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相続時精算課税制度とはなにかわかりやすくまとめた

相続時精算課税制度とはなにかわかりやすくまとめた

あなたが親から資金援助を受けて不動産を購入する場合、贈与税(ぞうよぜい)の対象となります。贈与税とは個人からお金を含む財産をもらったときにかかる税金で、年間110万円までの範囲であれば贈与税はかかりません。

例えば、家を買うために親から2,000万円の援助を受けた場合、586万円の贈与税を納めなくてはならないため、家に充てられるお金は1,414万円になります。

不動産の贈与税とはなにか計算方法についてわかりやすくまとめた

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2015.12.25

恐るべき税金の金額ですよね。

ただし、親から住宅を取得するための資金をもらった場合は、最高1,200万円まで贈与税がかからない「住宅取得等資金の非課税制度」と生涯で2,500万円までは贈与税がかからない「相続時精算課税制度」の2つの贈与税の特例制度があります。

金額だけみると「相続時精算課税制度」ですが、どちらにもメリット・デメリットがあります。

この2つの制度の内容は全く異なるため、もし、あなたが親から資金援助(贈与)を受けて不動産購入を考えている場合には、この2つの制度の内容と違いを必ず理解して知っておくべきです。

ここでは「相続時精算課税制度」についてわかりやすく説明します。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度(そうぞくじせいさんかぜいせいど)は、贈与税と相続税を一体化させた制度であり、あなたが将来、相続を受ける時に精算することを前提に、生きている間に相続関係にある親から子への生前贈与を行いやすくし、消費の拡大を図ることを目的としてつくられた制度です。

不動産の相続税とはなにかわかりやすくまとめた

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2016.01.19

要件を満たす親から子への贈与について、一生涯につき2,500万円まで課税せず、それを超える部分については一律20%の贈与税がかかります。その後の相続時(贈与者の死亡時)に、この制度の適用を受けた生前贈与財産のすべてを相続財産に合算して計算した相続税額から、すでに納付した贈与税を控除する(差し引く)ことにより精算するというものです。

相続時精算課税制度は、あなたが将来親などから相続を受けるであろう分を、現在利用するために早めに前借りするようなものです。前借りなので、相続の時にこの前借りした分を加えて相続の計算しなければなりません。贈与によって財産を取得しても、相続で財産を承継しても、財産の価値が変わらない限り全体の税負担は変わらないようにしているため、この制度自体に相続税などの節税メリットはありません

次の両方を満たしている場合に、相続時精算課税制度を選択することができます。

贈与者(ぞうよしゃ:財産をあげる人) 贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母、祖父母
受贈者(じゅぞうしゃ:財産を受け取る人) 同日において推定相続人である20歳以上の子・孫

贈与は毎年110万円までであれば税金はかかりませんが、一度でも相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者からのその年分以後の贈与についてはすべてこの制度が適用され、暦年課税(れきねんかぜい:110万円の基礎控除)を利用することができなくなります。相続時精算課税制度は、贈与者ごとに選択することができるため、父は相続時精算課税制度、母は暦年課税というように選択することも可能です。また、贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません

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住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例

住宅を購入するなど、住宅取得等のため資金の場合は特例(住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例)があります。

この特例は年齢制限がなくなったもので、2021年12月31日までの間に、20歳以上の子・孫が親等から住宅取得等の資金の贈与を受け、翌年3月15日までにその不動産を購入する資金として贈与を受けた場合、親などが60歳未満でも相続時精算課税制度を選択できるというものです。

住宅取得等資金(じゅうたくしゅとくとうしきん)とは、自分が住むための家屋の新築、取得または自分が住んでいる家屋の一定の増改築等に充てるための金銭をいいます。家屋の新築、取得、増改築等には、その家屋の土地や借地権などの取得も含まれることから、自分で住むための「家」に使うためのお金といえます。

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相続時精算課税制度を利用するための手続き

相続時精算課税制度を選択するには、この制度を利用して最初の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、住んでいる地域を管轄する税務署に贈与税の申告書と併せて「相続時精算課税選択届出書」を提出しなければなりません。

次の書類を添付して申告します。

  • 受贈者の戸籍謄本または抄本(氏名、生年月日、贈与者の推定相続人であることがわかるもの)
  • 受贈者の戸籍の附票(ふひょう)の写し(20歳に達した時以後の住所がわかるもの)
  • 贈与者の住民票の写しまたは戸籍の附票の写し(氏名、生年月日、60歳に達した時以後の住所がわかるもの)

住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例を受けるためには、上記に加えて次の書類を併せて提出します。

新築または中古住宅を取得した場合

  • 新築または取得等をした住宅用家屋の登記事項証明書
  • 受贈者の住民票の写し(その住宅用家屋を居住の用に供していることがわかるもの)
  • 既存住宅用家屋(取得後耐震改修するものを含む)で耐震の証明が必要な場合には、耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し

増改築をした場合

  • 増改築等をした家屋の登記事項証明書
  • 受贈者の住民票の写し(その住宅用家屋を居住の用に供していることがわかるもの)
  • 増改築等工事証明書、確認済証または検査済証の写し
  • 工事の請負契約書その他の書類で工事に要した費用およびその明細を明らかにするもの

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2015.12.30

詳しくは国税庁HPをご参照ください。

相続時精算課税の計算方法

贈与税の計算と相続税の計算にわけて説明します。

贈与税額の計算

相続時精算課税を選択した受贈者は、この制度を選択した贈与者(特定贈与者)からの贈与財産他の者からの贈与財産とを区分して、それぞれに贈与税額を計算して合算します。

特定贈与者からの贈与については、特定贈与者ごとに1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から特別控除額2,500万円(前年以前にすでに利用した金額は除きます)を控除した金額に、一律20%の税率を乗じて贈与税額を計算します。

他の者からの贈与財産については、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を控除して、原則どおりに贈与税額を計算します。

相続税額の計算

相続時精算課税を選択した受贈者の相続税額は、特定贈与者の相続時に、それまでに相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産の価額とを合算して計算した相続税額を計算します。

なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の価額(贈与税が課税された価額)です。

すでに納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額が相続税額から控除しきれない場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

「相続時精算課税制度」を利用した方が良いケース

住宅購入資金として贈与を検討する際には、まずは「住宅取得等資金の非課税」を検討します

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2015.12.28

住宅取得等資金の非課税枠は、取得した時期や良質な住宅用家屋であるかによって大きく変わります。

それでも足りなくて贈与を受けたい場合には、「基礎控除110万円」か「相続時精算課税2,500万円」を利用します。

あくまでも「相続時精算課税」は将来の貰える相続分の前借りであり、この制度自体に相続税などの節税メリットはありません

とはいえ、将来的に価値が上がる不動産収益を生む不動産(投資用不動産)は、相続時精算課税を選択した方が有利になる可能性があります。

相続時精算課税を選択して贈与をすると、相続時に相続財産に加算される価額が、贈与された時の価額となりますので、価値が上がるとわかっている不動産については、価値が低いうちに贈与してしまった方が良い場合があります(相続時よりも払う税金が安くなるかもしれません)。ただ、いつ相続が発生するかわかりませんし、メリットとは言えないかもしれません。

また、投資用不動産については、早期に贈与してしまえば、贈与以後の収益は受贈者(子ども)の収入になりますので、将来の相続財産が少なくなります。

マンションなど不動産自体の贈与については相続時精算課税制度を利用する必要があります。一般的に贈与は、現金よりも住宅のほうが節税になります。なぜなら、住宅取得資金(現金)で贈与するよりも、住宅を贈与するほうが財産評価が下がるため、相続税の節税になるからです。

しかし「小規模宅地等の特例」を受けることができないため、相続の時にこの制度を適用した方が有利な場合は贈与を受けない方が良いでしょう。

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2016.01.22

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この記事の執筆者

福本 拓矢
福本 拓矢ふくもと たくや

グラビス税理士法人代表。1986年和歌山生まれ。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。
現職の前身である石川税理士事務所に入所後、多岐に渡る業種の税務に携わる。
2017年1月に税理士法人化、2018年4月に代表社員就任。
不動産オーナーに対する税務支援も多いが、宅地建物取引士の知識を活かして税務の視点だけに囚われない提案を行う。
主な資格は、税理士宅地建物取引士AFP相続診断士など。

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