「飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況」とはなにか

重要事項説明書の画像

不動産を売買する際、重要事項説明書の中に「飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況」という項目がある。

(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の重要事項説明書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)

飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況とは?

飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況

飲用水・電気およびガス等の諸施設は、日常生活に必要不可欠な施設であることから、ここでは利用できる諸施設とその配管等の状況を把握し、諸施設について将来にわたり整備計画があるかを調査して、その時期・負担金等を説明する項目となっている。

FRKでは、土地建物の場合、付属書類として用意されている配管図表を作成し添付する。また、調査・確認先(水道局・下水道局・ガス会社等)において入手した図面等がある場合は添付する

配管図表

なお、調査方法については以下を参照してほしい。

飲用水 不動産を売買するとき、上水道はどのようにして調査するのか
ガス 不動産を売買するとき、ガスはどのようにして調査するのか
汚水・雑排水・雨水 不動産を売買するとき、下水道はどのようにして調査するのか

 

施設の状況について

1.直ちに利用可能な施設

直ちに利用可能な施設とは、重要事項の説明時において、現に利用している施設および利用可能な状態にある施設をいい、該当するものを記入する。ただし、対象不動産が更地の場合で、前面道路まで配管がされていて容易に敷地内に引き込める状態である場合にも、直ちに利用可能な施設として記入する。

対象不動産が一戸建であり、都市ガスを使用している場合
対象不動産が一戸建であり、都市ガスを使用している場合

2.配管等の状況

配管等の状況とは、直ちに利用可能な施設が、現状においてどのような配管状況にあるのかを説明するものだ。飲用水(上水道)については、対象不動産の敷地内配管・前面道路配管を調査し、配管の口径を記入する。ここでいう敷地内配管とは、前面道路配管から敷地内メーター類まで引き込まれている配管のことだ。

対象不動産が更地であり、公営水道がすでに敷地内に引き込まれているが、引込管(口径13mm)が細いため、建築時に口径の変更が必要となるケース
対象不動産が更地であり、公営水道がすでに敷地内に引き込まれているが、引込管(口径13mm)が細いため、建築時に口径の変更が必要となるケース

調査の際には台帳・配管図面等を閲覧する。ただし、敷地内配管の図面については、申請時の図面による場合が大部分のため、現状の配管状況と異なることも多い。十分な調査を行っても配管類の状況および口径が判明しない場合は、「不明」と記入する。

汚水および雑排水についても飲用水と同様の調査が必要となるが、敷地内配管は調査しにくいケースが多いため、対象不動産の建物の建替え等に大きく影響する前面道路配管までを調査のうえ、記入する

私設管とは、原則として前面道路の配管が私有のものをいう。飲用水、汚水および雑排水の配管で、埋設されている道路が私道の場合や設置工事を行った際の費用負担の有無などにより、私設管であることがある。このような場合、新規使用について負担金(加入金・管理料等)が発生したり、その使用にあたり私設管所有者から制限を受けるケースがあるので、私設管の有無を記入し、制限等がある場合には、その内容を空欄で説明しなければならない。

3.整備予定・負担金

現状において施設が未整備の状態、もしくは利用中の施設が将来において整備される計画および予定がある場合には、整備予定日を記入する。また、施設の整備にあたり特別な負担金が発生する場合には、その負担額を記入する。ただし、負担金の額が明確でない場合は、「未定」と記入する。施設の整備予定の内容は空欄に記入する。

対象不動産が一戸建であり、現状はプロパンガスを使用しているが、都市ガスに整備される予定がある場合
対象不動産が一戸建であり、現状はプロパンガスを使用しているが、都市ガスに整備される予定がある場合

 

施設の説明について

a.飲用水

飲用水は大別して井戸(上)水道に分類される。井戸は水道法の適用外である自家用水道に含まれ、その水質に関わらず飲用水としては原則として使用できない。対象不動産に古井戸が残されている場合には、建替えの際に支障となるケースが多いことから、購入者に位置等について説明を行っておく。また水道は、事業主体によって公営水道と私営水道とに区別される。公営は水道法の適用を受けた市区町村が水道事業を運営し、維持管理を行うもので、私営とは民間(法人・組合)が水道法にもとづく許可を得て、別荘や団地等に給水を行う。

不動産を売買するとき、上水道はどのようにして調査するのか

2016.05.31

記入上の注意点として、新規に水道を引き込み使用する場合には、水道を使用する権利を得るために水道事業者に納める加入金(受益者負担金)が必要になることを空欄に記入する。

現在、一般住宅へ新規に水道を引き込む際の敷地内配管は、水道事業者および水道工事業者等の設計基準により、口径を20mm未満にできない場合があり、建替え等を予定していて、現状の口径が20mm未満の場合には注意が必要だ。新築時における敷地内配管の口径の目安は、およそその建物で使用する水栓の数で判断できる。(使用水栓数が12以内→20mm、15以内→25mm等)

対象不動産が更地であり、前面道路配管までは設置されているが、敷地内配管は未設置で新規の引込みを要する場合
対象不動産が更地であり、前面道路配管までは設置されているが、敷地内配管は未設置で新規の引込みを要する場合

b.電気

電気事業法にもとづき事業の許可を得た一般電気事業者(東京電力など)が供給を行うもので、利用可能な事業者名を記入する。対象不動産が新規の開発分譲地内にある場合には、電柱およびその支線が宅地内に建てられる場合があり、その位置等を空欄で説明する必要がある。

対象不動産が一戸建てであり、東京電力を使用している場合
対象不動産が一戸建てであり、東京電力を使用している場合

c.ガス

ガスは都市ガスプロパンガスの2種類により供給されている。プロパンガスはプロパン液化ガスを供給販売するもので、その供給方式により個別集中とに分かれている。個別とは、各戸別にボンベに詰めたガスを供給する方式で、集中は、一団となっている分譲地等において集中供給施設を設け、この施設から各戸に対し供給を行う方式だ。

都市ガスの場合、道路部分の配管までがガス事業者の所有で、敷地内の配管はその敷地所有者の所有および維持管理になる。ただし、保安管理(ガス漏れの調査、不具合発生箇所の特定等)は、通常ガス事業者が行っている。またプロパンガスの場合は、個別および集中とも各プロパンガス販売業者ごとの対応となっている。よって、配管設備等の所有権の帰属、管理責任の区分等が異なるので、物件ごとに確認が必要だ。売買後においても宅地内のガスの配管設備等の所有権が家庭用プロパンガス販売業者にあるものとする場合には、その旨の説明をしなければならない。

不動産を売買するとき、ガスはどのようにして調査するのか

2016.06.01

d.汚水

汚水の排水施設は、大別して公共下水浄化槽および汲取式の3種類に分けられる。公共下水とは、下水道の処理区域内において、処理場へ接続されていて下水管に直接放流できるものをいう。

浄化槽とは、前記の下水道の処理区域外のうち地方公共団体が指定した区域等において、原則として居住用の一戸建を水洗便所にする際に用いる汚水処理装置で、各戸別に設置する個別式と、分譲団地等で一括に処理する集中式とがある。集中式の場合は維持管理費の調査が必要になる。また、個別浄化槽で処理した排水の放流先としては中心管(暗渠排水・公共下水)や側溝への放流、または放流先が未整備のため宅地内で処理する浸透式とに分けられる。

浄化槽は対象不動産に設置スペースがあれば設置が可能だが、大切なのは、浄化槽で浄化した後のは排水を放流する先(排水管、河川、海等)があるかどうかということだ。このため、管轄する官庁(市役所や保健所等)での調査が必要だ。また、浄化槽には、水洗便所からの汚水のみを処理する単独処理装置と、汚水および雑排水等を合わせて処理する合併処理装置とがある。なお、個別浄化槽は、専門業者による年1・2回の清掃が必要だが、保守管理の状況および費用は、浄化槽保守点検業務記録で確認する。

不動産を売買するとき、下水道はどのようにして調査するのか

2016.06.06

e.雑排水

雑排水とは、台所・浴室および洗面所等から排水される生活排水をいい、その処理方法は公共下水・個別浄化槽・集中浄化槽・側溝等および浸透式の5種類に分けられる。

対象不動産が一戸建で、汚水・雑排水とも公共下水道へ放流している場合
対象不動産が一戸建で、汚水・雑排水とも公共下水道へ放流している場合

f.雨水

雨水は、汚染されていない排水として扱われ、公共下水または側溝等へ放流される強制排水と、宅地内に浸透させる自然排水とに大別されるので、該当するものを記入する。なお、浄化槽は、汚水や雑排水の処理装置であり、雨水の流入はできない。

対象不動産が一戸建で、雨水排水を公共下水道へ放流している場合
対象不動産が一戸建で、雨水排水を公共下水道へ放流している場合

 

特殊な例について

特殊事例:対象不動産の水道管が、下図に示すとおり隣接地を通過して引き込まれている場合

隣接地通過 特殊事例:対象不動産の水道管が、下図に示すとおり隣接地を通過して引き込まれている場合

水道私設管等の通過にあたり、当事者間でその状況や制限の内容を確認する意味で、覚書等を締結しておくべきだ。上記のように前面道路に配管がなく、他人の敷地を通過して引き込まれている場合には、私設管「有」として表示する。他人敷地を通過して引き込むには当該敷地の所有者に確認する必要がある。また逆に、対象不動産の敷地内を他人の私設管が通過している場合もあり、同様の説明が必要になる。

特殊事例:対象不動産(特に更地の場合)の敷地内および前面道路に水道管に配管がなく、下図のとおり離れた場所から引込工事を行う場合

引込工事を行う場合 特殊事例:対象不動産(特に更地の場合)の敷地内および前面道路に水道管に配管がなく、下図のとおり離れた場所から引込工事を行う場合

直ちに利用可能な施設は、対象不動産の周囲において使用している配管から引き込める状態にあるかどうかを十分に調査した上で、有無を判断し、配管等の状況欄を記入し具体的にその状況を空欄にも記入する。引込工事を行う際には、相当な工事費等の負担が発生するので、そのことも記入して説明する。

特殊事例:対象不動産の汚水が、下図のとおり本管から分岐された共有の私設管を経由して放流されている場合

共有の私設管 特殊事例:対象不動産の汚水が、下図のとおり本管から分岐された共有の私設管を経由して放流されている場合

特殊事例:公共下水道として利用できる施設を有しているが、終末処理場が未整備であるため浄化槽設置が義務づけられている場合(開発行為等により造成された分譲地等に多い。)

特殊事例:公共下水道として利用できる施設を有しているが、終末処理場が未整備であるため浄化槽設置が義務づけられている場合(開発行為等により造成された分譲地等に多い。)

終末(下水)処理場が供用開始された場合には、3年以内に浄化槽から公共下水道への直接放流としなければならない。この際、工事費等が発生するので、計画が予定されている場合はその旨を空欄に記入して説明する。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。