程度の地震で倒壊や崩壊しない水準としている。

戸建て住宅の場合、基礎や壁を補強したり、壁の量を増やしたりして耐震補強する。一般的に100万~150万円程度の費用が多いという。一方、マンションの耐震補強は柱やはりの補強のほか、制震ダンパーの設置など大規模な工事が必要になる場合が多い。1億円以上要する場合も多いとされ、住民の合意形成が難しい。

国土交通省の推計では、2015年時点で築30年超の分譲マンションは全国で計約151万戸。10年後の25年には2倍弱の296万戸に増え、35年には3倍強の485万戸まで膨らむ。このうち、築40年超の割合が25年には約半数、35年には約6割を占める。

(2017年4月26日日本経済新聞朝刊3面抜粋)

キーワードは「旧耐震」「容積率緩和」「総合設計制度」「指定地区」です。

さきにマンションの建て替えについて例をみてみましょう。

最近、公団など昔の団地が新築マンションに立て変わっていく姿を見ることも多いのではないでしょうか。大阪府豊中市と吹田市にまたがる、日本初めての大規模なニュータウン「千里ニュータウン」でも建て替えラッシュがおきました。

こちらは北摂の中心「千里中央駅」徒歩6分に位置しており、2012年に建てられた三菱地所・鹿島建設分譲の「パークハウス千里中央」です。建ったあとでも評価が高く、千里中央に位置する分譲中古マンションでもTOP5の中に入る人気のマンションです。

こちらも、建て変わる前は「新千里北町第三団地住宅」という団地でした。

2008年10月1日当時の三菱地所・鹿島建設のプレスリリースを見てみましょう。

三菱地所(株)・鹿島建設(株)を事業協力者とする新千里北町第三団地住宅一括建替え決議が可決成立

三菱地所株式会社と鹿島建設株式会社は、「新千里北町第三団地住宅」(大阪府豊中市新千里北町3-1)の建替え事業につき、同住宅管理組合における検討に協力して参りましたが、9月28日開催の団地臨時総会にて、両社を事業協力者とする一括建替え決議が可決成立し、事業を取り進めることが決定しましたのでお知らせ致します。
両社とも関西圏では初のマンション建替え事業への参画となりますが、首都圏を中心に培ったノウハウを結集し、千里ニュータウン再生のリーディング事業とするべく、新千里北町第三団地住宅建替え事業を取り進めて参ります。

新千里北町第三団地住宅建替え事業の概要

新千里北町第三団地住宅は、「千里中央」駅から徒歩6分の駅前商業ゾーンに隣接する地でありながら周辺は閑静な住宅街で、緩やかな南面傾斜の高台の上に位置します。計10棟で構成される総戸数162戸の団地は、旧日本住宅公団により分譲され、1967年(昭和42年)に竣工しました。
建物の老朽化、入居者の高齢化等の諸問題を抱えた為、管理組合内で団地再生に向けて検討を重ね、昨年12月に三菱地所株式会社・鹿島建設株式会社が、同団地において検討中の建替え計画の事業協力者に選定されました。
以降、区分所有者の建替えについての合意形成に協力すると共に、具体的な建替え計画についても検討を重ね、去る9月28日に開催された団地臨時総会にて、団地全体の93%(区分所有者ベース)を超える圧倒的多数の賛同を得て、一括建替え決議が可決成立致しました。

建替え計画の概要

「千里ニュータウン地区環境保全に関する基本指針」に基づいて容積率を150%以下、建ぺい率を50%以下、更に建物高さも40m(地上12階建)以下に抑えつつも免震構造を採用した南棟・中央棟・北棟の3棟構成で総戸数365戸を計画しています。
1967年の竣工以来、区分所有者の皆様が育んできた素晴らしい住環境と住文化をさらに深め、未来の資産として次世代に継承することを基本コンセプトとし、周辺環境との調和を図った、明るく風通しの良い緑あふれる住空間の創造をめざします。

新千里北町第三団地概要
住所 大阪府豊中市新千里北町3-1
交通 北大阪急行「千里中央」駅 徒歩6分
敷地面積 19,624.64㎡
構造・規模 鉄筋コンクリート造10棟
総戸数 162戸
延床面積 11,036.00㎡
竣工 1967年
建替え計画概要(予定)
構造・規模 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上12階地下1階建、3棟
延床面積 45,575.43㎡
総戸数 365戸
事業者 三菱地所株式会社、鹿島建設株式会社
設計監理者 株式会社三菱地所設計、鹿島建設株式会社
施工者 鹿島建設株式会社
販売会社 三菱地所リアルエステートサービス株式会社
管理会社 三菱地所藤和コミュニティ株式会社

(2008年10月1日鹿島建設のプレスリリースより抜粋)

新千里北町第三団地は1967年建築でした。旧耐震基準とは1981(昭和56)年5月31日以前に新築工事に着手した建物(建築確認を受けた建物)を指します。

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新千里北町第三団地の敷地面積は19624.64㎡でした。それに対して、団地の延床面積(建築物の各階の床面積の合計)は11036.00㎡でした。計算すると容積率は【11036.00/19624.64×100】で56%です。

容積率とは、建築物と延べ面積の敷地面積に対する割合をいいます。市街地が過密にならないように、容積率を定めて、建物の大きさを制限しています。この地域は「現在千里ニュータウン地区環境保全に関する基本指針」によって、容積率は150%に制限されています。

新しいマンション(パークハウス千里中央)の延床面積が45575.43㎡ですので、単純に計算すると【45575.43/19624.64×100】で232%になり、容積率がオーバーしているように見えますが、マンションの場合は共用の廊下や階段、エントランスホール、エレベーターホールなどが、容積率を計算する上での延床面積から除外されます。そもそも、容積率オーバーだと、マンションを建てられません。

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団地の時と比べると、【45575.43/11036.00】となり、建物の面積が約4.1倍となっています。実際、団地のときの戸数は162戸であったのに対し、新しいマンションは365戸となっています。

この差し引き203戸を販売する計画で三菱地所や鹿島建設は利益を出しながら、マンションの建て替えをすすめたのです。元々、この団地に住んでいた人は、住んでいた家を買い取ってもらうこともできましたし、新しいマンションの部屋を選ぶこともできました。いわゆる地権者住戸です。

マンション建て替えスキーム

このように、公団が建てた団地は、そもそも高さが低い(4〜5階建て)ことや、機械式ではなく青空駐車場などで、敷地面積に対して、空中に建てられる容積率が余っているため、そこに目をつけた不動産デベロッパーが建て替えを推し進めています。

しかし、民間のマンションの場合、最初から容積率ギリギリまで建てられるマンションが多いため、そうなると住民(所有者)が全ての費用を工面してマンションを建て直す必要もあり、なかなか建て替えが進んでいませんでした。

そこで今回飛び込んできたニュースというのが、東京都が老朽化した分譲マンションの建て替え促進のため、容積率を緩和するというものだったので驚きだったわけです。簡単にいうと、今まで建て替えが難しいとされていた古いマンションでも建て替え可能になれば価値が上がるのです。

具体的には総合設計制度を見直すようです。

総合設計制度とは、「敷地内に広い空地を有する建築物の容積率等の特例」ともいい、一定規模以上の敷地に一定割合の公開空地(オープンスペース)を確保することで、市街地の環境の整備改善がなされる場合、公開空地を設けることに対するボーナスとして容積率を緩和するという制度です。

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また、全ての1981年以前の旧耐震のマンションが対象になるわけではありません。指定地区内のマンションでなければなりません。

まず区市がまちづくり計画を定め、それに基づいて都が対象地区を指定指定地区内の旧耐震マンションは、周辺の住宅などとの共同建て替えを条件に容積率の上限の緩和を受けられる。集約する敷地数などに応じて、割増容積率を算定する。

詳しくはまだ決定していないので、確実なことは言えませんが、周辺の住宅などを巻きこんで共同建て替えする必要があるみたいです。

このように、今までは建て替えが近づいているマンションは、費用の話があることから価格も下がっていました。しかし、駅から近く、指定地区内に選ばれた旧耐震のマンションは、プレミアムがつく可能性が出てきたという意味で、大きな話と言えます。

さらなる詳細がわかり次第、またご紹介致します。

これが全ての人にとって良い方向に進むかどうかはわかりません。さらに都心居住が進み、郊外の地価が下がる可能性があるからです。田中角栄元首相のお言葉を最後に掲載しておきます。

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。
主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。