都市計画・区域区分・用途地域・地域地区・地区計画等とはなにか

都市計画・区域区分・用途地域・地域地区・地区計画等とはなにか

「あなたの家にはどのような法律上の制限がありますか?」と聞かれて答えられますか。

「私の家は都市計画区域内の市街化区域内で、用途地域は商業地域で、地域地区の制限は防火地域で、地区計画はありません」などと…いきなり答えることなんてできませんよね。

これらは不動産を売買する際の重要事項説明において、買主に対して必ず説明しなければならない内容になります。そのため、不動産屋さんはこれらの内容を役所などで調査します。しかし、これらの内容は、プロである不動産屋さんでさえ、ゴチャゴチャになってしまって、よくわかっていないケースも多いのです。

イメージしてください。不動産を購入するということは、そこに住むということですよね。そこには街として何らかの計画があるはずです。

もし、計画がなく自由な場合、みんな自分の都合だけを考えた家を立ててしまい無茶苦茶になってしまいます。当然、道路なんて誰も作りませんし、道路に寄付として土地を提供する人もほとんどいないでしょう。水道もひけませんよね。

そこで、きちんと計画された都市をつくるために、規制内容を示した法律(都市計画法)があるのです。

都市計画とは、都市の将来あるべき姿(人口、土地の利用方法、主要施設等)を想定し、そのために必要な規制、誘導、整備を行い、都市を適正に発展させようとする方法や手段のことです。

大きく分けて、都市計画には5つのステージに分けられます。ここでは1から5まで、それぞれのステージにおける土地の制限についてわかりやすく説明します。

 

1.都市計画

まず、第1ステージが「都市計画」です。このステージは「都市計画法」によって規制された内容です。

まず、都市計画を定めるエリアを「都市計画区域」に、そしてそれ以外のエリアを「都市計画区域外」として分けます。また、都市計画区域外で、そのまま自由勝手に開発・建設が行われると、将来、都市としての整備するときに支障が生じる恐れがあると認められる区域が、「準都市計画区域」として指定されます。

市町村という小さな行政単位ではなく、もっと広域のエリアで街づくりを考えるため、都道府県単位で計画を立てます。つまり、決定するのは都道府県知事になります。さらに都道府県をまたいで都市計画を作るときは国土交通大臣が決定します。

都市計画区域・都市計画区域外・準都市計画区域

①都市計画区域…計画的な街づくりを進めるエリア
②都市計画区域外…人がそれほど集まっていないので、とりあえず置いておくエリア(田舎)
③準都市計画区域…田舎だが、重要な地域なので制限があるエリア

 

2.区域区分

第2ステージが「区域区分」です。このステージも「都市計画法」によって規制された内容です。

第1ステージの「都市計画区域」を、さらに細かく「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引区域」の3つに分けて計画します。

「市街化区域」とは、すでに市街地を形成している区域(既成市街地)、または、今後10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域(エリア)のことです。市街地とは、人家や商店・ビルなどが立ち並んだにぎやかな土地のことで、農地や森林などが見られません。そして、市街化とは建築物が数多く建築されているイメージになります。

「市街化調整区域」とは、市街化が進まないよう抑える区域であるため、人が住むためのまちづくりを行う予定のない区域のことです。農地や森林を守ることに重点が置かれ、許可を得た場合を除き、原則として家を建築することができません。

都市計画区域なのに市街化調整区域?

でも、市街化調整区域は都市計画区域ですよね。街づくりの計画に街づくりを行う予定のない区域っておかしいですよね。ややこしいのですが、大きな都市計画のエリア内(都市計画区域内)に含まれてしまった農地や森林が市街化調整区域にあたるというイメージでOKです。

非線引区域とは、区域区分(都市計画区域内を市街化区域か市街化調整区域に分けること≒区分≒線引き)が定められていない都市計画区域です。

非線引区域≠都市計画区域外

都市計画区域なのにどちらも定められない非線引区域なんて、都市計画区域外と同じなんじゃないかと思うことでしょう。

都道府県知事・国土交通大臣がどちらも「とりあえず置いておく」として判断を先送りしているという意味では同じです。しかし、非線引区域は、将来的に計画的な街づくりを進めるエリアということは決めているので都市計画区域なのですが、現時点でそれ以上(市街化区域か市街化調整区域か)は決まっていないので、とりあえず置いておくエリアです。それに対して、都市計画区域外はそもそも田舎なので、とりあえず置いておくエリアという違いがあります。

このように、都市計画区域は線引きを行った「市街化区域」と「市街化調整区域」、線引きが行われなかった空白の地域「非線引区域」のいずれかに分けられ、これらは第1ステージに引き続いて都道府県知事または国土交通大臣が決定します。

市街化区域・市街化調整区域・非線引区域

①市街化区域…すでに街か10年以内に街にするエリア
②市街化調整区域…街をつくる予定のない農地や森林
③非線引区域…詳細は決めてないので、とりあえず置いておくエリア

 

3.用途地域(地域地区)

第3ステージは「用途地域」です。用途地域は「地域地区」の一つです。

市街化区域内は、土地の利用の方法(用途)によって住宅地、商業地、工業地の大きく3つに分けられますが、さらに細かく分類した12種類の地域に分けます。これが「用途地域」です。それぞれの用途地域では建築できる建物の種類が細かく規制されています。市街化区域だけでなく、「準都市計画区域・非線引区域」も用途地域を定めることができます。

種類 制限内容
1 第一種低層住居専用地域 低層住宅のための地域で、小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられる。
2 第二種低層住居専用地域 主に低層住宅のための地域で、小中学校などのほか、150㎡までの一定のお店などが建てられる。
3 第一種中高層住居専用地域 中高層住宅のための地域で、病院・大学・500㎡までの一定のお店などが建てられる。
4 第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅のための地域で、病院・大学などのほか、1500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられる。
5 第一種住居地域 住居の環境を守るための地域で、3000㎡までの店舗・事務所・ホテルなどは建てられる。
6 第二種住居地域 主に住居の環境を守るための地域で、店舗・事務所・ホテル・カラオケボックスなどは建てられる。
7 準住居地域 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。
8 近隣商業地域 まわりの住民が日用品の買物などをするための地域で、住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられる。
9 商業地域 銀行・映画館・飲食店・百貨店などが集まる地域で、住宅や小規模の工場も建てられる。
10 準工業地域 主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域で、危険性・環境悪化が大きい工場のほかはほとんど建てられる。
11 工業地域 どんな工場でも建てられる地域で、住宅やお店は建てられるが、学校・病院・ホテルなどは建てられない。
12 工業専用地域 工場のための地域で、どんな工場でも建てられるが、住宅・お店・学校・病院・ホテルなどは建てられない。

用途地域については、かなり細かく分けるので、市町村が決定します。

このステージは「都市計画法」に定められていますが、用途制限に関する一つ一つの規制の内容については「建築基準法」に定められています。(都市計画法で「市街化区域を12種類の用途地域に分けなさいよ」と定められているが、「第一種低層住居専用地域は、高さ10mもしくは12mまでの建築物しか建ててはいけない」という規制の内容は建築基準法に定められています。)

用途地域

 

4.地域地区(その他の地域地区)

第4ステージは「地域地区」です。用途地域も地域地区の一つなのですが、ここでの地域地区は、用途地域を除く都市計画区域内の土地を、どのような用途に利用するべきか、どの程度利用するべきかなどを定めて20種類に分類したものです。(つまり、用途地域を入れると地域地区は全21種類あります。)

種類  制限内容 
1 用途地域 12種類に分け、土地の利用の方法(用途)を制限する
2 特別用途地区 全国一律の用途地域に分類するだけでなく、地方公共団体の条例により用途地域による建築物の制限を強化(もしくは緩和)することができるようにした地区
3 特例容積率適用地区 容積率の限度からみて未利用となっている容積の活用を促進して、土地の高度利用を図るために定める地区
4 特定用途制限地域 準都市計画区域もしくは非線引区域において、良好な住環境をつくるため、または良好な住環境を保っていくため、住環境にそぐわない建物を制限する
5 高層住居誘導地区 都心に高層住宅の建築を誘導することで、居住人口の都心回帰を促すことを目的とする地区
6 高度地区高度利用地区 高度地区とは建築物の高さを定めた地区のことで、高度利用地区とは住宅密集市街地などにおいて、細分化された敷地を統合し一体的な再開発を行なうことで、高層ビル群を建てれるようにした地区
7 特定街区 都市基盤の整った街区などにおいて、細分化された敷地を統合し一体的な再開発を行なうことで、高層ビル群を建てれるようにした地区
8 都市再生特別地区 用途制限や建ぺい率・容積率・高さの最高限度・斜線制限・日影規制などのあらゆる規制を除外でき、新たに定めることができる地区
9 防火地域準防火地域 火災の被害が起きやすい地域、そして火災を防ぐために予防しなければならない地域に定められる
10 特定防災街区整備地区 市街地において老朽化した木造住宅等が密集し、地震やそれに伴う火災等の災害に対して、延焼防止や特定防災機能(近隣住民が避難するための整備された道路や避難公園等)が確保がされていない地区に、防災機能を確保するために定められる地区
11 景観地区・準景観地区 市街地の良好な景観を保存・継承していきたい地区に定められる
12 風致地区 都市に残された水や緑など、良好な自然的景観を守り、都市における風致を維持するために定められる地区
13 駐車場整備地区 駐車場を設けることが必要とされた地区
14 臨港地区 港湾の管理運営を円滑に行うために、取扱う貨物に応じて目的別に商港区等の分区を指定し、各分区における構造物を制限する地区
15 歴史的風土特別保存地区 古都の歴史的風土を保存するために指定される区域
16 第1種歴史的風土保存地区・ 第2種歴史的風土保存地区 飛鳥時代の遺跡等の歴史的遺産を保存するために、奈良県明日香村内に指定されている地区。明日香村全域を2つに区分して定めており、特に重要な部分といえる高松塚古墳、石舞台古墳などの周辺地区が第1種歴史的風土保存地区、その他の地区が第2種歴史的風土保存地区となっている
17 特別緑地保存地区 寺社の鎮守の森や歴史的な建築物の屋敷林などの市街地に残る貴重な林など、都市にある良好な自然的環境となる緑地において、建築行為など一定の行為の制限を設け保全する地区
18 流通業務地区 流通業務施設(トラックターミナル・鉄道の貨物駅・卸売市場・倉庫など)以外の施設の建設を制限する地区
19 生産緑地地区 市街化区域内の農地を残すために、売買や建築を制限する地区
20 伝統的建造物群保存地区 城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存を図るための地区
21 航空機騒音障害防止地区・航空機騒音障害防止特別地区 成田空港周辺の航空機の著しい騒音が及ぶ地域に指定され、住宅等の新築、増改築を行う場合は、防音工事が義務づけられている

このステージも「都市計画法」に定められていますが、制限に関する一つ一つの規制の内容については「建築基準法」、その他の法律(特別用途地区→条例、都市再生特別地区→都市再生特別措置法、特定防災街区整備地区→密集市街地整備法など)に定められています。

このように地域地区は、さらに細かく制限するものなので、市町村が決定します。

地域地区

 

5.地区計画等

最後のステージは「地区計画等」です。

用途地域やその他の地域地区によって制限できるとはいえ、ほとんどが全国共通の画一的な制限です。そこで、 より小さな範囲の地区レベルで、その地域の特性に応じた詳細な都市計画が必要となるときに定められるものが「地区計画」です。

例えば、芦屋の高級住宅街である六麓荘は地区計画で、敷地面積の最低限度・建ぺい率・壁面後退・高さの制限・色彩や緑化などに調和を持たせ、地区レベルで統一性のあるまちづくりを目指しています。

「地区計画」だけでなく、それぞれの目的に即した「防災街区整備地区計画」「沿道地区計画」「集落地区計画」「歴史的風致維持向上地区計画」 があり、5つをまとめて「地区計画等」といいます。

種類 制限内容
1 地区計画 地区計画とは住民が主体となってつくる、建物や道路、公園等に関する独自のルール
2 防災街区整備地区計画 密集市街地における火災の延焼拡大を抑制し、まちの不燃化を図るため、建物の構造に一定の基準を設けて、燃えにくい建物にするなど防火性能を高めることを目的とした地区計画
3 沿道地区計画 幹線道路のうち交通騒音が著しく沿道に相当数の住居が密集している道路(沿道整備道路)の沿道の地区について、緑地帯などの緩衝帯の整備、沿道の建築物の建築の規制などにより、騒音被害の防止を図ろうとする地区計画
4 集落地区計画 市街化調整区域・非線引区域の農業振興地域内の農村集落において、農家の兼業化や農家と非農家の混在化に伴う虫食い的な農地転用等による営農条件の悪化や建築物のバラ建ちの防止を図ろうとする地区計画
5 歴史的風致維持向上地区計画 歴史的風致にふさわしい建築物等の整備・利活用と市街地の保全を総合的に行なうことを目的とする地区計画

このステージも「都市計画法」に定められていますが、制限に関する一つ一つの規制の内容については、条例で定められています。

このように地区計画は、さらにさらに細かく制限するものなので、住民が主体となりつつ、市町村が決定します。

地区計画等

地区計画と近いものとして「建築協定」や「紳士協定」がありますが、これらは強制力があるとはいえないところに大きな違いがあります。

地区計画・建築協定・紳士協定の違いをわかりやすく説明する

地区計画・建築協定・紳士協定の違いをわかりやすく説明する

2016.03.07

 

まとめ

まとめるとこのようになります。

都市計画・区域区分・用途地域・地域地区・地区計画の違い

そして、ここに家があるとすると、

都市計画2

「私の家は都市計画区域内の市街化区域内で、用途地域は商業地域で、地域地区の制限は防火地域で、地区計画はありません」ということになります。

これを重要事項説明書に記載すると次のようになるのです。

都市計画区域・区域区分・市街化区域 用途地域・地域地区

このように1つずつ紐解いてみるとわかりやすくなったのではないでしょうか。

 

都市計画・区域区分・用途地域・地域地区・地区計画等とはなにか

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。