擁壁(ようへき)とは?擁壁がある場合の物件調査方法についてまとめた

擁壁(ようへき)とは?擁壁がある場合の物件調査方法についてまとめた

Q:擁壁(ようへき)とはなんですか?

どのようなときに擁壁が必要ですか?

また、物件に擁壁がある場合、どのように調査すればよいのでしょうか?

A:高低差のある地面に設けられる壁

安息角画像byイクラちゃんねる擁壁(ようへき)とは、崖(がけ)や盛土(もりど)の側面が、崩れ落ちるのを防ぐために築く壁のことで、土壌の安息角(あんそくかく)を超える大きな高低差を地面に設けたいときに、土壌の横圧に抵抗して斜面の崩壊を防ぐために設計・構築される壁状の構造物です。

安息角とは、土や粉粒体(ふんりゅうたい:粉状の集合体)を積み上げたとき、自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度のことで、滑り出さない限界の角度です。一般的な地上の傾斜面では、35度前後とされています。

擁壁の設置義務があるのは、宅地造成等規制法の区域内(宅地造成工事規制区域)で高さ1m以上の盛土の場合で、の他の区域は盛土・切土に関係なく壁高2m以上の場合です。

不動産の重要事項説明書における「宅地造成等規制法」とはなにか

2016.04.01

擁壁の設置に関する技術的な基準として、宅地造成等規制法施行令第6条では「鉄筋コンクリート造無筋コンクリート造または間知石(けんちいし)練積み造(ねりづみ)その他の練積み造のものとすること」と定められています。

宅地造成等規制法の対象外となる地域でもこちらに沿った指導が行なわれています。(自治体の条例などにより異なる場合もあります)

擁壁画像byイクラちゃんねる

(擁壁は高低差のある地面に設けられます)

どんなに頑丈に造られた擁壁でも、永久に機能を維持できるわけではありません。数十年経つと劣化は進みます。古い擁壁がある物件の購入を検討するときには、擁壁の状態を特に注意して確認する必要がありますが、比較的新しい擁壁でも、亀裂やひび割れが生じている場合があり、新しければ安心というわけではありません。また、擁壁の亀裂やひび割れを補修した跡があっても、中途半端な補修は根本的な解決には繋がりません。

擁壁は、その高さや面積にもよりますが、工事費用が数百万円から数千万円になる場合もあります。もし、不動産売買契約締結直後や引渡し直後に、擁壁の造り直しが必要であることが発覚した場合、売主と買主の間でトラブルになり、不動産仲介業者にも責任が生じる可能性があります。

そのため、擁壁の調査については現地において、安全性のある擁壁かを次の項目を確認します。

  1. 表面の状態を確認する→亀裂・ひび・はらみ・風化などないか
  2. 材質を確認する→間知(けんち)ブロック積み・コンクリート・玉石(たまいし)・大谷石(おおやいし)・ブロックなど
  3. 水抜穴を確認する壁面の面積3㎡につき1ヵ所以上で内径7.5cm以上の水抜穴が必要
  4. 外見を確認する→二段擁壁・二重擁壁の場合は違反建築の可能性あり
  5. 役所資料→高さ2m超の擁壁の場合は、工作物建築確認及び検査済証を取得し確認

国土交通省の『宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)』や『我が家の擁壁チェックシート(案)』を、チェックリストとして利用するのも良いでしょう。コンクリート造や間知石・間知ブロック(練積み)による擁壁は、法で定められたものであり、亀裂や排水上の問題などがないかぎり、安全面での心配はありません。

擁壁水抜穴

コンクリート擁壁(水抜穴

擁壁間知ブロック

間知ブロック擁壁(水抜穴)

擁壁玉石

玉石擁壁【違反

擁壁大谷石

大谷石擁壁【既存不適格

二段擁壁

二段擁壁(二重擁壁)【違反

ブロック擁壁

ブロック塀(擁壁ではない)【違反

擁壁はらみ

擁壁のはらみ

擁壁亀裂

擁壁の亀裂

擁壁ひび

擁壁のひび

擁壁の安全性については、慎重な調査が必要です。

擁壁は、その高さに関係なく安全性に裏づけられたものでなければなりません。単に「高さ2mを超える擁壁の築造」については、工作物の建築確認という手続きが必要となるのに過ぎません。

玉石(たまいし)造りは安全上の構造計算が難しく、大谷石(おおやいし)造りは経年により風化してゆくために、安全性が保持できないと判断され、現在では違反建築や既存不適格とされます二段擁壁・二重擁壁についても認められないのが一般的で、役所にこの擁壁は問題ないのかどうか確認しなければなりません。また、ブロック塀で擁壁をつくるのは禁止されています

擁壁を確認した上で、役所に安全性が認められないと判断された擁壁は、次の対応をとることがあります。

  • 擁壁の上部に位置する敷地:再建築時に擁壁の築造し直し建物を深基礎で造るなど
  • 擁壁の下部に位置する敷地:擁壁から一定の距離を置いての建築防護壁を造るなど

隣り合った敷地に高低差があり、その間に擁壁をつくるときは、上側の敷地所有者の費用負担と責任で、上側の敷地内に設置されるのが一般的です。ただし、上側の敷地の所有者が擁壁を造らなければならないなどといった決まりはなく、あくまでも上側の敷地の所有者が造るケースのほうが多いということに過ぎません。

現地確認において、擁壁の安全性に不安があれば、まずは専門家への調査を依頼しましょう。

まとめ

擁壁の調査手順として、まずは調査物件が宅地造成等規制法の区域内か区域外かを調べます。

不動産の重要事項説明書における「宅地造成等規制法」とはなにか

2016.04.01

宅地造成等規制法による擁壁

  1. 宅地造成等規制法の区域内で、切土2m・盛土1m・切盛2m超の工事による擁壁については、宅地造成等規制法による許可申請が必要です。
  2. 役所で、宅造許可・検査済がおりているかを確認します。
  3. おりていれば、各々の日付・番号を調べ、宅造で造られた擁壁かを確認します。
  4. おりていない場合には、宅造許可以外で造られた擁壁の可能性がります。

建築基準法による擁壁

  1. 宅地造成等規制法の区域内で、既存擁壁の築造替え・階段築造工事などで2m超のものや宅地造成等規制法の区域外で、切土盛土に関係なく、2m超の擁壁を築造する場合は、建築基準法による工作物の確認申請が必要になります。
  2. 「水抜穴(内径7.5cm以上で3㎡に1つ)・ひび・亀裂・はらみ・風化・玉石・大谷石・二段擁壁・二重擁壁」を現地で確認します。
  3. 役所で、工作物の建築確認・検査済がおりているかを確認します。
  4. おりていれば、各々の日付・番号を調べます。
  5. おりていない場合には、適法でない可能性があるため、再建築する場合の指導内容(再築造方法、深基礎での建築)などを聞きます。