16年後には空き家が3倍になり、3戸に1戸は空き家になるとの予測

空き家問題が叫ばれる中、今後の住宅市場はどのようになるのかと不安を抱いている人は多いことと思います。

この度、野村総合研究所(NRI)が、2017~2030年までの新設住宅着工戸数およびリフォーム市場規模と、2018~2033年までの空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)を予測し発表しました。

2030年度の新設住宅着工戸数は持家18万戸、分譲11万戸、貸家25万戸(2017年6月20日NRI発表)

ここでは、NRIの資料から今後の住宅市場の展望、特に空き家率の予測と問題について見てみましょう。なお、資料は全てNRIの発表資料からの抜粋です。

 

1.新設住宅着工戸数の予測

新設住宅着工戸数とは、いわゆる新築住宅の数を意味しています。この中には新築戸建てだけではなく、分譲マンション・賃貸マンション・アパートの戸数も含まれています。

全体で見ると2016年度の97万戸から、2020年度には74万戸、2025年度には66万戸、2030年度には55万戸と減少していく見込みです。利用関係別にみると、2030年度には持家18万戸、分譲11万戸、貸家(給与住宅を含む)25万戸となる見込みです。

持家:建築主が自分で居住する目的で建築するもの
分譲:建て売りまたは分譲の目的で建築するもの
貸家:建築主が賃貸する目的で建築するもの

2017年度の着工戸数は84万戸と見込まれますが、近年見られる相続対策の活発化(アパート建設)等に伴って、貸家の積極供給が継続した場合には、92万戸(内、貸家が42万戸)まで増える見通しとなっています。

人口減社会に入っているため新築戸数が減るのは当たり前とはいえ、13年後には新築住宅の戸数がほぼ半減していることになります。

 

2.リフォーム市場規模の予測

広義のリフォーム市場規模は、2030年まで年間6兆円台で横ばいに推移すると予測されます。狭義の市場は、それより1兆円前後少ない規模と見込まれます。

新築住宅が減ると同時に、既存(中古)住宅の売買が活性化し、リフォーム市場が伸びると思いきや、ほとんど増えていません。これは新築住宅が減るから中古住宅を買うわけではないということでしょうね。新築住宅を買う人がいない≒中古住宅を買う人もいないということでしょうか。どちらにしても売買時だけでなく、長年居住されている方にリフォームをすることで快適になるだけでなく、資産としての住宅の価値が向上するという方向に持っていかなければ、本当の意味では活性化しないでしょう。補助金をばら撒くだけでは、自律的なリフォーム需要が広がるとは思えません。

 

3.空き家率の予測と抑制策について

空き家数・空き家率は、既存住宅の除却(=壊すこと)や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2033年にそれぞれ2,166万戸、30.4%へと、いずれも上昇する見込みとなっています。

16年後には今の約3倍に空き家が増えるというのは衝撃的です。3戸に1戸は空き家というですからね。

さらに詳しくみると、2013年時点で「賃貸用・売却用」の空き家が全体の7.5%であるのに対し、2033年には17.5%まで拡大するとされています。なかなか借り手がつかない・売却できない不動産が増えることは間違いないでしょう。

この利活用の目途が立っていない、いわゆる売却も賃貸も考えていない単なる空き家である「その他の住宅」は、2013年時点で318万戸(5.2%)だったのが、2033年には785万戸(11%)に拡大すると見込まれています。

政府はこの「その他の住宅」である空き家を2025年時点で400万戸程度に抑える目標を掲げています。

ただ、簡単には難しいでしょう。この「その他の住宅」は相続で引き継いだ家が考えられます。相続で家を引き継いだ場合、相続時に金銭的に困窮していなければ、取りあえず空き家にしておく傾向があります。除却を強制的に進めるためには、相続時に売却もしくは更地にしなければ大幅に税金が上がるという政策を取るしかありません。ただ、せっかく建築された住宅を強制的に破壊に持っていくというのは、それこそ「もったいない」という他ありません。空き家の利活用を真剣に考えなければなりませんよね。

相続が原因での家の売却方法(土地・戸建・マンション)

相続が原因での家の売却方法(土地・戸建・マンション)

2017.02.26

空き家の利活用=空き家率上場の抑制策としては以下のようなことが考えられます。

①人口減少を食い止める。
→そもそもこれができたら問題はないはずです。できないから問題なんでしょう。

②二地域居住・多地域居住を促進する。
→いわゆる郊外などにセカンドハウス的に持つ考え方ですね。アメリカでは2件目の住宅に対する税制が整えられているため、積極的に購入しているという背景があります。日本でも各自治体が補助金を出しているところもありますが、国策として、空き家を購入する前提での2件目の住宅に対する政策を取る必要があると言えそうです。

③除却・減築を促進する。
→税金を上げることや、補助金を出すことなどです。

④住宅以外への用途転換を促進する。
→民泊やカフェやオフィスなど、色々考えられますが、現時点で大きな需要がない限り、限界がありそうですね。

⑤新築を制限する。
→これは必須でしょう。新築を制限し、中古住宅の価格を維持させることは大前提です。需要が減っているなか、新築住宅を増やすと空き家が増えるのは当たり前です。

⑥既存住宅流通を促進して、適性水準を引き上げる。
→いわゆる中古住宅の流通活性化です。流通活性化させるためには、買ってから住宅価格がすぐに落ちるのでは話になりません。維持させるためには、リフォームをさせ、その分の評価を上げる必要があります。

使われないから空き家になっているのであり、その需要のない住宅をなんとか減らすためには、そもそも供給を減らすか、なんとかして需要を増やすように知恵を使わなければなりません。

日本とアメリカの住宅資産の違いについて知りたい方はこちらをご覧ください。

あなたの不動産はいくら?

iQra-channel(イクラちゃんねる)では、気になるマンションや、ご自宅のマンションの売却価格がその場でわかる!また、どこの不動産会社が売却したのかもわかる!最新の相場価格を公開中!

ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。
主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。