地すべり防止区域についてわかりやすくまとめた

地すべり防止区域

地すべり防止区域とは、地すべりによる被害を防止したり、軽減したりするため、地すべりを誘発助長するような行為を制限する必要がある土地や、地すべり防止工事を行う必要がある土地に指定されるもので、指定されると必要な施設(排水施設、擁壁等)を設置するとともに、住宅(戸建・マンション)の建築は禁止されます

地すべりとは、斜面の土地の一部もしくは全部が、地下水の影響と重力によってすべる現象、またはこれに伴って移動する現象のことで「土砂災害」の一つです。一度、動き出すと完全に停止させることは困難なため、非常に大きな被害が出ます。日本では、地質的にぜい弱であることに加えて、梅雨あるいは台風などの豪雨により、毎年各地で地すべりが発生しています。

ここでは、地すべり防止区域についてまとめました。

 

地すべり防止区域とは?

地すべり防止区域は、地すべり等防止法に定められています。

主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、地すべり区域(地すべりしている区域または地すべりするおそれのきわめて大きい区域をいう。以下同じ。)及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべりを助長し、若しくは誘発し、または助長し、若しくは誘発するおそれのきわめて大きいもの(以下これらを「地すべり地域」と総称する。)であって、公共の利害に密接な関連を有するものを地すべり防止区域として指定することができる。

地すべり等防止法第3条1項

地すべり防止区域内において、次の各号の一に該当する行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
一 地下水を誘致し、または停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下水の排水施設の機能を阻害する行為その他地下水の排除を阻害する行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
二 地表水を放流し、または停滞させる行為その他地表水のしん透を助長する行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
三 のり切または切土で政令で定めるもの
四 ため池、用排水路その他の地すべり防止施設以外の施設または工作物で政令で定めるものの新築または改良
五 前各号に掲げるもののほか、地すべりの防止を阻害し、または地すべりを助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの

地すべり等防止法第18条1項

地すべり防止区域は、地すべりによる崩壊を防止するため、必要な施設(排水施設、擁壁等)を設置する(地すべり対策事業、災害関連緊急地すべり対策事業)とともに、一定の行為を制限する必要がある土地に指定されます。

地すべり防止区域

指定するのはだれ?管理するのはだれ?

地すべり防止区域を指定するのは主務大臣です。ここでの主務大臣とは、国土交通大臣もしくは農林水産大臣を指します。そのため、指定する大臣によって、地すべり防止区域の所管(管轄)もそれぞれ分かれています。具体的には、国土交通省、農林水産省農村振興局、農林水産省の外局である林野庁の3省庁に所管が区分されます。

所管 指定地域による区分
国土交通省 砂防法による砂防指定地(これに準ずる土地を含む)の存する地すべり地域
林野庁 森林法による保安林及び保安林施設指定地(これに準ずる土地を含む)の存する地すべり地域
農林水産省農村振興局 上記に該当せず、土地改良法による土地改良事業施行地域及び同事業計画の決定している地域(土地改良法の手続によらなくても公益上農地の改良、造成、保全又は復旧を目的とする事業が施行されたおよび施行される地域ならびにそれらの事業の施行される必要が認められる地域を含む。)に存する地すべり地域

一方、地すべり防止区域の管理は、都道府県知事です。そのため、相談や申請受付の窓口は、都道府県庁に行くことになりますが、所管がそれぞれ異なるため窓口も異なります。農林水産大臣所管の地すべり防止区域の管理の場合は農林水産部(名称は都道府県によって異なります)、国土交通大臣所管の地すべり防止区域の場合は土木整備部(名称は都道府県によって異なります)となっています。

制限される行為とは?

地すべり防止区域内で次のような行為をするときは、都道府県知事の許可が必要です。

  • 地下水を誘致し、または停滞させる行為で地下水を増加させる行為
  • 地下水の排除を阻害する行為
  • 地下水を放流し、または停滞させ地表水の浸透を助長する行為
  • のり切、切土
  • 工作物の新築、改築
  • その他地すべりの防止を阻害、または助長、誘発する行為

工作物とは、土地に定着する人工物のすべてを指します。つまり、建物も工作物に含まれるため、住宅(戸建・マンション)の建築やリフォームは禁止されます

地すべり防止区域に指定されたら?

地すべり防止区域内に標識が設置されるので、確認することができます。区域内から区域外への住宅移転に際し、補助を受けることができます。

不動産取引(売買・交換・賃借)においては、宅地建物取引業者は、対象物件が「地すべり防止区域」内である旨を記載した重要事項説明書を交付し、説明を行わなければなりません。(宅建業法第35条)

不動産の重要事項説明書における「地すべり等防止法」とはなにか

不動産の重要事項説明書における「地すべり等防止法」とはなにか

2016.04.24

 

地すべり防止区域についてのQ&A

ここでは、地すべり防止区域についてよくある質問についてまとめました。

どこで指定区域を確認できるのか

現地に標識が設置されます。住宅地図に行為を行う場所を記載し、位置を特定できる資料を用意した上、都道府県庁(土木事務所や農村振興局など)にて確認してもらえます。

地すべり危険箇所との違い

航空写真での判読や現地調査、災害の記録から地すべりの発生のおそれがあり、人家や公共施設に被害を生じるおそれのある箇所を地すべり危険箇所といいます。

現在公表されている地すべり危険箇所というのは、身近にある「地すべりのおそれがある箇所」を確認し、地すべりへの備えや警戒避難に役立てるために公表されているものであり、法的規制はなく、地すべり等防止法に基づく区域ではありません。

地すべり防止区域は、現に地すべりの兆候がみられる箇所や地すべりが起きた場所に対して、地すべり防止対策施設の設置や一定の開発行為を制限するための区域で全く異なります。

土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域(土砂災害防止法)との違い

地すべり防止区域は、土砂災害の発生源(地すべり)に対する規制や対策工事を行うために指定される区域であり、土砂三法(急傾斜地法地すべり法砂防法)の一つとして定められています。

日本は、山地が7割を占めているため、地質的にもろく、毎年梅雨時期の集中豪雨や台風の大雨などにより頻繁に土砂災害が発生しています。土砂災害から生命や財産を守るため、従来から対策工事を行っていますが、土砂災害危険箇所は多く、すべての危険箇所に対して対策工事を完了するには、大変な時間と費用がかかります。

土砂災害防止法(土砂災害防止対策推進法[土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律])は対策工事だけでなく、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、警戒避難体制の整備などのソフト対策を推進することで、住民などの生命や身体を土砂災害から守るため制定されました。

この「土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らか」にしたものが、土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域で、土砂災害(地すべり)によって被害を受ける土地対策のための区域というところに違いがあります。

地すべり防止区域にある不動産は安くなるのか

結論からいうと、地すべり防止区域に指定されると不動産価値は下がります

地すべり等防止法(地すべり防止区域)

区域内での工作物の新築や改築は全て禁止されます。いわゆる住宅の建築だけでなく、改築などのリフォームも禁止されるため、居住用不動産の価値としてはほぼ無価値になります。

また、国は「コンパクトシティ」の概念を打ち出し、立地の良い場所に「集まって住む」ことを政策としておしすすめています。そこで各自治体は、集まって住むべき場所として「居住誘導区域」を設定していますが、地すべり防止区域は【原則として、居住誘導区域に含まないこととすべき区域】に定められているのです。

居住誘導区域内の不動産価格は維持されますが、居住誘導区域外の不動産価値は下落します。

コンパクトシティ(居住誘導区域)とはなにか

 

地すべり防止区域の調べ方

インターネットにより情報公開されている自治体は次のとおりです。

【北海道】

国土交通省所管
・農林水産省所管
林野庁所管

【青森県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【岩手県】

・国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【宮城県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【秋田県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【山形県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【福島県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【茨城県】

・国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【栃木県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【群馬県】

・国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【埼玉県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【千葉県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
林野庁所管

【東京都】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【神奈川県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【山梨県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【長野県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
林野庁所管

【新潟県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【富山県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【石川県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【岐阜県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【静岡県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【愛知県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
林野庁所管

【三重県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【福井県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【滋賀県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【京都府】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【大阪府】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【兵庫県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【奈良県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【和歌山県】

国土交通省所管
農林水産省所管
林野庁所管

【鳥取県】

・国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【島根県】

国土交通省所管
農林水産省所管
林野庁所管

【岡山県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【広島県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【山口県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【徳島県】

国土交通省所管
農林水産省所管
林野庁所管

【香川県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【愛媛県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【高知県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【福岡県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【佐賀県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【長崎県】

国土交通省所管
農林水産省所管
林野庁所管

【熊本県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
林野庁所管

【大分県】

国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【宮崎県】

・国土交通省所管
・農林水産省所管
・林野庁所管

【鹿児島県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

【沖縄県】

国土交通省所管
農林水産省所管
・林野庁所管

※こちらのページは国土交通省HPを参照しています。