取得費加算の特例(相続・贈与の不動産売却)とはなにか

取得費加算の特例(相続・贈与の不動産売却)とはなにか

相続贈与により取得した不動産を売却するときに利益が出た場合、相続税とは別に税金(所得税・住民税)、いわゆる譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)を納めなければなりません。

譲渡所得税を簡単にいうと次のような税金です。

  • 不動産を売却した利益を譲渡所得といいます。
  • 利益が出ている場合には譲渡所得税・住民税を納めなければなりませんが、損失の場合は必要ありません。
  • 不動産の譲渡所得は、他の所得税と一緒に計算して相殺することは不可能です。
  • 課税方法は所有期間によって異なり、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か5年を超えるかにより大きく2つに分けて判断します。
  • 使用の用途を居住用、事業用(非居住用)に分けて、条件が該当する場合には特例や特別控除、繰越控除を受けることができます。

譲渡所得は、売却価格から購入価格を差し引いて利益が出ているかを計算します。当然、損失の場合は税金はかかりません。

しかし、利益が出ている場合でも「取得費加算の特例」という譲渡所得税が安くなる制度があります。

こちらでは「取得費加算の特例」についてわかりやすく説明します。

取得費加算の特例とは

相続や遺贈または贈与により取得した不動産は、原則として前所有者(被相続人または贈与者)の取得した日と取得価額を引き継ぎます

その相続した不動産を、相続後3年10カ月以内に売却(譲渡)すれば、譲渡所得税が軽減される「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用を受けられます。これは、一般的に取得費加算の特例と呼ばれます。

これは、相続により取得した土地、建物、株式などを一定期間内に譲渡(売却)した場合に、一定の金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

一般的に相続によって財産を取得すると相続税がかかり、その相続財産を譲渡(売却)して利益が出れば譲渡所得税がかかります。これは1つの財産について2種類の税金が課税される二重課税にあたり、税負担を軽減するための措置になります。そのため、相続税がかからない場合、特例の適用を受けることができません。

取得費加算の特例を受けるために、次の要件をみたす必要があります。

  • 相続または遺贈により財産を取得した者であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過するまでの間に譲渡していること

※相続税の申告期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内なので、相続後3年10ヶ月以内に売却することが要件となります。

相続した不動産を売却(譲渡)した場合、売却代金から取得費や譲渡費用を引いた金額が譲渡所得税の課税対象金額になります。

課税譲渡所得 =  譲渡収入金額  −(取得費 + 譲渡費用)

ここに「取得費加算の特例」が適用されると、「資産の取得費」が増えることになり、その分課税対象となる譲渡所得の金額が少なくなります。譲渡所得が少なくなれば、払わなければいけない譲渡所得税・住民税は少なくなるというわけです。

課税譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 相続税の取得費加算額 + 譲渡費用)

相続税の取得費加算額の計算方法

A:譲渡した資産が土地等の場合

相続税額 × 譲渡した土地等にかかる相続税評価額 ÷ 相続税額にかかる課税価格

※2014(平成26)年12月31日以前に開始した相続等については、「譲渡した土地等にかかる相続税評価額」ではなく「相続により取得したすべての土地に係る相続税評価額の合計額」になります。

B:譲渡した資産が土地等以外の場合(建物など)

相続税額 × 譲渡した資産にかかる相続税評価額 ÷ 相続税額にかかる課税価格

取得費加算の特例により、取得費に加算される相続税額が、「譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)」の額を超える場合は、その超える部分の金額を控除することはできないため、譲渡所得をマイナス(譲渡損失)にすることはできないことに注意が必要です。

また、「相続空き家の3000万円特別控除(空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例)」の適用を受ける場合は、取得費加算の特例を利用することができません。

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2017.01.29