大阪市のマンションがバブってますよね?ええ、バブー!

大阪不動産マンションバブル

4月3日に『大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています』という記事を掲載した。

そこから2カ月経ったが、その後どうなっているのかについてお話しよう。

もし、『大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています』を読んでいないのであれば、必ず先に読んでいただきたい。読まれたことを前提の上で説明する。

まずは東京がどうなっているのか、東京カンテイが出している中古マンション70㎡換算価格推移から東京23区をみてみよう。

東京23区70㎡価格201604

参照:東京カンテイ

昨年度末から停滞していたのが、ここにきて上昇(5,256万円/4月)している。

東京の価格上昇が一服したことで、大阪の価格上昇もいずれ近いうちに一服すると予想している。東京を差し置いて大阪だけ上昇し続けるということは今までの事例を見ても考えにくい。

(『大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています』2016年4月3日より抜粋)

上記のことを踏まえると、「東京がもう一度上がりだしたので、さらに大阪も上昇するのか?」と考えてしまう。

しかし、どうやらそうではなさそうだ。

この中古マンション70㎡換算価格推移は、東京カンテイのデータベースに登録されたファミリータイプ(専有面積30㎡以上、事務所用・店舗用を除く)の中古マンションの売り希望価格を行政区単位に集計・算出し、70㎡に換算したデータだ。

売り希望価格なので、売り出し価格であって、成約価格ではない

東京23区では前月比+1.5%の5,256万円と再び上昇率が拡大する動きを見せているが、これは都心6区(千代田区・港区・中央区・新宿区・文京区・渋谷区)の事例シェア拡大による影響が大きく、各行政区では年初を境に上値が重い状況となっている。

(東京カンテイ・プレスリリースより抜粋)

東京23区の中でも、超高価格帯のマンションは都心6区に集中している。その都心6区でマンションを所有している人で、4月に売却に出した人が相対的に増えたことにより、東京23区の価格をつり上げて上昇させたという意味だ。

では、なぜ4月に都心6区のマンションを売却する人が増えたのだろうか。考えられる理由は2つだ。

1つめの理由:もうこれ以上価格が上昇しないと考えて、ここで利益の確定をしようと動いたから

4月になるとアベノミクス失敗などとマスコミで声高に報じられることも多くなってきた。そのため、2012年冬から続いてきたアベノミクス好景気が終わったと判断した人が増えていても不思議ではない。もし購入したときの金額より、マンション価格が上昇しているなら売却しようと考えるかもしれない。でも本当にそうなのだろうか?

日経平均株価201604

日経平均株価

これは4月の日経平均株価だが、思い起こして欲しい。年明けからの凄まじい下落は3月には一段落した。実際に先日のサミットでも、安倍総理の“リーマン・ショック級”という言葉は受け入れられなかった。この年明けからの下落がこの5月のサミットまで続いていたなら、“リーマン・ショック級”という言葉をG7各国首脳が受け入れてくれたことだろう。今のところG7も一段落したと見ているのだ。ここで、「さぁ、ここで確実にマンションを売っておかねばならない」という気持ちになるだろうか?明確な根拠がなければ、そんなことはないだろう。アベノミクスは終了したというが、それは2012年冬から続いてきた一方的な上昇が一服したのであり、一方的に下落しているわけではない。小康状態、もしくは下落し始めていると見るべきだ。それは不動産も同じであり、不動産価格は日経平均株価よりも、遅行するので未だに横ばい状態だ。それに株と違って、不動産はそう簡単にホイホイと売れるわけではない。

為替面ではどうだろうか。

ドル円チャート201604

米ドル・円チャート

台湾人がなぜ日本の不動産を「爆買い」していたのか』の記事でも書いたが、アベノミクスの円安により、日本の不動産が割安に映った外国人、特に中国人・台湾人が日本の不動産を爆買いした。しかし、円高に転じて、購入意欲は小さくなっている。これは円高だけでなく、中国国内で再び不動産バブルが起きているため、そちらに資金を振り向けていると考えられる。確かにこの円高で、既に購入した外国人の中には、不動産価格が上昇していなくても為替で利益が出始めているケースもあるようだ。そのため売却に転じたとも見れるが、外国人、特に中国人が都心6区で購入する大きな理由は東京オリンピックがあることだ。それを少しばかり円高に転じて、利益が出たからといって売却するだろうか。それこそ4月に“リーマン・ショック級”の恐慌がきたのであればともかく、外国人が売却しはじめたという理由でもなさそうだ。

では、誰が売却しているのだろうか。

2つめの理由:不動産買取業者が2〜3月に買取したマンションを、4月に販売に出したから

これが理由だとみられる。

それでなくても毎年3月末は買取件数が増える傾向にある。大手仲介不動産会社TOP3の三井のリハウス・住友不動産販売・東急リバブルは会社として直接マンションを買取ることはやっていない。(「直接の買取も行います」と称しているが、ほぼやっていないに等しい。開示もしていない。)そのため、自社ではなく別の不動産買取業者に仲介し、買取してもらう。その場合、売主と購入した買取業者の両方から仲介手数料を得ることができる(=両手仲介)。大手仲介不動産会社TOP3はいずれも3月末決算だ。そのため、最後は無理言って買取業者に購入してもらうことも多い。

買取業者も、売れないような値段で高く買い取って、わざわざ損をするようなことはしたくない。本音では安い価格で買取したいが、そんな物件なんてなかなか出てこない。だからといって物件を買い取らなければ、販売物件もなくなり、商売ができなくなる。東京の中古マンションの価格が上がりすぎて、価格の上昇がもう止まってしまったことも重々承知している。まさに「進むも地獄、退くも地獄」状態になりつつあるのだ。このようになると、駅から遠くて少々安いマンションを購入して、売れずに何ヶ月も保有して資金繰りをやきもきするよりも、高くても大失敗の可能性が低い(最低この値段で売れると見込める)、もしかしたら値幅を取れる可能性がある都心6区のマンションを購入するわけだ。新たに高値で売却しているのは、再販売に出した不動産業者ということだ

バブルという言葉の定義は様々あるが、実際に消費者が買えない値段になったらバブルだろう。バブルになると売買しているのは消費者が購入する実需ではなく投資家や不動産業者だからだ。

(『大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています』2016年4月3日より抜粋)

まさに東京はバブっているわけだ。

東京23区と比較して大阪市のマンションはどうなのだろうか。

大阪市70㎡価格201604

参照:東京カンテイ

大阪市の勢いは引き続き凄まじい

大阪市のマンション価格上昇の背景には、①東京のマンション価格が上がりすぎて割安感がなくなったこと(=インカムゲインの減少)、②東京のマンション価格の上昇が一服し値幅益を取りに行くキャピタルゲインを狙いにくくなったことから、不動産業者や投資家が、東京に比べて相対的に割安で、価格の上昇を見込むことができる大阪市のマンションにマネーが移ったことを意味している。

(『大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています』2016年4月3日より抜粋)

まさに、上記の動きが大阪にきているのだ。東京で行くところの無くなったあぶれたマネーが大阪に急激に流れ込んでいる。大阪は今バブってる。現在進行形だ

数字で確認すると、4月の大阪市の中古マンションの販売希望価格(70㎡換算)は前月比+1.6%の 2,799 万円と 16 ヵ月連続で上昇した。東京23区がこのところ前年同月に比べて約15%増であるのに対し、大阪市は20%を超えて増と上昇の勢いが止まっていない状況だ。他の都市と比べても一目瞭然だ。

東京カンテイ201605-1

参照:東京カンテイ

前回も言った通り、大阪府を含む近畿圏のマンションが凄まじく上昇しているわけではない。大阪市のマンションが凄まじいのだ

東京カンテイ201605-2

参照:東京カンテイ

大阪市の中でも、中心6区(北区・中央区・福島区・西区・浪速区・天王寺区)が凄まじい。東京23区でも都心6区に集中するのと理由は同様だ

東京カンテイ201605-3

参照:東京カンテイ

大阪市内はホテル稼働率が高水準で推移し、なかなかホテルの予約が取れないことから、民泊物件が猛烈に増えてきている。確かに、民泊用に購入したマンションも相場を支えている理由の一つだが、民泊用物件は、純粋な3LDKや4LDKのファミリー物件が人気なわけではない。このことについては、また違う記事で書きたいと思うが、民泊用のマンションは下値を支えてはいるが、上値を追いかけるマンションではない。単純に買取して再販売するのとは販売戦略が違う。そもそも民泊ブームだからと言っても、未だ法律的に不確定要素が多すぎて、旗を振って「民泊用物件、販売しています!」などできない。それが上場している買取業者なら言うまでもない。

今まで見てきたのはあくまでも中古マンションの販売希望価格のデータだ。

実際の需要と供給がどうなっているか参考となるデータをみよう。

近畿レインズ20160 5-1

参照:近畿レインズ

これは近畿レインズが発表している「2016年4月近畿圏中古住宅市場の需給状況」で、実際に成約した物件需要側新規に登録された物件供給側に見立て、成約に対する新規登録の件数倍率及び価格乖離率から市場の需給状況を捉えたものだ。

ピンク色の線が上に振れているということは、新規登録物件より成約物件の増加率の方が大きいことをあらわす。これは、成約物件(=需要)が増大した、もしくは新規物件(=供給)が減少したことをあらわす。

近畿レインズ20160 5-2

参照:近畿レインズ

関西の人は鼻が効くのか、成約物件の実需については、日本経済の変調が見られはじめた昨年の12月からこの繁忙期の2・3月まで前年同月に比べて減っていた。逆に、同時期の1月・2月に新規に売却に出した件数は大幅に増えた。変調が一段落した4月には成約件数が伸びた。こうして実際に成約件数が増えたことは良いことだ。

それに対して緑色の線が下に振れているということは、成約価格の上昇率(=需要)より新規物件価格の上昇率(=供給)の方が高いことをあらわす。

実際の成約価格はそれほど上がっていないのに、新規物件の売り出し価格は高くつけられているということだ。これは東京と同じように、不動産買取業者が買って再販売に出したマンションも含まれていることだろう。

これらピンクと緑の線が上向いている、もしくは横ばいのまま推移しているならよい。この高値が続くなら、いつまでも価格が下がらないことにしびれを切らしだし、購入を待ちきれない人が買い、上昇サイクルに入る。

ただし、緑の線が完全に下を向いた場合、実需とは乖離した価格がつけられているということになる。その兆候は見え始めているということだ。

大阪の不動産の価格がさらに上昇するには、当然需要が大きくならなければならない。今のところは政府による需要の喚起策を期待するしかない。

(『大阪の不動産はバブルなのか?ええ、大阪市のマンションがバブっています』2016年4月3日より抜粋)

前回このように書いたが、今、大阪市のマンションの需要が大きくなっている原因は、政府ではなく不動産買取業者による旺盛なマンション買取なのだ。

銀行による不動産業向けの新規貸し出しが2015年にバブル期を超え、26年ぶりに過去最高となった。低金利を背景に住宅やオフィスビルの需要が底堅く、日銀の異次元緩和でマネーが不動産市場に流れ込んでいる。

(2016年2月21日『日本経済新聞』より抜粋)

それも東京の不動産買取業者が相次いで大阪に進出してきている。怖いのが、東京の目線で見ると大阪の不動産が割安に見えるところだ。相場もよくわかっていないのに購入しているケースが多く見られる。

大阪市新築マンション平均推移

4月の東京23区の中古マンション70㎡換算価格推移は5,256万円、1〜3月の東京都区部の新築マンション平均価格が6,667万円なのに対し、4月の大阪市の中古マンション70㎡換算価格推移2,799万円、1〜3月の大阪市の新築マンション平均価格が3,485万円だ。これは上限価格として一つの目安だろう。

また、東京の都心6区は、ここ5年間で安値から約40%上がっているが、すでに大阪市中心6区は約45%上がっている。それもチャートの角度を見ると、昨年2015年夏頃から急角度になっている。そのため、アベノミクスが始まる前に購入したマンションは、買取で利益が出るため手放す動きが一般消費者に見られ始めている。

この高値で買い取ったマンションを再販売に出して、次に購入するのは果たして一体誰なのか?

前回も言ったが、東京の価格上昇が一服しているならば、大阪の価格上昇もいずれ近いうちに一服すると予想している。東京を差し置いて大阪だけ上昇し続けるということは今までの事例を見ても考えにくい。

もちろん、大阪の不動産が上昇し、さらなるマネーが流入し盛り上がっているので、引き続き盛り上がりが続いて欲しいと願っているが、ふと、堺市にある世界最大の大仙古墳を造った仁徳天皇が即位したとき「(陛下の治世が)末永く続きますように」という願いをこめた王仁博士(わにはかせ)が詠んだ和歌を思い出したので最後に書いておく。

難波津に  咲くやこの花  冬ごもり  今は春べと  咲くやこの花

(王仁博士)

「難波津にこの花が咲いたよ。冬の間はこもっていた花が、 いよいよ春だと、この花が咲いたよ」という意味だが、大阪の不動産の春が続くことを願っている。

(余談だが、大阪市浪速区と此花区の名称はこの和歌から引用している。)

 

大阪不動産マンションバブル

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。