不動産の重要事項説明書における「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」とはなにか

その他の法令に基づく制限

マンションの建替え等の円滑化に関する法律(重要事項説明書)不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」という項目がある。

どのような不動産がマンションの建替え等の円滑化に関する法律の対象となり、どのような制限を受けるのだろうか。

ここでは、不動産の重要事項説明におけるマンションの建替え等の円滑化に関する法律について説明する。

以下の不動産は「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」について重要事項説明が必要です。

  • 耐震性不足の認定マンション

 

マンションの建替え等の円滑化に関する法律とは?

マンションの建替え等の円滑化に関する法律(重要事項説明書)マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替え円滑化法)は、マンションの建て替えをスムーズに行えるようにすることを目的として2002(平成14)年に定められた。

マンションの建替えの事例は多くはなく、平成25年4月までの時点で累計で183件、戸数で約14,000戸程度だ。一方で様々な巨大地震発生のおそれがある中で、耐震性不足の老朽化マンションの建替えが大きな課題となっている。国土交通省の推計では、平成25年12月末時点における全国のマンションストック総数約 601万戸のうち、昭和56年の建築基準法施行令改正以前の耐震基準(旧耐震基準で建設されたものが約 106万戸存在するが、その多くは耐震性不足と考えられる。このような状況を踏まえ、同法の改正(平成26年12月24日施行)が行われ、具体的には①マンションとその敷地を多数決により行うことが可能になったこと、②容積率の緩和の2点が追加された。

まず、耐震性不足の認定(除却の必要性にかかる認定)を受けたマンションについては、区分所有者等の5分の4以上の賛成でマンション及びその敷地を売却することができる。これにより、なかなか進まなかった耐震性不足のマンションの建替えが、敷地ごとマンション売却して、新たにマンションを建築することができるようになった。

一般のマンション 耐震性不足のマンション
改修に関する法律 区分所有法
→3/4以上の賛成で可能
耐震改修促進法
→過半数の賛成で可能かつ容積率の緩和
建替えに関する特別法 区分所有法
マンション建替え法
→4/5以上の賛成で可能
マンション建替え法
→マンション敷地売却制度により4/5以上の賛成で可能
民法による建替え 民法
→全員同意が必要

そして、耐震性不足により当該マンションを除却する必要がある旨の認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築されるマンションで、敷地面積が一定の規模以上を有し、市街地環境の整備・改善に資するものについて、特定行政庁の許可の範囲内において建築基準法の容積率制限を緩和することができる。「一定の規模以上」と政令で定める面積は次のとおりだ。

地域または区域 敷地面積の規模
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
用途地域の指定のない地域
1,000㎡
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
500㎡
近隣商業地域
商業地域
300㎡

「耐震性不足の認定」を受けれるかどうかはマンション管理者等からの申請に基づき、耐震性不足の客観的基準により特定行政庁が認定する。

この耐震性不足が認定されたマンションは、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条第1項に基づく容積率緩和を受けた建物をつくる場合、上記のように敷地面積に規模により制限を受けるため重要事項として説明しなければならないことになっている。

容積率の特例

耐震診断が行われたマンションの管理者等は、特定行政庁に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができ、この認定を受けたマンションの建替えにより新たに建築される建築面積が政令で定める規模以上のマンションで、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がなく、かつその建ぺい率、容積率及び各部分の高さについて総合的な配慮がなされていることにより市街地の環境の整備改善に資すると認めて許可したものについては、その許可の範囲内において、建築基準法の容積率制限を緩和することができる。

マンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条第1項)

不動産売買において、売買の対象が特定行政庁より耐震性不足を認定されたマンションに該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明しなければならない。

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。
主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。