マンション傾斜問題でも中古マンションを高く売却できる方法

マンション傾斜問題でも中古マンションを高く売却できる方法

横浜市のマンションを発端に大きく広がったマンション傾斜問題。

自分のマンションが大丈夫かどうか気になるのは勿論、現在マンションを売却に出している人や、これからマンション売却を考えている人にとって、厳しくなっているのは間違いない。

あなたが買主の立場なら、一生に一度の買い物である家を買うのに、躊躇しないだろうか。

自分が買うこのマンションは大丈夫!という何かしらの確証が欲しくないだろうか。

実際に、

不動産調査会社のカンテイ(東京・品川)が24日発表した東京23区の10月の中古マンション在庫は前月比で9.8%増え、2年7カ月ぶりの高水準となった。値上がりが続き消費者の手が届きにくくなっている。マンション傾斜問題が購入意欲を冷やしたとの見方もある。

(日本経済新聞2015年11月24日夕刊1面より抜粋)

下手したら、買主は値段交渉にこのことを使ってくるかもしれない。

もし、「このマンションは大丈夫ですか?」と聞かれても、「…大丈夫だと思います。」との返事しかできない。

では、一体どうすれば、あなたの自慢のマンションを買主に自信を持ってお奨めすることができるだろうか。

壁のひび割れだけでは判断できない。

コンクリート壁のひび割れを見ると、売主も買主も、もしかしてこのマンションも・・・と不安になると思う。

だが、コンクリートのひび割れはクラックと呼ばれ、施工時は液体状であったコンクリート内部の水分が蒸発して生じることが多い。これは一般的な事象であり、コンクリートクラックを完全に無くすことは難しい。日本には春夏秋冬があり、湿度も多い気候のため、コンクリートだけでなく、それ以外の建材も膨張と収縮を繰り返す。

許容される範囲もあるため、単純にひび割れを見て、マンションが傾いていると早合点するのは避けるべきだ。

不動産業者もわからない。

今回の杭打ち問題について、買主から「このマンションは問題ないでしょうか?」や「旭化成建材が関わっているのでしょうか?」という問い合わせが急増している。

しかし、正直に実情を申し上げると、不動産仲介会社もこの問いに答えることはできない。

なぜなら、今回の事件は、建築基準法上は全く問題のない建物で生じた傾きの問題だからだ。
今回の事件は、建築基準法違反の容疑はかかっているものの、完成時は問題なしと役所が判を押している。今になって、その時に承認した内容と役所に届けられた内容が違っていると言っているわけだ。

不動産仲介会社が不動産売買契約時に売主・買主に対して交付する重要事項説明書は、役所で調査し作成しているもので、役所に問題なしと報告された物件において、杭がどうだろうとかそれ以上の問題はわからない。
尚且つ、調査でわかる内容というのは、施主、施工会社、設計会社、管理会社ぐらいであり、その下請け会社、特に杭打ちがどの業者が行ったかどうかなんてものは絶対にわからない。
実際に住んでいる住民から施工主への情報開示請求ならまだしも、不動産仲介会社が管理会社に聞いても教えてくれないのが一般的で、結局、「調べて教えて下さい」と売主・買主から言われてもわからないのが実情だ。

破壊検査は非現実的

それでも不安な買主は、「床・壁をめくって調査して下さい」とか、「杭打ちについて支持層に届いているかどうかを調査してもらって下さい」とかいうかもしれないが、これはお断りするべきで、そもそも非現実的である。
このような調査は破壊検査といい、多額の費用がかかる。実際に壁をめくるだけでも、元に戻す=新しく張り替える ということになる。杭打ちの調査については、マンション全体で話し合って決めないといけない問題であり売主一人でどうにかできる問題ではない。
買主が買ってくれる保証もないのに、ただただ多額の費用をかけて買主の希望を聞くのは非現実的であり、破壊検査は買主が購入してから(=所有権が移ってから)、行うのが一般的である。

傾斜を確かめる3つの方法

では、どのようにすれば良いのか。

まずは、マンション全体というより、そもそも自分の部屋が傾いていないかどうかを調べるべきである。

本当に傾いているかどうかを調べるのはプロでも難しいが、ここで実際に傾きを簡単に計測するための3つの方法をお伝えしよう。

1.ビー玉

これはテレビでも見たことがある人がいるかもしれない。ビー玉は床材によって転がったり、転がらなかったりするため、正確な判定は難しいが、とりあえず傾いているかどうかはわかる。

ビー玉は一般的に5/1000以上の傾きで転がると言われており、日本建築学会の報告によると傾斜を感じるものの、健康的被害は報告されていない。

住宅の傾きは3m以上離して計測しなければ正確性が出ないため、3m以上転がるならば傾いてる可能性があるが、それより短いと、気候等によって床の仕上げ材がたまたま傾いているだけかもしれないので、これだけでは判断しづらい。

2.スマートフォン

スマフォアプリの中に水平を図る無料のアプリがある。→ 角度傾斜計

これで傾きがわかる。ただし、これも数十センチの範囲しかわからないため、正確性に欠ける。そのため、傾いていると出たら、ビー玉が3m以上転がるかどうか併せて検証するのが良い。

3.ペットボトル

形状が丸いペットボトルに水を1/3程度入れて横に置いてみる。荒っぽいやり方だが、少々の傾きでは転がらないが、傾きが大きいと転がることになる。

傾斜検査の内容を書面で欲しい場合

レーザーレベル-マンションの傾斜を測る機械あなたは、ホームインスペクションという言葉を聞いたことがあるだろうか。

ホームインスペクションとは聞きなれない方も多いと思うが、アメリカの中古不動産売買ではすでに一般的なものとなっている。
日本では住宅診断と訳され、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、不動産仲介会社とは関係なく第三者的な目線で、住宅の現状、つまり中古住宅における劣化状況の調査・報告を行う専門業務だ。そこで、右の写真のようなレーザーレベルを使って、傾きを調べてくれる。そして、検査結果の報告書をきちんと作成してくれる。ここまでして問題がないと出れば、売主も買主もだいぶ安心できるだろう。

ただし、気をつけないといけないのは、ホームインスペクションはあくまでも目視による状況診断ということだ。医者で言うと、内科で診てもらうのと似ていてる。診断の結果、大きな問題がありそうな場合に、精密検査、つまり破壊検査等行うことを提案してくれるものであって、ホームインスペクション自体は破壊検査を行う検査ではないということだ。傾きがあることがわかっても、それが何の原因であることを突き止めるのはかなり難しい。ホームインスペクションについては後日、詳しく説明することとする。

まとめ

冒頭にも書いた通り、報道がエスカレートする中、これから不動産を購入する買主の心情は不安になっているに違いない。
それについて、売主も一緒になって動揺していると、高く売れるものも高く売れない。
まずは、自分のマンションが傾いていないか調べてみるべきだ。
それが、傾いていないとわかれば、買主にも実際にやってもらって安心してもらえばいい。
もし、傾いていると思われるのであれば、すぐにマンションの自治会、管理組合に聞いて、他の住戸の状況はどうか聞くべきだ。
買主は実際にその家に住むので、隠しても遅かれ早かれ結局傾いていることに気づき、大きな問題へと繋がっていく。
調べて、現状傾いていないなら大きく心配することはない。

今回のマンション傾斜の問題は、杭が支持層に達してなく、その杭打ちの工事の際、データが捏造されていたことがそもそもの原因のように語られているが、それは建設業界の体質として大きな問題ではあるが、全てそれだけに原因があるとは思えない。
もし、データ捏造で現状ある全てのマンションが傾いていたら、もっと早くに大きな問題になっていただろうし、今回のような何十億円、何百億円にもつながる問題になる可能性が少しでもあるなら、何としても正確なデータを取っていただろう。
つまり、今回の問題は複数の要素が重なった結果の可能性が高く、どこの建設会社とかというより、現状傾いているがどうかを知ることが先決である。
マンションが建ってから、何年も経て現状傾いていないのであれば問題はないだろうし、そしてそれを買主がきっちりと理解できれば、不安はだいぶ柔らげるはずだ。

2005年に耐震偽装問題、通称”姉歯問題”が発覚して、同じように連日マスコミが報道し、不安が不安を呼び、買主のマインドも下がり、住宅販売が低迷した。だが、それ以降に地震、特に東日本大震災でもこの問題が原因として再度引っ張りだされた記憶はない。
この問題も不安を解消できれば、つまり買主が納得できれば問題はないはずだ。

売主として、きちんと調べることは調べて、それを不動産仲介会社に説明して、買主に説明してもらい、他の売却に出てるマンションと違って誠意を示すことで、あなたの良いマンションを適正な価格で売却できることを願っている。