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(参考)成約情報とプライバシー・個人情報との関係

1.プライバシーに関する基本的な考え方 (国土審議会土地政策分科会企画部会土地情報ワーキンググループによる「今後の土地情報政策のあり方」とりまとめ(平成15年11月)」より)

・土地政策審議会意見取りまとめ(平成11年1月13日)では、「土地の実売価格及び成約賃料は個人の基本的な人権に関わる情報とは言えず、その開示がプライバシーの侵害に当たるとは考えられない。」としている。

・また、プライバシーの権利についての有力な学説では、「個人が道徳的自律の存在として、自ら善であると判断する目的を追求して、他者とコミュニケートし、自己の存在にかかわる情報を開示する範囲を選択できる権利」(佐藤幸治「憲法」)と解されている。こうした理解にたった場合、公権力が、個人の意思に反して、当該個人の道徳的自律の存在に関わる情報を取得・利用又は対外的に開示することは原則的に禁止されると考えられており、また、個人の道徳的自律の存在に直接関わらない外的事項に関する個別的情報については、正当な政府目的のために、正当な方法を通じて取得・保有・利用しても直ちにはプライバシーの権利の侵害とはいえないが、こうした情報も悪用または集積されるときには、個人の道徳的自律の存在に影響を及ぼすものとして、プライバシーの権利侵害の問題を生ずると考えられている(同上)。プライバシーに固有の個人の道徳的自律の存在に直接かかわるような情報とは、 思想、信条、病歴、犯罪歴等とされており、取引価格の情報は個人の行った経済活動に関する情報なので、プライバシー固有情報ではなく、個人の道徳的自律の存在に直接かかわらない外的事項に関わる個別的情報(プライバシー外延情報)に分類されるべきものと考えられる。

・個人情報保護の議論の中では、個人情報の保護に当たっては個人情報の有用性に配慮することとして、公益上必要な活動や正当な事業活動等を制限するものではないとされている。すなわち、個人識別情報は、その開示について、秘匿を求める利益を凌駕する公益が認められるときに、これを相当な手段で開示することは、一般に許容されている。

・取引価格情報の開示の是非に関しても、取引価格情報を個人識別情報として「保護することによる利益」と「開示することによる公益」との比較衡量を行って判断されるべきものであると考えられる。

 

2.個人情報保護に関する基本的な考え方 (国土審議会土地政策分科会企画部会土地情報ワーキンググループによる「今後の土地情報政策のあり方」とりまとめ(平成15年11月)」より)

・取引価格情報を個人情報として保護する主な利益は、土地が個人資産の大きな部分を占める場合が多いため、その取引価格が明らかになり、また付随的に取引の発生が知られるようになることにより、個人の資産状況またはその変化がより詳細かつ容易に類推されることに伴う弊害を防止することであると考えられる。

・個別の土地について、取引がなされたこと自体は、現況変化の視認や登記簿閲覧により世上に知られるから、取引価格情報の提供をすることにより新しく生ずる問題はない。

・一方、取り引きされた土地の価格についても、周辺物件の販売広告、当該物件の外観や立地等から、近隣の者、知りたいと強く望む者、専門事業者等がおおよそ類推することは可能である。また、実際の取引価格ではなく鑑定評価による価格情報ではあるが、地価公示、都道府県地価調査、相続税路線価についてはインターネットで公表されている。更に、固定資産税評価額についても、他人の保有する土地も含めて、同一市区町村内の固定資産税納税者等は縦覧できる制度が平成15年度から実施されている。

・建物の買い手に対し、新聞の購読や家具の購入を強請する業者が出てくる、といった問題は、土地の取引が世上に明らかになることを契機として既に生じている問題であり、取引価格情報を提供したために起こる問題ではない。 また、売り手が、高額の商品の購入等を強請される可能性についても、売買主名を公表しない等の工夫により、取引価格情報を提供したためにその可能性が高まるとは考えられない。

・このようなことを総合的に考えると、過去の一時点での市場価格を表す取引価格情報を提供することにより新しく生ずる問題は少ないと整理できると考えられる。

 

3.取引価格情報を個人情報として保護する利益 (国土審議会土地政策分科会企画部会土地情報ワーキンググ ループによる「今後の土地情報政策のあり方」とりまとめ(平成15年11月)」より)

取引価格情報を今後公開していくことの是非については、個人情報である取引価格を「保護する利益」と「公開する公益」との比較衡量によって決まるものである。比較衡量の天秤の片方、「公開する公益」については、不安感の軽減と信頼性の向上、市場の透明性向上による土地市場の健全化、ひいては適正な土地利用の促進等といった、諸外国における公益と同様の公益が認められる

・「保護する利益」の主な内容は、現状においてもおおよそ類推されうる取引価格がより詳細に明らかになり、取引発生が近隣の者やその発生を知りたいと強く望む者以外にも容易に知られうる状況になることによって、追加的に損なわれると予想される利益と考えられるが、…損なわれる利益の程度は低いと考えられる。
以上より、土地基本法における公共の福祉優先の基本理念に鑑みれば、個人の権利利益の保護に配慮しつつ取引価格情報の提供を行っていくことには、基本的方向として合理性があるものと考えられる。

・多くの欧米諸国や一部のアジア諸国では、古くから税や登記という、いわば国家の基本的な制度に根ざした形で取引価格の情報が収集、蓄積、提供されてきて、国民の間に取引価格の公開制度が定着した経緯がある。すなわち 、諸外国では、従来から取引価格を登記手続きの際に登記所に届け出ることとされており、収集された取引価格の情報は、登記簿に記載されて蓄積、公開されてきた。また、実際の取引価格が不動産取得税や登録免許税の課税ベースとされているため、虚偽の申告には罰則なども措置されている。

・わが国においては、取引価格の情報は登記の要件ではなく、不動産取得税及び登録免許税の課税ベースも実際の取引価格でなく評価額が適用されるため、取引価格を目的として、公的機関が網羅的に情報を収集、蓄積する機能を持ってこなかった。国民の間に取引価格の公開制度が定着するだけの歴史的蓄積がなく、自分自身の取引価格が知られることに対する懸念もうかがえる。…国民感情を踏まえた制度設計としなければ、制度の円滑な導入と実効性ある運用は見込めない。制度の導入に当たっては、この制度の意義と世論調査やパブリック・コメントの結果を踏まえた実際の国民感情にも配慮した制度設計が必要である。

【参考】「不動産流通業における個人情報保護法の適用の考え方」(平成17年1月)の概要

物件情報は、買主等の媒介を行う客付宅建業者から元付宅建業者への電話連絡等を通じ物件を特定でき、物件の売主等の個人を識別することができるため、個人情報保護法における「個人情報」に該当する

指定流通機構が保有する成約情報も、当該情報に住居表示、地番が含まれている場合など、住宅地図等により所有者たる特定の個人を識別することができる場合は、「個人情報」に該当する

指定流通機構のシステムは、個人情報である物件情報や成約情報をコンピューターを用いて探索することができるように体系的に構成したものであり、個人情報保護法上の「個人情報データベース等」に該当する

指定流通機構が保有する成約情報を仲介業者が価格査定に利用する場合、第三者提供につきあらかじめ本人の同意を得るか、オプトアウトの措置を講じる必要がある。後者の場合に成約情報の特定が困難となる工夫を施さないで仲介依頼者へ提供することは、宅建業法上の守秘義務違反に該当する可能性がある

不動産登記簿や固定資産課税台帳など公開されている情報であっても、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」を除き、「個人情報」に該当し、利用目的の公表や本人への通知が必要となる

(平成24年8月国土交通省土地・建設産業局不動産業課『不動産流通市場における情報整備のあり方研究会「レインズ機能の充実の必要性について」』より抜粋)

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