リコーリースがハウスドゥに対抗して不動産買取事業(リースバック)参入へ

リコーリースのリースバック

リコーリースが、自宅売却した後も住み続けることができるサービスを始めるようです。

リコーリースは6月から、自宅のマンションを売却した後もそのまま住み続けられるサービスを始める。リコーリースが不動産を取得し、所有者と賃借契約を結ぶ。見守りサービスなども併せて提供する。医療費や介護費用がかさむなか、高齢者が必要な現金を確保しつつ、住み慣れた自宅に住めるようにする。

対象エリアは首都圏。今後、3年間で100億円程度の物件取得をめざす。自宅を担保として融資を受ける「リバースモーゲージ」と似ているが、リバースモーゲージの場合は戸建てが多いほか、不動産価格の下落で担保割れした場合、相続人が返済しないといけないリスクもある。今回は所有者が自宅をリコーリースに売却するためそうした問題は発生しない。

高齢化が進むなか、子供がいない夫婦などを中心に、自宅を現金に変えたいニーズが今後強まるとみられる。

(2017年5月20日日本経済新聞朝刊3面抜粋)

リコーリースといえば、印刷機(複合機)で有名なリコーの子会社で、リースを行っている会社です。

リコーリース

リースとは、企業が利用したい高額な機械や設備をリース会社が代わりに購入し、その企業に対してその機械や設備を長期間にわたり賃貸する取引をいいます。物品の所有権はリース会社にありますが、企業は自社で購入した場合と同じように機械や設備を使用できるため広く普及しています。

今回は、その家バージョンということでしょう。マンションを所有するお客様向けに、売却しても住めるサービス『セリーブ』です。このように、資産を売却した後でも、それをそのまま使用しながら買主に使用料を支払う方式をリースバックといいます。

リコーリース(セリーブ)

サービスの概要は以下の通りです。

対象物件 マンション(RC・SRC)
対象地域 首都圏
オプション 売却した建物を賃借する権利
建物賃貸借契約の形態 普通借家契約もしくは定期借家契約

今までは、老後になって資金がないときは自宅を売却するしかありませんでした。しかし、最近は自宅を売却せず、自宅を担保にしてお金を借りることができる「リバースモーゲージ」が少しずつではありますが、利用されはじめています。

ただし、リバースモーゲージは一般的に融資と同じ扱いであるため、もし金利が上昇した場合の返済額の増加や担保評価として価値が下がった場合は早期返済を求められる可能性があります。

今回のリコーリースの「セリーブ」はそのようなリスクがない上、売買によって所有権がリコーリースに移るため、固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金、火災保険料はリコーリースの負担となるのもリバースモーゲージとの大きな違いになります。

リコーリースの「セリーブ」 リバースモーゲージ
契約形態 自宅の売買(賃貸借契約のオプション付) 自宅を担保とした融資
担保再評価時に発生した評価不足分の早期返済 なし 発生するリスクあり
金利上昇リスク なし 発生するリスクあり
賃借人死亡時における相続人への影響 なし 担保価格の下落により残債がある場合は、相続人への請求が発生するリスクあり

(2017年5月22日リコーリース株式会社NewsReleaseより抜粋)

しかし、この「セリーブ」は株式会社ハウスドゥのサービス「ハウスリースバック」と全く同じです。

ハウスリースバック

ハウスドゥのハウス・リースバック事業は絶好調です。最近の決算を見てもそのことがわかります。

ハウスドゥ2017年6月期決算3Q

リコーリースも検討はしていたものの、ハウスドゥの好調を見て参入を決めたのでしょう。

リコーリース中期経営計画

問題はどうやって物件を仕入れるかでしょう。ハウスドゥはフランチャイズ経営していますので、それらの店舗から案件が入ってきます。

リコーリースは住宅ローン、マンション管理組合向けローン、Casaダイレクト(集金代行付家賃保証サービス)、家主ダイレクト(個人オーナー向け、 孤独死保険付帯集金代行付家賃保証サービス)などの不動産に関わる様々なサービスを展開しています。ですが、正直なところ、不動産会社や一般の方(売主)に対して認知度が低すぎます。

ただ、リコーリースは複合機のシェアが高いことに強みがあります。不動産会社は、宅建業免許を取得するためにFAXを設置しなければならないこともあり、コピーとFAXが連動した複合機を普通は置いています。そのため、印刷機屋さんとしてのリコーを知っている不動産会社がほとんどです。

まずはリコーの複合機を利用している不動産会社(仲介)に、物件の紹介してもらえるようコピー機の修理などと共に一緒に営業すべきでしょう。不動産会社にとってもこの「セリーブ」は集客手段や商品の一つとしてメリットがあります。ただし、その際、「ハウスドゥが絶好調」だということを言わないと、恐らくほとんどの不動産会社が見向きもしないと思いますが。

今後、これら住宅のリースバック事業はもっと伸びていきます。事実、不動産買取会社も次々と参入しはじめており、マンション買取大手のインテリックスもリースバック事業に参入しています。

インテリックスリースバック

あとは、買取会社のリースバック場合、買取物件をストックとして置いておきたくない傾向があるので、定期建物賃貸借契約を結ぶことが多いなどの違いが消費者に伝われば良いのでしょうが、まだまだそこまで消費者に知識が行き届いていないのが現実です。

インテリックスのリースバック条件

対象物件:マンション・戸建・土地・ビル
買取価格:インテリックス査定による
期間:3年間(相談可)
年間賃料:下取り価格の8〜10%
契約形態:不動産売買契約・定期建物賃貸借契約・火災保険契約・賃貸借保証委託契約
保証金:月額賃料の1ヵ月分
買戻金額:当初買取価格の115〜125%

多くの不動産会社は、買取を行って「両手仲介×2」を行いたいのが本音です。もし、買取ができなかったときの手段、もしくは集客手段の一つとしてリコーリースの「セリーブ」を不動産会社に薦めていく方法が良さそうです。

 

リコーリースのリースバック

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。