2025年に大阪万博が開かれる夢洲はシンガポールになるのか

大阪シンガポール

大阪の「永遠のフロンティア」こと『夢洲』がシンガポールになるかもしれない。

政府は29日、2025年の万国博覧会(万博)について、大阪誘致を目指して立候補する検討に入った。大阪府は同日、全国の経済波及効果を約6.4兆円とする基本構想の素案を発表した。政府と大阪府は今後、博覧会国際事務局(BIE、パリ)への届け出に向け、具体的な調整を進める。誘致に成功すれば、日本での開催は05年の愛知万博以来で6回目となる。

菅官房長官は同日夕の記者会見で「万博は日本の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、地域経済の起爆剤になる」と大阪万博実現の意義を語った。政府としては「大阪万博」を20年東京五輪・パラリンピック後の景気浮揚策として活用したい考えだ。

(2016年9月30日読売新聞朝刊1面抜粋)

これは2025年に大阪に万博開催を目指すというものだ。「1964年の東京五輪→1970年の大阪万博」と「2020年の東京五輪→2025年の大阪万博」をダブらせているようにも見える。株も不動産も「東京五輪まで!」という期待をできるだけ剥げ落とさない政策でもある。

大阪万博の基本構想は以下の通りだ。

大阪万博の基本構想案

ライバルも動き出している。フランスのパリはすでに立候補を表明した。

フランスのオランド大統領は22日、2025年の国際博覧会(万博)をパリに誘致すると表明した。仏大統領府が同日、博覧会国際事務局(BIE)に誘致の方針を通知したと発表した。同年の万博には大阪のほか、カナダのトロントなどに誘致の動きがある。

(2016年11月23日日本経済新聞朝刊6面抜粋)

で、会場となる「夢洲(ゆめしま)」といえば、「咲洲(さきしま)」と「舞洲(まいしま)」と並んで、長らく『大阪負の遺産』だった。

夢洲・舞洲・咲洲の位置

これらは今から30年前に「テクノポート大阪」として計画され、順次埋め立て造成されてきた。

 

テクノポート大阪計画とは?

本計画は、大阪市が21世紀に向かって活力ある国際情報都市として、さらには、快適な都市環境を備えた産業・文化都市として発展していくため、南港及び北港に先端的かつ高次の都市機能を先行的に集積させることによって、近畿圏・大阪都市圏の発展をリードしていく拠点としてのまちづくりを行うものである。

具体的には「国際交易機能」「情報・通信機能」「先端技術開発機能」を集積し、21世紀の新しい都市にふさわしい文化・レクリエーション、居住等の都市機能を併せたものとされた。

 

それで咲洲に建てられたのがWTC(現大阪府咲洲庁舎)やATC(アジア太平洋トレードセンター)だ。

大阪府咲洲庁舎

ここはアラブでもドバイでもなんでもない。咲洲だ。バブルの時に計画されたテクノポート大阪計画は、バブル崩壊でそのほぼ全てが破綻し、現在においても大阪の厳しい財政に重くのしかかっている。

その後、これらのハコモノ行政の失敗を挽回するためにも、2008年の夏季オリンピックを大阪で開催しようと招致した。そのメイン会場が舞洲であり、選手村が夢洲だったのだ。ご存知の通り、結局2008年に開かれたのは北京オリンピックであり、またしても有効活用の機会が失われた。その後現在、当初の計画から大きく逸れて、物流倉庫がメインの島々へと成り下がっていた。

そこに「3度目の正直」として出てきたのが、夢洲での「大阪万博」と「カジノを含めた統合型リゾート(IR)施設」だ。

2025年に大阪誘致を目指す万博の主会場が大阪湾の人工島の夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)に一本化されることが21日、松井一郎知事、吉村洋文大阪市長らの会談で決まった。夢洲はカジノを含めた統合型リゾート(IR)施設の23年開業を目指している。IRは北側70ヘクタール、万博は中央部100ヘクタールとの島内の配置も決め、誘致に成功すれば、2つのビッグプロジェクトが同時進行することになる。

夢洲

他の人工島との分散開催も検討したが、適地がなく、来場者の移動も手間になる。

夢洲のIR用地と万博用地夢洲は390ヘクタールを市が埋め立てており、すでに東側はコンテナターミナルや物流施設として稼働している。先行して建設するIRは北側の埋め立てが完了した地区に立地。万博は同地区の一部と埋め立て中の土地および西側の廃棄物埋め立て地の一部を使う。このため、土砂を購入して地盤改良をスピードアップする埋め立ての追加投資が必要で、財政負担が増す。

廃棄物埋め立て地の一部では住友商事がメガソーラー(大規模太陽光発電所)を稼働させているが、「移設を要望する可能性がある」(松井知事)。当初のIR70ヘクタールは第1期開発として、万博終了後はコンテナターミナルや物流用地を除く260ヘクタール全体をIR用地として使う方針だ。

万博会場へのアクセスは既存の橋やトンネルを使ったバス運行やマイカー、大阪市営地下鉄中央線の延伸にとどめ、万博来場者予想の3千万人をさばく。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)最寄りのユニバーサルシティ駅を通るJR桜島線を延伸して、大阪駅と夢洲を結ぶ新路線を当面見送る。ただ、IR事業の進展に伴い、将来の桜島線延伸は不可欠とみており、1700億円とされる事業をどう捻出するかを検討する。

中央線延伸・JR桜島線延伸

夢洲は1990年代から1万5千戸規模の住宅開発が構想され、08年の五輪誘致のために選手村の立地も計画された。しかし、市の財政悪化に加え、五輪誘致では北京に敗北。コンテナターミナルと物流施設を誘致したが、本格的開発には至っていない。万博・IRで三度目の正直となるか正念場だ。

(2016年9月22日日本経済新聞朝刊31面抜粋)

統合型リゾート(IR)とは、文字通り「Integrated(=統合された)Resort」の頭文字をとったもので、カジノだけでなくホテルや国際会議場などが一体となった施設のことを指している。統合型リゾート(IR)の代表例は、シンガポールのマリーナベイサンズだ。

マリーナベイサンズマリーナベイサンズは、カジノとホテルだけでなく、シアター、コンベンションモール、ショッピングモールを備えており、大阪の夢洲もこのような統合型リゾートを目指している。

カジノ夢洲

こちらは関西経済同友会が示した夢洲IRのイメージ図だ。

IR=カジノのイメージが強いが、カジノの延べ床面積は全体施設の3%程度に設定されている。一方、テーマパークの敷地面積は20万ヘクタール、商業施設の店舗面積は10万平方メートルに達し、客室が7000室のホテル、観客席1万5000席のアリーナが建設される。1万平方メートルの温泉スパ施設もリストアップされている。全体を見渡すと、富裕層を対象としたカジノはごく限られたエリアで、一般の観光客が家族連れで楽しむ観光商業スペースが施設の大半を占めている。

(THE PAGE大阪『2020年大阪・夢洲にカジノを ── 関西経済同友会がIR構想提言、イメージ映像も』より抜粋)

…これだけ見ると今まで散々、失敗を繰り返してきたのにまたもや『失敗』の臭いしかしない。造ったら人が来るわけではないことはもうわかったはずだ。必要なことは人が来るための仕組み(仕掛け)だ。ふと、思い浮かんだのが、USJを建て直した日本最強のマーケター森岡毅氏に「大阪のために、日本のために」頭を下げて協力していただくしかないなと思っていたら、すでに松井一郎知事は動いていた。

7月16日、松井一郎大阪府知事は、大阪市此花区のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」を視察した。そして、松井知事は、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致について「国会で基本法(IR推進法)が通れば、ぜひUSJの力も借りたい」と協力を求める考えを示した。
USJの森岡毅執行役員も「我々の知見を生かせるよう考えたい」と応じた。

(2016年7月18日毎日新聞抜粋)

ありがとうございます、松井知事。ついでを言うと、元々USJも大阪市の会社で失敗し、民間経営に変わり、森岡氏が建て直した実績があるのだから、もし、「大阪万博」と「カジノを含めた統合型リゾート(IR)施設」の誘致が決まれば、森岡氏に権限を与えて主体でやっていただけませんかね。(もしそうするつもりならごめんなさい。)

上手く利用すれば面白そうなハコモノ行政はたっぷりある。

咲洲キャナル

写真手前左にある人工運河(咲洲キャナル)とか、

なにわの海の時空館

なにわの海の時空館(2013年閉館)だ。これらは夢洲と目と鼻の先の咲洲にある。

今まで「日本もカジノ解禁!」と言いつつ、いつ有言実行されるのかわからなかったが、ついにこのカジノ法案動き始めた。

カジノ誘致に意欲的な主な自治体カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)が2日、衆院内閣委員会で可決された。[…]

採決を急いだ背景には、20年の東京五輪後に観光客が減ることに備え、カジノを新たな成長戦略に据える狙いがある。カジノ誘致を進める大阪府を地盤とする日本維新の会への配慮も透ける。[…]

自民党は建設需要や雇用の創出、地域振興につながると指摘。外国人訪日客を今の約2千万人から2030年に6千万人まで増やす目標にも寄与するとみる。

維新は大阪誘致をめざす25年の国際博覧会(万博)との相乗効果を見込み、大阪湾の人工島、夢洲(ゆめしま、大阪市)を候補地の一つにする。自治体ではこのほか北海道苫小牧市や釧路市、横浜市、長崎県佐世保市などがカジノ誘致を前向きに検討している。佐世保市ではエイチ・アイ・エス(HIS)子会社のハウステンボスが事務局を務める「西九州統合型リゾート研究会」が招致をめざす。ハウステンボスの沢田秀雄社長は「地方経済の発展のためにいい」と語る。京浜急行電鉄は、沿線全域の活性化につながるとみてIR事業への参画を検討する。

(2016年12月3日日本経済新聞朝刊3面抜粋)

各自治体には申し訳ないがこれは大阪に譲ってもらいたく思う。ここで大事なことは「カジノは一体何のためにつくるのか」ということだろう。それは「日本に来てもらった観光客に、日本でお金を落としてもらう」ことが主眼であり、まさか日本人向けにカジノを運営することではないはずだ。

カジノは既に世界140カ国以上で合法化されており、2000軒以上のカジノが存在する。もうわざわざ「カジノ」目的のために日本に外国人観光客は来ないだろう。それならカジノが集中するラスベガスやマカオに行ったほうが良い。日本に来て観光してもらい「日本いいね〜。楽しいね。」と日本に満足してもらって、その高揚感のまま「カジノあるみたいだし、カジノでもするか」となってもらわなければならないのだ。(海外)旅行で、財布の紐が緩くなった経験は皆さんもきっとあるはずだ。

実際、カジノ自体では他社・他国との差別化がはかれないため、ラスベガスはエンターテイメントショーで顧客を集め、エンターテイメントが赤字でもギャンブルから収益を得るというモデルになっている。統合型(IR)リゾートも、国際会議場だけじゃ赤字なので、エンターテイメント施設やカジノで赤字を補填するという側面があるが、単なるエンターテイメント施設だけでは難しいだろう。

まさにその点、大阪は外国人が『日本』を訪れる上で必ず行きたい観光地に隣接しており地理的条件に恵まれている。なんといっても京都と奈良がある。関西国際空港を利用するなら大阪に必ず来る。

夢洲の位置

外国人観光客に日本を楽しんで満足していただき、多いにお金を落としてもらおうではないか。

大阪という立地は500年前も変わらない。大阪に目を付けていたと言われる織田信長の言葉をふと思い出したので書いておく。

大坂は、凡そ日本一の境地なり。其の子細は、奈良、堺、京都に程近く…
そもそも大坂は、日本一の土地である。その理由は、奈良・堺・京都に近く…)

『信長公記』

そんな大阪が何もないシンガポールに負けるわけないだろう。

大阪の「永遠のフロンティア」こと『夢洲』がシンガポールになるかもしれない?

いや、大阪の本当の『夢の島』になるかもしれない。

 

【※2017年4月12日追記】

・2017年4月11日の閣議で、正式に大阪万博誘致を決定

・2025年の万博開催計画を以下のように修正

テーマ いのち輝く未来社会のデザイン
期間 2025年5月3日〜11月3日(全185日)
想定入場者数 約2800万人〜3000万人
会場建設費 約1250億円
経済効果 約1.9兆円

・万博会場周辺を特区に指定し、医療・健康、ドローン(小型無人機)、車の自動走行、ロボットなど未来社会に向けた技術の実験場にする方針

大阪シンガポール

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ABOUTこの記事をかいた人

坂根大介

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社(三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。不動産売買取引の契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、一般消費者向けに不動産業界の見えにくくわかりづらい不透明な情報をわかりやすく発信している。 主な資格は、宅地建物取引士、JSHIホームインスペクター、2級FPなど。