高騰する首都圏都心部の新築マンションを支えるパワーカップルとDINKS

高騰する首都圏都心部の新築マンションを支えるパワーカップルとDINKS

今の首都圏のマンション売れ行きをまとめると次のようです。

①首都圏の新築マンション価格はバブル期以来の水準
②でも、発売戸数は低迷
③購入しているのは共働き夫婦
④決め手は、都心・駅近く、中古も下がらない資産性

新築マンション 高値一層

都心部を中心に新築マンションの高値が続いている。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、2017年上半期の首都圏の平均価格は5884万円とバブル経済末期の1991年以来の高値となり、足元でも高価格で推移する。共働き世帯の増加で利便性の高い物件の需要が高まり、新たな上昇要因になっている。

首都圏新築マンション発売戸数・平均価格データ

(「首都圏新築マンション発売戸数・平均価格データ」不動産経済研究所調べ)

市庁舎の移転が決まり、再開発が進み始めた横浜市・馬車道。一角に大勢の人でごったがえす建物がある。三井不動産レジデンシャルと丸紅が手がける58階建ての高級タワーマンション、「ザ・タワー横浜北仲」のモデルルームだ。

2020年完成予定で、みなとみらい線・馬車道駅に直結する。上層階には米オークウッドのホテルも開業を予定。床面積200平方メートル超で約8億円での販売を予定する住戸もある。70㎡台のモデルルームを見学した40代の夫婦は「絶対に欲しい」と購入意欲を燃やす。

※三井不動産レジデンシャル・丸紅分譲「ザ・タワー横浜北仲」(神奈川県横浜市中区北仲通5丁目)総戸数1176戸

ザ・タワー横浜北仲

値上がりが本格化したのは13年。震災復興や東京五輪の開催決定で建設資材や人件費が高騰したのに加え、金融緩和の影響で地価が上昇した。相続税対策を兼ねた富裕層の購入や、台湾など海外投資家の投資需要拡大もマンションの高騰を後押しした。

一方、不動産会社が首都圏で発売するマンションの戸数は16年に3万5772戸と1992年以来の低水準、今年も底ばいだ。一般的な会社員の給与水準では買いにくい価格になり、発売した月の契約率は今年1~6月に67.3%と下落基調で推移。好不調の境目とされる70%を下回る。最近は通勤に不便な郊外物件の苦戦が目立っており、全国的に不動産価格の上昇が顕著だったバブル期とは様相が異なる

それでも新築マンションが高値を維持しているのは生活スタイルや働き方の変化が背景にある。

共働きの増加で高額な物件を買えるだけの資金的な余力がある世帯が増えている。ニッセイ基礎研究所によると、夫婦の年収がそれぞれ700万円を超える世帯は昨年、全国で25万と13年に比べて2割(4万世帯)増えた。賃金は伸び悩んでいるが、女性の社会進出の拡大で妻の年収が上昇している

仕事と子育てに追われているケースも多く「交通利便性が高いうえ、震災などいざという時に歩いて帰れる場所にある都心の高級マンションへのニーズが高い」(同研究所の久我尚子主任研究員)。通いやすい駅近くの物件の需要が高まり、価格上昇を支えている

「過去10年間に分譲された23区内のマンションで、JR駅が最寄りで徒歩1分の物件は全体の0.6%」――。安田不動産の「レフィール日本橋馬喰町」(東京・中央)のサイトの売り文句だ。70㎡超の住戸を8900万円で販売する。

※安田不動産分譲「レフィール日本橋馬喰町」(東京都中央区日本橋馬喰町1丁目)総戸数39戸

レフィール日本橋馬喰町

駅から近い物件は資産性が高く、中古になっても価格が落ちにくい。東京カンテイ(東京・品川)が昨年末に首都圏の築10年の中古マンション価格を調べたところ、最寄り駅から徒歩3分以内だと新築時より8%上昇。一方で10分超かかる場合は下落していた

購入者の意識も変化している。最近は永住せずに将来の売却を視界に入れる人が増え、「利便性が高い新築マンションを高価格で販売できる環境」(東京カンテイの井出武・上席主任研究員)にある。昨年に都内で分譲された駅から徒歩3分以内の物件の平均価格は5年前に比べ5割高く、上昇率は全体の平均を大きく上回っている。

都心だけでなく、地方の中核都市でも再開発地域のマンションで高値販売が目立つ。フージャースコーポレーションなどが宇都宮市の再開発地域で分譲するタワーマンション「宇都宮PEAKS(ピークス)」。最も高い住戸は約7000万円と高額だが、経営者や開業医など地元富裕層の関心は高い。複数の住戸を購入したいという要望も出ているという。

※フージャースコーポレーション・東武建設分譲「宇都宮PEAKS」(栃木県宇都宮市馬場通り3丁目)総戸数237戸

宇都宮PEAKS(ピークス)

もっとも、東京都心部の一部ではあまりの高値に需要が追いつかなくなり、1年前より価格を下げて分譲を始める新築マンションも出てきている。働き方や購入者の意識変化が資産価値を押し上げる状況が続くのか。購入検討者はこれまで以上に冷静に見極める必要がある。

(2017年10月4日日本経済新聞朝刊2面抜粋)

2017年上半期の新築マンション市場の動きは?今、購入しているのは誰か

2017年上半期の新築マンション市場の動きは?今、購入しているのは誰か

2017.07.20

いわゆる、都心部のみに限定された局所バブルです。

不動産も需要と供給のバランスに成り立っています。価格が上昇するには、旺盛な購入(需要)が必要です。もし、需要が変わらないのであれば、供給を減らして需要を保つしかありません。

不動産の需給曲線
①【供給曲線】売りたい不動産業者・新築マンション(供給)が多ければ価格は下がる。
②【供給曲線】売りたい不動産業者・マンション(供給)が少なければ価格は上がる。←首都圏の都心部のマンション市場
③【需要曲線】買いたいと思う(需要)消費者が少なければ価格は下がる。←首都圏の都心部でないマンション市場
④【需要曲線】買いたいと思う(需要)消費者が多ければ価格は上がる。←地方のマンション市場

首都圏であっても二極化しており、首都圏の都心部でないマンション市場は④→②→③(今ココ)→①になるのではないかというポジションです。供給を減らして、価格は上昇していましたが、売れなくなってきている状況です。売れないので、値下げしているマンションも見受けられます。

――マンション価格は今後どうなりますか。

「住宅の価格は地価、建設費、購入者の資金の3要素から成り立つ。地価は上昇が続くが、天井知らずで上がる局面ではない。五輪を見据えた再開発も一巡し、建設費上昇も落ち着いた。販売価格上昇はピークを過ぎた印象だ。日本経済が堅調で所得水準は少しずつ上昇する状況。価格は横ばいで推移するだろう」

野村不動産HD沓掛英二社長談

一方、首都圏の都心部のマンション市場は、④→②(今ココ)→③になるのではないかというところです。全体の供給戸数を減らして、一部の高額な都心部のマンションが売れているので、統計上は「価格上昇」という見え方になります。

首都圏都心部のマンション購入や価格上昇を支えているのは、専業主婦のファミリー層ではなく、特に30〜40代のパワーカップルと呼ばれるフルタイムで働く共働き夫婦やDINKSと呼ばれる子どもを持たない共働き夫婦(Double Income No Kidsの略)です。加えて、独身のシングル層、外国人(中国人)などの投資家子育てを終えたシニア層と、家計に余裕がある世帯が支えている状態です。

総務省の調査によると、日本の共働き世帯は2016年に1129万世帯になり、3年前に比べて64万世帯増えていおり、特に人手不足が深刻化したこの数年の伸びは著しくなっています。パワーカップル世帯は、16年に424万世帯となり、2年で34万世帯増えています。また、雇用者世帯に占める割合も37.5%と2年連続で上昇しています。

かつては、「夫の所得が高いほど妻は働かない」という「ダグラス・有沢の法則」が唱えられていましたが、変化の兆しが出てきています。「夫の収入が低いためパートして支える」から「団塊の世代が引退し、人口減少・高齢化社会による人手不足を背景とした女性の就労」に大きく変わってきているのです。

専業主婦と異なり、「パワーカップル」や「DINKS」はお金をかけても良いので「利便性」を優先します。駅チカのマンションが欲しいのであって、郊外のマンションはいりません。

パワーカップルやDINKS向けの売れるマンションの特徴は以下の通りです。

  1. 周辺の賃料に比べて月々の住宅ローンが安いかどうか
  2. 資産性が描けるかどうか

賃貸マンションの方が安ければ、賃貸で別にいいでしょう。無理して購入する必要もありません。一方、月々の住宅ローンの方が高くても、所有することによっての資産性が描けるなら購入します。

「新築マンション価格はバブル期以来の水準」とはいえ、かつてのバブル期とは様相が大きく異なります。かつてのバブル期は局所的ではなく、なんでもかんでも上昇していたわけです。

都心までのアクセスが便利な地点や再開発といったイベントのある地点の高い伸びが全体を押し上げているというのが今の上昇局面の実態であり、人口減という現実がある中、地価上昇が裾野までに広がっていくバブル期のような動きになるとは考えにくいと思われます。

高騰する首都圏新築マンションを支えるパワーカップルとDINKS、彼らが買えない価格になったとき、いよいよ値下げの局面に入るのでしょうか。注目です。

大阪の新築マンション販売は絶好調!中古マンションの動きは?

大阪の新築マンション販売は絶好調!中古マンションの動きは?

2017.09.15
高騰する首都圏都心部の新築マンションを支えるパワーカップルとDINKS

あなたの不動産はいくら?

iQra-channel(イクラちゃんねる)では、気になるマンションや、ご自宅のマンションの売却価格がその場でわかる!また、どこの不動産会社が売却したのかもわかる!最新の相場価格を公開中!

ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。
主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。