あなたの建物は旧耐震基準?重要事項説明書の「建物の耐震診断の結果」とはなにか

あなたが不動産屋を通じて、不動産売買の契約をする際には、重要事項説明書が宅地建物取引士により読み上げられ、重要事項説明を受けることになる。

その不動産の重要事項説明書の中に「建物の耐震診断の結果」という項目がある。

建物の耐震診断の結果(重要事項説明書)

どのような不動産が耐震診断の対象となり、不動産会社(宅地建物取引業者)はどこまで調査し、説明する必要があるのだろうか。

ここでは、不動産の重要事項説明における「建物の耐震診断の結果」について説明する。

 

旧耐震基準と建物の耐震診断について

耐震診断2宅地建物取引業法35条 1 項14号の規定では、不動産会社(宅地建物取引業者)は、昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した建物(建築確認を受けた建物)について、建築物の耐震改修の促進に関する法律4条1項の技術上の指針となるべき事項に基づいて指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が行なった耐震診断がある場合はその内容について説明しなければならないとされている。これは、建物の売買・交換・賃貸いずれの場合にも説明が義務付けられている。この耐震診断結果の重要事項説明は、建築物の耐震基準が整備・強化された昭和56年6月1日以降に新築された建物については、義務付けられていない

1981(昭和56)年の建築基準法改正で、住宅の耐震基準は引き上げられた。それまでの「震度5強で損傷しない」に加え、「震度6強〜7でも倒壊しない耐震性」を求められるようになった。この昭和56(1981)年5月31日以前に建築確認を受けた建物を旧耐震基準といい、昭和56(1981)年6月1日以降に建築確認を受けた建物を新耐震基準という。

国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」から、もう少し具体的に説明する。

その前に、建築確認とはなんだろうか。

マンション・戸建・ビルなど建物を建築する際は勝手に建築してはいけない。建築基準法や都市計画法など各種の法律に沿って建築されているかどうか、建築する前に役所等に建築計画を提出する。

建築の流れ(建築確認・完了検査)

審査の結果、建築図面において法令上問題なしとされたのが建築確認であり、その証明書が確認済証だ。そこから建築が着工され、建築確認の図面通りに建物が完成したかどうか完成時に行う検査が完了検査であり、その証明書が検査済証だ。

「◯年◯月建築」には注意が必要だ。

建物登記表示

例えば、上記のように建物の登記簿謄本を見て、これは平成11年3月建築とわかる。

建築計画概要書

これは上記の登記簿謄本と同じ建物の建築計画概要書だ。この青字で囲まれた部分を拡大する。

建築確認年月日

建築確認年月日は平成10年11月19日となっている。

このように昭和56年6月建築だからといって、建築確認が昭和56年6月1日以降でなければ、その建物は新耐震基準ではないということに注意が必要だ。建築確認の段階では、まだ建物は完成していない。

つまり、昭和56年5月31日以前に新築工事に着工したというのは、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたという意味だが、その証明となる確認済証等がない場合もあるので、具体的には次のような基準で判断される。

 判断となる資料  建物の種類 重要事項説明の対象範囲
通常の場合 確認済証(検査済証)に記載されている確認済証交付年月日 すべての建物 昭和56年5月31日以前 
確認済証・検査済証のいずれもない場合 建物の登記簿謄本の登記の日付または家屋課税台帳の新築建築年月日 区分所有建物(マンション)を除く戸建などの居住用建物 昭和56年12月31日以前 
区分所有建物(マンション)及び事業用建物 昭和58年5月31日以前 

このような買主に対する重要事項における建物の耐震診断の説明義務ついては、売主および所有者に耐震診断の記録の有無を照会し、必要に応じて管理組合および管理業者にも問い合わせた上、存在しないことが確認された場合は、その照会をもって不動産会社(宅地建物取引業者)の調査義務を果たしたことになる。逆に耐震診断の記録があれば必ず説明しなければならない。

ただし、耐震改修促進法4条1項に規定する基本方針のうち技術上の指針の一部または全部と同等以上の効力を有すると国土交通大臣が定める方法として以下のものがあり、これらに基づく耐震診断も説明すべき耐震診断に該当することに注意が必要だ。

  •  (財)日本建築防災協会による「木造住宅の耐震診断と補強方法」に定める「一般診断法」および「精密診断法」(時刻暦応答計算による方法を除く)、「既存鉄骨造建築物の耐震診断指針」「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」および「既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準」、「既存壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断指針」、「既存壁式鉄筋コンクリート造等の建築物の簡易耐震診断法」
  •  (社)プレハブ建築協会による「木質系工業化住宅の耐震診断法」、「鉄鋼系工業化住宅の耐震診断法」、「コンクリート系工業化住宅の耐震診断法」

個別で耐震診断を考えているのであれば、こちらに相談してみればよい。

耐震診断の結果として、上記の機関から発行される「耐震診断結果評価書の写し」の他に、「耐震基準適合証明書の写し」・「住宅性能評価書の写し」を重要事項説明書に別添し、説明するのがよい。

 

まとめ

  • 昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物を旧耐震基準という。
  • 旧耐震基準の建物で、耐震診断がある場合にはその内容を説明しなければならない。
  • 耐震診断の記録がない場合は、不動産会社(宅地建物取引業者)が耐震診断を行う義務はない。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。