不動産売買契約書の「瑕疵の責任」とは

不動産売買契約書の「瑕疵の責任」とは

(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の契約書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)

不動産(土地・建物・マンション)を売買する際、契約書に「瑕疵の責任」という項目があります。

(瑕疵の責任)

第13条 売主は、買主に対し、土地の隠れたる瑕疵および次の建物の隠れたる瑕疵についてのみ責任を負います。
(1) 雨漏り
(2) シロアリの害
(3) 建物構造上主要な部位の木部の腐蝕
(4) 給排水管(敷地内埋設給排水管を含む。)の故障
 なお、買主は、売主に対し、本物件について、前記瑕疵を発見したとき、すみやかに通知して、修復に急を要する場合を除いて立ち会う機会を与えなければなりません。
2 売主は、買主に対し、前記の瑕疵について、引渡完了日から3ヵ月以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負います。なお、責任の内容は修復にかぎるものとし、買主は、売主に対し、前記の瑕疵について、修復の請求以外、本契約の無効、解除または損害賠償の請求をすることはできません。
3 前項の建物の瑕疵の修復範囲等は、別表(修復範囲等)中「建物の修復範囲等」の記載によります。
4 買主は売主に対し、第1項の土地の隠れたる瑕疵により、本契約を締結した目的が達せられないとき、引渡完了日から3ヵ月以内にかぎり、本契約を解除することができます。
5 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。

「瑕疵の責任」の意味と内容

瑕疵(かし)とは欠陥のことです。その物が備えていなければならない一定の性質、性能を有していないことを意味します。不動産売買契約の目的物に瑕疵があるとき、売主が負担しなければならない責任が瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)になります。

こちらの条項では、瑕疵担保責任の内容として①修復の請求②土地の隠れたる瑕疵によって目的が達せられないときの解除権(契約解除する権利)を認めています。また、建物の4種類の瑕疵については、修復の請求以外の主張はできず、損害賠償の請求、契約の解除、契約の無効は主張できないとしています。

民法にも瑕疵担保責任の規定がありますが、民法の規定は義務付けられたものではなく、任意規定であり、民法と異なるさだめとすることができます。そこで、こちらの条項では、売主の瑕疵担保責任として、土地の瑕疵、および建物についての①雨漏り②シロアリの害③建物構造上主要な部位の木部の腐蝕④給排水管の故障の4種類の瑕疵について、引渡完了日から3カ月以内に買主からの請求のあったものに限って、売主に修復の義務があることを定めています

瑕疵担保責任の内容は、土地・建物ともに修復に限定されます。また、4種類の瑕疵以外については、建物に関する瑕疵担保責任はありません。ただし、土地の瑕疵により、契約を締結した目的が達せられないときは、引渡完了日から3カ月以内にかぎり、買主は売買契約を解除することができます。もし、土地の瑕疵を理由に、こちらの条項に基づいて契約が解除となった場合は、登記を売主名義に戻すなどの原状回復の対応が必要となります。この場合、買主は不動産売買契約解除に伴い被った損害については、売主に対し損害賠償請求を主張できるということに注意が必要です。

修復の責任の期間についても、引渡し完了日から3カ月以内です。期間を具体的に計算するときには、初日は参入しません(民法第140条)。買主は、この期間内に、瑕疵を発見したうえで、修復・補修または解除の請求をしなければなりません。買主が期間内に瑕疵を発見していたとしても、請求せずに3カ月が経過すると責任を問うことができなくなります。特に期間満了の間近になって瑕疵を発見したようなケースでも、期間内に請求する必要があることに注意が必要です。

責任期間が3カ月に限定されているのは、売買対象の多くの不動産が、相当な築年数を経ている中古戸建であることと無関係ではありません。買主は、土地または建物の4種類の瑕疵を発見したとき、すみやかに売主に連絡して、買主に立会う機会を与える必要があります。ただし、緊急に修復しなければ2次被害が発生する可能性があるほど急を要するときは、修復の後に売主に連絡すれば良いとしています。また、売主に本条項により立ち会う機会を与えることは、3カ月以内に売主に瑕疵の修復の請求を行ったことの証明にもなります。ただし、立会う機会を与えることは、手続き規定であり、もし買主がこれに違反しても、期間内請求の証明の問題は別として、これだけで売主が瑕疵の責任を免れるものではありません。

瑕疵担保責任については、不動産売買契約の内容も含めて、こちらに詳しくまとめていますので必ずご一読ください。

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)についてわかりやすくまとめた

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)についてわかりやすくまとめた

2017.03.07

建物の修復の範囲について

瑕疵の修復工事は、瑕疵の状況によって個別に対応して行いますが、修復工事の程度として合理的な範囲は「別表(修復範囲等)中建物の修復範囲等」を参考にしてください。

別表(修復範囲等)

別表(修復範囲等)中建物の修復範囲等

こちらの条項に定められた修復の範囲は、中古物件の建物の瑕疵に関して、売主・買主それぞれの利益に配慮した公平なものであり、また、法的に責任を追求する場合の責任範囲は、修復の範囲の定めに限定されます。ただし、瑕疵の問題が発生したとき、売主がこちらの条項に定められた修復の範囲を超えた修復や損害賠償を妨げるものではありません。例えば、雨漏りの瑕疵に基づき、壁や天井のクロスが汚損した場合の2次災害の処理については、こちらの条項の定めを超えて解決することが必要となるケースもあります。

物件状況等報告書について

一般的な不動産売買契約書では、売主が買主に対して負う瑕疵担保責任は土地及び建物の4種類の瑕疵に限定されており、これ以外の瑕疵担保責任を負担しません。瑕疵担保責任の範囲の制約により、売主は保護されているのです。

しかし、瑕疵担保責任を制約して売主を保護するだけは公平ではないため、売主に対し、正しく情報開示をさせる義務を課し、買主の利益を図るものして「物件状況等報告書」があります。

物件状況等報告書(土地建物・土地用)

不動産売買契約では、売買物件の状況が売買契約時にどのような状態であるか、またはどのような状態で買主に引渡すかを明確にしておく必要があります。特に中古物件の場合は、経年変化などにより物件に損耗や摩耗が生じていることが一般的ですので、その状態を買主に説明し、買主はそれを了解して取引するというのが通常の扱いになっています。

もし、売買物件に瑕疵があるならば、物件状況等報告書にて瑕疵の内容について買主にあらかじめ説明することが必要です。万が一、売主が知っていたにもかかわらず、買主に知らせなかった瑕疵については、不動産売買契約書の定めにかかわらず、売主に対し損害賠償義務等が発生し、トラブルになる場合があります。たとえ、瑕疵担保免責の取り決めがあっても同様です

一方、売主は、買主が売買契約時に瑕疵の存在を知っていたときは責任を負う必要はありませんので、売主が知っている瑕疵はできるだけ正確に買主に伝えておくことが、売主にとって重要なことになります。

瑕疵には、物件に関する物理的瑕疵だけでなく、心理的瑕疵(事件・事故・自殺等)もありますまた、物件に何らかの影響を及ぼすおそれがある建築計画や、騒音・振動・臭気等の発生、暴力団事務所等が物件の近隣周辺にあるか否かも購入の際の判断基準となることがあります

これらの重要な事実についても、トラブル防止や売主の説明義務違反に問われないようにするため、売主が知っている事実は物件状況等報告書にて説明することが必要です。

不動産売買契約書の「物件状況等報告書」とは

不動産売買契約書の「物件状況等報告書」とは

2017.11.18