民泊新法より厳しい民泊条例、住宅専用地域では民泊はできないのか

民泊新法より厳しい民泊条例、住宅専用地域では民泊はできないのか

今まで民泊事業は、法的に可能であった大阪市や東京都大田区などの国家戦略特区を除き、違法でした。2018年6月に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」施行されると、法令に遵守することで民泊は合法になります。

民泊新法の概要
・家主は都道府県への届け出が義務づけられる
・仲介業者は観光庁、建物の管理業者は国交省への登録が必要
・年間営業日数は180日が上限
各自治体は条例で区域や営業日数などの追加制限が可能
・違反した場合は100万円以下の罰金

民泊法では、地域の実情に合わせて区域を定め、営業期間を制限する条例を定めてよいとしています。いわゆる民泊条例です。この民泊条例の制限が厳しすぎるという話が出てきています。

民泊規制、地域住民に配慮 不動産業界は懸念の声

京都市は1日、民泊条例案の骨子をまとめた。市中心部で営業する民泊でも、管理者らが緊急時などに約10分内で駆けつけられるよう求めるなど、全国でも厳しい規制の内容となった。トラブルを警戒する地域住民らへの配慮をにじませた一方、不動産業界からは懸念の声も出ている。

京都市がまとめた独自の民泊ルール案
・緊急時や苦情への対応で約10分で駆けつけられるよう、施設の半径800m内に管理者駐在
・分譲マンションでは管理組合が民泊営業を禁止していないことを確認できる書類を提出
・届け出前に自治会や周辺住民に事業計画を事前説明
・住居専用地域の営業を1、2月に限定。京町家は例外

「地域住民と観光客の安心安全の両立のためには(法律の)ぎりぎり限界に挑戦する条例が必要だ」。民泊規制を検討するため11月に開かれた有識者会議で門川大作京都市長は語気を強めた。

2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に伴い、全国的に民泊が解禁となる。無許可で営業していた民泊が法に基づいて営業できるようになるが、自治体には不安の声が大きい。実態の不透明な民泊が野放しになりかねないとの懸念があるためだ。

民泊新法は地域の実情に合わせて区域を定め、営業期間を制限する条例を定めてよいとしている。京都市は金閣寺や南禅寺の周辺などの住居専用地域(京町家や家主居住型民泊除く)については、閑散期の1~2月の60日間に営業を制限するよう検討してきた。

金閣寺周辺や南禅寺周辺の住専地域

(金閣寺や南禅寺の周辺は住専地域が広がる)

だが京都市内では観光地と住宅地が隣接し、市中心部には京都御苑や二条城などの観光施設が集中する。有識者会議でも「上京区や中京区など、市中心部でも制限を設けないと意味がなくなるのでは」との声があった。

そこで設けたのが「駆け付け要件」だ。緊急時でも宿泊施設から10分程度で駆けつけられるよう、施設から半径800メートル以内に事業者か管理者が駐在するよう求めた。これまでは海外に拠点を置き、緊急時に連絡が取れない事業者も多かったが、国内に管理する代理人を置く必要が生じる

一方、不動産業界からは不安の声も。京都市内で不動産業を営むフラット・エージェンシーは「規制を強めると民泊事業をやりたがっている新規参入者の意欲をそいでしまう可能性がある」と指摘。市内で不動産業を営む都ハウジングの岡本秀巳社長は「全国的にも大変厳しい条例」と語る。

石井啓一国土交通相は1日の記者会見で、自治体による過度な規制に懸念を示した。シェアエコノミーの一角を占める民泊は、既存の経済の枠組みにとらわれない新しいビジネスのあり方ともいえる。地域と共生し、どう国際観光都市の未来を模索するのか。京都市の挑戦に注目が集まる。

(2017年12月2日日本経済新聞朝刊関西経済39面抜粋)

当然、民泊条例に違反することは許されません。京都市以外の動きも次の通りです(まだ決定ではありません)。

・東京都新宿区

住宅地である「住居専用地域(住専)」で月曜正午から金曜正午は営業を禁止。

・東京都大田区

ホテルや旅館が営業できない「住居専用地域(住専)」などの地域での全面禁止。

・東京都中野区

中野区の面積の7割強を占める「住居専用地域(住専)」での民泊の営業は主に週末や祝日に限る。営業できるのは年間160~170日となる見通し。ただ、中野区内にはホテルや旅館が少ない事情もあり、人通りの多い駅の近くは例外として平日の営業も認める。

・東京都世田谷区

世田谷区の面積の78.4%を占める「住居専用地域(住専)」での民泊の営業は週末と祝日のみ認める。これにより、住宅地での営業は年間124日程度になる見通し。平日は区外で勤務する区民が多いため、区民の目が行き届きやすい週末や祝日に限定するのが適切だとしている。

・横浜市

「住居専用地域(住専)」のうち、第1種低層住居専用地域と第2種低層住居専用地域が規制の対象で、横浜市の面積の31.4%に当たる。これらの低層住居専用地域では祝日などを除く月曜日から木曜日まで営業を禁止する。「騒音などによる生活環境の悪化を防ぎ、居住地としての横浜のブランドを守りたい」としている。一方、市内の主要ホテルの平均客室稼働率は80%を超す高水準が続いていることから、宿泊需要が高まる週末などは規制しない方針。

「住居専用地域(住専)」とは、用途地域で定められている第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用地域・第二種中高層住居専用地域を指します。

土地の利用の方法(用途)によって住宅地、商業地、工業地の大きく3つに分けられますが、さらに細かく分類した12種類の地域に分けますが、これが用途地域です。

都市計画・区域区分・用途地域・地域地区・地区計画等とはなにか

都市計画・区域区分・用途地域・地域地区・地区計画等とはなにか

2017.09.26

それぞれの用途地域では建築できる建物の種類が細かく規制されています。

用途地域の種類 目的・用途規制の要旨 ホテル
旅館
第一種低層住居専用地域 低層住宅の良好な環境を保護する地域で、住宅のほか店舗や事務所等の部分が一定規模以下の兼用住宅、小・中学校、診療所などが建築できる ×
第二種低層住居専用地域 主に低層住宅の良好な環境を保護する地域で、上記のほか床面積150㎡までの一定の店舗・飲食店などが建築できる ×
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅の良好な環境を保護する地域で、住宅のほかに病院、大学、床面積500㎡までの一定の店舗などが建築できる ×
第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅の良好な環境を保護する地域で、住宅のほかに病院や大学、床面積1,500㎡までの一定の店舗、事務所などが建築できる ×
第一種住居地域 住居の環境を保護する地域で、住宅のほかに床面積3,000㎡までの店舗、事務所、ホテルなどが建築できる
第二種住居地域 主に住居の環境を保護する地域で、住宅のほかに店舗、事務所、ホテル、パチンコ屋、カラオケボックスなどが建築できる
準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域
近隣商業地域 近隣の住民が買い物をする店舗や事務所などの利便の増進を図る地域で、住宅や店舗のほかに小規模な工場も建築できる
商業地域 銀行、映画館、料理店、百貨店などの商業等の業務の利便を図る地域で、危険性、環境悪化のおそれがある工場以外は建築できる
準工業地域 主に軽工業の環境悪化のおそれのない工業の業務の利便を図る地域で、危険性、環境悪化のおそれがある工場以外は建築できる
工業地域 主として工業の利便の増進を図る地域で工場はすべて建築できる。住宅等は建築できるが、学校、病院などは建築できない ×
工業専用地域 専ら工業の業務の利便の増進を図る地域で、工場はすべて建築できる。工業地域で建築できる住宅等は建築できない。 ×

用途地域は、建築できる建物の種類を定めているので、新たに民泊用の建物を住居専用地域に建てることに問題があるのはわかりますが、住んでいる住宅を民泊の用途に利用することとは問題を分けるべきか考えます。

「いい民泊」まで排除?自治体の独自規制に落胆の声

東京都世田谷区は住宅地で平日認めず、利用者いない恐れ

一般の住宅に旅行者を泊める民泊は2018年6月の全面解禁を前に、すっかりマイナスイメージが定着した感がある。騒音、ゴミなどに対する住民の不安を受け、東京都世田谷区などの自治体は独自に制限する検討を始めた。だが民泊の現場を訪ねると、異なる実態も見えてくる。特に家主が同居するタイプでは懸念されるような問題は起きにくく、草の根の国際交流さえ生まれている。過度な上乗せ規制は「角を矯(た)めて牛を殺す」ことになりかねない。

駅から歩いて7分ほどの住宅地。約束していた朝8時に呼び鈴を鳴らすと、ホスト(家主)のミチコさん(仮名、56)が顔を出した。民泊仲介会社の米エアビーアンドビーで、ゲスト(宿泊者)からトップクラスの評価を得ている「スーパーホスト」の一人だ。もっとも旅館業としての営業許可はとっておらず、現行法ではグレーといえる。

「いま朝食を作っていて手が離せないので、とりあえずゲストの方と話していてもらえますか」。ミチコさんはこの家のあるじであり、2人の娘の母親でもある。ゲストと家族の朝食をいっぺんに用意しなければならない朝は、1日で最も忙しい時間帯だ。

この日泊まっていたのはオーストラリアからの旅行者であるタニーさん(32)とリサさん(39)。「ホストとの交流が楽しいので、海外旅行ではいつも民泊を利用しています」。日本を訪れるのは今回が初めてで、ミチコさんのところに4日間滞在した後は、京都に移動するという。

2人はミチコさんが案内してくれる近所の商店街が大のお気に入り。「ラーメンでしょう。ギョーザでしょう。温泉(スーパー銭湯)だってあるわ」。スマートフォンで撮った写真をうれしそうに見せてくれる。日本人の目には単なる日常風景でも、2人にとっては新鮮な驚きだ。

朝食を食べ終わった時に、ミチコさんからサプライズの演出があった。「ハッピーバースデー、タニーさん」。歌いながら手渡したプレゼントは、折り鶴の手作りピアス。タニーさんは早速、耳に付けてニッコリしていた。

これから原宿に出かけるという2人を玄関で見送った後、ミチコさんに民泊との関わりを聞いた。まずは旅館業法について。現在は東京都大田区や大阪市などの国家戦略特区を除くと、簡易宿所でなければ有償で旅行者を泊めることはできない。ミチコさんの民泊は違法でないのか。

「1年半前、(友人や知人、留学生などを合法で泊める)ホームステイの延長のつもりで始めました。保健所から民泊は(旅館業であって)違法と言われましたが、騒音などの問題はいっさい起きていなかったし、何よりも泊まった人にとても喜んでもらえていたので、そのまま続けてきました」

実はホームステイと民泊の境目はあいまいだ。厚生労働省によれば、「社会性をもって継続反復されていて、利用者の生活の本拠となっていなければ旅館業とみなされる」。ミチコさんの民泊は不特定多数の旅行者から宿泊の申し込みを受け付けており、本来は旅館業としての許可が必要といえる。

旅館業の一つである簡易宿所になる選択肢はなかったのか。「保健所で調べたところ、トイレを各階に男性用と女性用それぞれ1つずつ用意しなければならなかったり、フロント(帳場)を設けなければならなかったりで、今の家ではとても無理なことが分かりました」

法的にグレーでも、民泊にはやめられない魅力があったようだ。「生活が苦しくて海外留学に行かせられなかった」という娘たちは、ゲストと片言でやり取りしているうちに簡単な英会話ができるようになった。外国人に対する心理的な壁もなくなり、街で困っている人がいたら何かできることはないか声をかけることもあるという。

お金の面でも助かっている。「近所でお店を営んでいますが、売り上げは不安定。民泊の収入は(生活の)下支えになっています」とミチコさん。民泊の宿泊料は1人1泊40ドル(約4400円)。2人なら合計60ドルだ。仲介業者に払う手数料を引いても、多い月では10万円程度の収入になるとみられる。

とはいえ肩身は狭かった。ネット上には違法民泊の摘発を呼びかける自警サイトまであり、通報を受けて警察官が自宅に踏み込んできたこともある。そこに飛び込んできたのが国による民泊解禁のニュースだ。「これでもう違法といわれずにすむと喜んでいたら、世田谷区が独自の規制をすることが分かり、目の前が真っ暗になりました」

世田谷区が制定しようとしている条例は、同区の面積の78%を占める住居専用地域で月曜から金曜までの宿泊(月曜正午から土曜正午までの利用)を禁止するというもの。利用できるのは週末の2泊(土曜正午から月曜正午まで)と祝日だけだ。ミチコさんの自宅は、まさにその住専地域に当たる。

国は新たに制定した住宅宿泊事業法で民泊を解禁する一方で、「生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において」自治体による制限を認めている。世田谷区は今回の規制について「平日は区外に出ている区民が多く目が行き届きにくいため」(保健所生活保険課)としたうえで、「民泊を推進する立場に変わりはない」(同)と説明する。

だがミチコさんは「民泊をするなと言っているようなもの」と話す。ミチコさんのところに滞在する外国人はみな3泊以上。1週間もざらだ。「東京は見るところがたくさんあって、2泊では短すぎます。もっと長く滞在したければホテルに移ってください、なんて頼めません」

ゲストのタニーさんとリサさんにも聞いてみた。「民泊は長く滞在してこそ。そうでなければホストとは仲良くなれません。それに休暇をとって日本に来ているのに、週末しか泊まれないなんて、利用者のことを考えてくれているのでしょうか」

周辺の生活環境が悪化するという指摘も、2人には心外だ。「ホストから悪い評価をもらうと(エアビーから点数として公表されて)次に民泊を利用しにくくなるので、迷惑をかけないように注意しています」。2人が起きたばかりの寝室を見せてもらったが、畳の上に布団がきちんとたたまれていて、生活習慣に配慮している様子がうかがえた。

こうした現場の困惑をよそに、民泊の上乗せ規制はほかの自治体にも広がっている。新宿区や中野区は住宅地で月曜から木曜までの宿泊を禁じる方針だ。世田谷区よりやや緩いとはいえ、民泊の利用実態と合わない点は同じだ。大田区は住宅地と工業地などで、民泊そのものを禁じる方向で検討している。

背景にあるのが、一部住民の外国人に対する恐怖心だ。新宿区が11月15日に開いた民泊問題対応検討会議では、警察の出席者が「見知らぬ外国人がうろうろして気味が悪いという苦情が最も多い」と発言。傍聴席から「単なる偏見ではないか」というささやきが漏れた。民泊を推進する国の方針と住民感情の間で、自治体は板挟みにあっている。

民泊のなかでも、家主が同居する自宅シェア型と同居しない空き家型を区別して扱ってはどうか」。自治体のインバウンド(訪日外国人)政策に詳しい東洋大学の矢ケ崎紀子・准教授はそう提案する。自宅シェア型なら品行の悪い客がいても家主が直接注意できるし、近所からの苦情にも対応しやすい。「いい民泊はきちんと認めたうえで、ホテルや旅館と並ぶ選択肢の一つとして訪日外国人に提供していくべきだ」と訴える。

民泊と密接な関係にあるのが、20年の東京五輪・パラリンピックだ。ともにインバウンドの拡大に寄与するだけでなく、人種や国籍の違いを超えて交わる「共生社会」の理念でも重なり合う。世田谷区が米国選手団のキャンプ地誘致に成功したように、民泊解禁を生かすも殺すもそれぞれの自治体の判断次第だ。

日本経済新聞抜粋

「民泊のなかでも、家主が同居する自宅シェア型と同居しない空き家型を区別して扱ってはどうか」…まさにそうすべきでしょう。民泊で起きる問題は、夜中に騒いだり、ゴミを散らかしたり、さらには犯罪に使われるなど家主不在型で起きています。ようは、なにか問題があったときに、誰に責任があって、すぐに解決できるのかが重要なポイントです。

家主同居型であれば、家主が責任を負うのでこれらの問題が起きる可能性がかなり低いでしょう。また、ホテルや旅館などの宿泊事業者からみても、制限がなく何十軒もホテルの区分所有の形で民泊されることには、腹が立つと思いますが、家主同居型は、家主一人につき1軒です。家主同居型、つまりホスト型は、ホテルや旅館で求められるサービスとは違うため、直接の競合になるのでしょうか(民宿などの旅館はあるかもしれませんが…)。

ホスト型の民泊は、ホームステイに近しいところがあるため、住居が立ち並ぶ住居専用地域でも認めるべきだと思います。これもホスピタリティ、日本人のおもてなしの心の一つではないでしょうか。

 

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